初心者はレバレッジを恐れる傾向があります。口座にある資金の何十倍もの売買を行えるわけですから怖いのも当然です。
しかしFX取引にとって、レバレッジはリスク管理の一部ですから、それほど恐れるものではありません。その一方で、いくらレバレッジを抑えても、「対象資産」と「想定変動幅」をコントロールできなければ損失を防ぐことはできません。
FXのリスクは「(損切り額)×(取引量)」で決まります。
大前提として「損切り額」を確定するためには「損切り注文」という仕組みを活用する必要があります。FXでは必ず「損切り注文」を行わなければいけません。どういうことか、具体例をあげて説明しましょう。
1ドル100円で米ドルを5万ドル(5万通貨分)買ったとしましょう。この場合に、1ドル99.5円にレートが下がったら損失を確定させる「損切り注文」を事前に入れておきます。
このような設定で1ドル99.5円にレートが下がった場合にどうなるかを示してみましょう。
買値は100円×5万通貨=500万円
売値は99.5円×5万通貨=497.5万円
損失額は500万円―497.5万円=2.5万円
極端な例ですが、もしレートが20%暴落すれば、500万円の取引で100万円の損害を被ってしまいます。しかし「損切り注文」を行うことで、いくら暴落してもそれ以前に損失が確定しますから、マイナス額は2.5万円に抑えられるわけです。
レバレッジをかけることは、必要以上に恐れる必要がないことが理解できたのではないでしょうか。
レバレッジには2通りある
レバレッジがそれほど恐れる必要がない理由は、「損切り注文」ができるからだということが理解できたと思います。それでは、レバレッジについて説明を続けていきましょう。FXのレバレッジには、「最大レバレッジ」と「実効レバレッジ」の2つがあります。それぞれ、まったく意味が異なる概念ですから注意してください。
最大レバレッジとは
最大レバレッジは、口座資金の何倍まで取引できるのかを表します。国内のFX会社の多きは最大レバレッジを口座資金の25倍までに設定しています。なぜなら、日本の法律でレバレッジの上限は25倍までと定められているからです。FX会社に預けてある口座資金が100万円であれば、最大2500万円まで取引できます。追証によって口座資金の積み増しをおこなうことで、さらにレバレッジ額の拡大をおこなうことが可能です。また、外国のFX会社はレバレッジを25倍以上に設定している場合もあります。外国のFX会社との取引は違法でありませんが、ハイリスクなので初心者にはあまりおススメできません。
実行レバレッジとは
実行レバレッジは、現時点で口座資金の何倍のポジションを運用しているか(どれだけ売り買いしているか)を指しています。
(実効レバレッジ)=(ポジション運用額÷有効証拠金)で計算します。たとえば1ドル100円で5万通貨分の米ドルを買った場合、口座資金が100万円であればこのようになります。
(実効レバレッジ)=500万円÷100万円=(5倍)
実効レバレッジが5倍ということは、口座資金の5倍のレバレッジで取引をおこなっていることになります。
大負けしないことを最優先で考える
1回のトレードで馬鹿みたいな大損を食らう可能性を低くするのがFXの基本です。そのためには、初心者の方であれば実効レバレッジを最大でも10倍ぐらいに抑え、1トレードの許容損失額を口座資金の2%以内に抑えるのがおススメです。
口座資金50万円に対してドル円2万通貨の運用なら、実効レバレッジも10倍以内に収まります。「2%ルール」をしっかり守っていれば、35連敗しても、やっと口座資金が半分になるぐらいの損失に抑えることができるのです。負けが続いても大きく資金を減らすことがないので、メンタルも安定します。
今回学習していただきたいのは、FXのリスク管理で重要なのは実行レバレッジだということです。
初心者におススメするレバレッジの上限は10倍まで(できれば5倍を推奨)、1回のトレードを許容する損失額を決め(口座資金の2%以内を推奨)、そして「一度決めたルールは絶対に曲げない」という強い信念をもってトレードに取り組みましょう。
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