自動売買システムの便利なところは「〇円で買って、△円で売る」という注文を、ディーラー本人が不在のときでも24時間自動的に行うことができるという点です。一定値幅の変動に基づいて売買が行われるいたってシンプルな仕組みですから、人間の感情に左右されず、間違いをおこしません。
自動システムを運用するためには初期設定が必要です。それはポジション(注文)の値幅とポジション数(注文金額)の決定です。
自動売買ソフトを運用する際に最重要なポイントになるのがポジションとポジション数です。これを決めるための重要な要素である「対象資産」と「想定変動幅」という2つの項目をみておきましょう。
対象資産について
どのくらいの資金をつかって投資するかの目安になるのが対象資産です。
ポジションを得た場合には、そのポジションに対する取引証拠金が必要になります。必要資金は取引証拠金と含み損(相場上のマイナス分)の合計です。自動売買ソフトでは、同時進行で複数のポジションを設置する(複数回売買する)ことになりますから、対象資産は複数の取引の必要資金を把握しておく必要があります。対象資産の目安は、口座資産の50~70%程度に収まるように運用していくように心がけましょう。
想定変動幅について
想定変動幅とは、売買における為替レートの幅を設定するものです。たとえば、円ドル相場で、「100円になったら買い、95円で売る」といった設定をおこないます。想定変動幅を広く設定すれば、取引の幅が広がって自動売買の回数が増え、必要資金が多くなります。その反対に、想定変動幅をせまく設定すると必要資金は少なくすることができますが、値動きが想定変動幅を突破した場合は、早々に変動幅を再設定しないとトレードが発生しなくなるという問題もあります。
このようなことから「対象資産」と「想定変動幅」を決める際には、無理な設定にならないように、過去の為替の値動きなどから合理的に設定しなければなりません。
自動売買システムと損切りとの関係性
自動売買システムを活用する際に気をつけたいのが損切りへの対応です。自動売買システムは損切りへの対応が不充分なものがあり、その場合はトレーダー自身が対応しなければなりません。トレーダーが即座に対応できればよいのですが、真夜中や仕事中であれば、損切りのタイミングを失って大きな損失が発生するかもしれません。
したがって、大きな損失を回避するためにも自動損切りを設定できる自動売買システムの活用を推奨します。想定変動幅いっぱいに為替レートが下落したケースでは、取引証拠金と含み損の合計額は注文開始時に設定した対象資産まで近づいているでしょう。最初に対象資産を口座資産の50~70%にするべきとお伝えしましたが、取引開始時に、対象資産の総金額を設定(たとえば60%など)しておけば、システムは対象資産の限界前に自動的に損切りをするとことが可能です。
資産合計が枯渇するとその後の取引機会を損失してしまうことにもなるので、想定変動幅に到達した時点で損切りの注文を出し、次の値上がりの機会に備えるシステムは有利に働きます。
複数のポジションが並行しているなかで損切りをするのは、現在の相場と一番離れたポジションになります。損切り注文によって含み損は損失が確定しますが、同時に当該のポジションの取引証拠金が解放されてあらたな取引に活用できるというわけです。繰り返しになりますが、自動売買システムを活用する場合、このようなソフト性能を備えたシステムを導入すべきだと思います。
自動売買システムの正しい使い方
自動売買システムは基本的には大ケガをしにくい仕組みになっています。
ただし、漫然とシステムに任せるのではなく、最初に「対象資産」と「想定変動幅」を決定することが重要です。巷にある怪しげな情報商材のなかには、どんな基準でトレードしているかもわからないようなソフトもあります。中身がブラックボックスの怪しげな製品を使うのは自殺行為であり、システムの仕様を公開しているシステムを使うべきでしょう。
コメント