相場のトレンドをつかむ手法としてトレンドラインを解説しましたが、トレンドラインと同様に、相場のトレンドをつかむために参考となるのが、「移動平均線」です。
移動平行線とはなにか
「移動平均線」とは、ある一定期間の価格(通常は終値)の平均を結んだものです。一般的に、その組み合わせは短期線と長期線の2本の組み合わせ、もしくは短期線と中期線、長期線の3本を組み合わせるパターンが一般的です。移動平均線を見ることで、相場のトレンドを把握しやすくなります。
たとえば、4日連続上昇を続けていた相場が、5日目、6日目に下落していると仮定します。もう上昇は終わったと考えるのが普通ですが、よく見ると移動平均線が上昇を続けているとすれば、相場はもう少し上昇する可能性があると判断することができます。
さらに、現在の為替レートが移動平均線から大きく離れている場合については、現在の相場が売られ過ぎ(買われ過ぎ)の懸念があります。その場合は、相場は自律的に修正が入る傾向がありますから、移動平均線は、実体と乖離している相場が移動平均に向かって収斂するタイミングを狙って売買する手法に活用できます。
ゴールデンクロスとデッドクロス
移動平均線で示される売買サインとして有名なものに、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」があります。2本の移動平均線を使うテクニカル分析において、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜けることをゴールデンクロス、それとは逆に、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に抜けることをデッドクロスといいます。ゴールデンクロスの場合は、「直近の価格傾向が上向きに転じた」とみられるために、積極的に買いポジションを取り、デッドクロスの場合は、「直近の価格傾向が下向きに転じた」とみられるために売りポジションを取るのが一般的なトレードです。
ダマシのサインに気をつけろ
「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」を含め、移動平均線の動きが正しくない売買のサインであるケースがあるので、注意が必要です。しばしば「ダマシ」と呼ばれる誤ったサインが表れる場合があるからです。
人間の心理が相場を混乱させる
「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」のサインは予想がしやすいため、相場の裏をかいて利益を獲得しようという相場の流れが生まれます。ゴールデンクロスが出る前に買っておいて、ゴールデンクロス後に売りにだして利益を獲得しようという流れがあると、相場は一時的に下落してしまいます。そのため、ゴールデンクロス直後に買いを出しても逆に損失を受ける場合があるのです。
移動平均線は有力な分析方法ですが、すぐに「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」に飛びつくのではなく、サインが出た後には、タイミングをずらしたり、他のテクニカル指標の判断も合わせて取引をするとよいでしょう。
コメント