証拠金はFX取引の中心をなす重要な仕組みのひとつです。仕組みを知っておかないと、FX取引で大きな失敗をしてしまうおそれが高まります。
今回は、初心者がいまさら聞けない証拠金の仕組みについて、取引上の注意点と合わせてわかりやすく解説します。
FXにおける証拠金とは
FXにおける証拠金の特徴
通常何かを買う時に、代金は100%必要です。しかし、証拠金の仕組みによれば、実際に商品を買うことなく、利益だけを100%受取ることができます。
少ない資金で大きな取引ができる仕組みを「レバレッジ(てこ)効果」といいます。FXにおける証拠金とはレバレッジ取引のための資金担保です。「将来買う」という約束の証拠として預けるお金なので、証拠金というわけです。
レバレッジの仕組み
日本の法律では、FXのレバレッジは25倍までと決められています。
たとえば、最初に証拠金として4万円を入金してレバレッジ25倍で取引すると、外貨を100万円まで購入できます。100万円分で購入した外貨を101万円で売却すれば、4万円の証拠金に対して5万円の利益を得られます。99円で売却したケースでは、元金の4万円に対して1万円の損失が発生します。
レバレッジを効かせて取引する場合には利益も大きくなりますが、損失も大きくなります。
FXが個人投資家に解放されたことによる変化
1998年に「外国為替及び外国貿易法」が改正され、FXが初めて個人投資家にも解禁されました。それまでプロの世界だけだったFXトレードを個人投資家に対応させるために、さまざまな工夫がなされました。
取引単価の引き下げ
個人投資家が少額でも取引できるように、取引単位が引き下げられました。それまでFX取引は100万通貨単位で行われていました。(米ドル/円)の場合で100万ドルということですから、日本円にして1億円(1ドル=100円の場合)の資金が必要です。相当なお金持ちなら個人で取引できるかもしれませんが、普通の人は難しいでしょう。
そこでFX会社は、個人を対象に1000通貨単位や1万通貨単位で取引できるように設定を変更しました。(米ドル/円)を1万通貨交換する場合であれば(1ドル=100円)の場合のトレード価格は100万円と、ぐっと身近な金額になりました。
さきほど例題として(米ドル/円)レートで100円⇒101円(もしくは99円)というサンプルを示しましたが、実際の為替は短期間ではそれほど大きく変動しません。(米ドル/円)の1日のレート変動幅は、特別な要因がない限りせいぜい数十銭程度です(変動率は高くても1%未満)。
したがって、積極的に収益を狙っていくのであれば、やはり、ある程度の取引数量が必要になるところです。
レバレッジの設定とロスカットの導入
そこでもうひとつ考え出されたのが、資金を元手(=証拠金)にして、その数倍~数十倍の取引を行うことを可能にした「レバレッジ」の仕組みです。
日本の法律ではレバレッジの上限は25倍に設定されました。25倍のレバレッジを効かせれば、同じ資金額で25倍の利益を受け取ることができますがマイナスも25倍になります。レバレッジを設定したことによって顧客のリスクは高まり、FX会社はリスク管理の必要に迫られました。そこで導入されたのが「ロスカット」という概念です。
ロスカットとは、損失が拡大しないようにあらかじめ定めた「証拠金維持率」を割り込んだ時点で、顧客が保持しているポジションを自動的に清算する仕組みです。ロスカットが執行されると保有しているポジションが全て自動的に決済されます。
証拠金維持率とロスカットの関係
証拠金維持率とは、ポジション必要証拠金に対して占める純資産額の割合のことで、証拠金維持率が高いほどレバレッジリスクは低くなります。
証拠金維持率=(純資産÷必要証拠金×100%)
ロスカットの基準は証拠金維持率によって決められています。FX会社によってその基準は異なりますが、一般的なロスカットと追証発生する数値を提示するので、参考にしてください。
これらの数値は公開されているので、口座開設の際には必ず、ロスカットと証拠金維持率の関係を確認しておきましょう。
(X社の基準) 証拠金維持率50%を切った場合⇒自動ロスカット発生 証拠金維持率100%を切った場合⇒追証(追加証拠金が発生)
初心者も証拠金維持率をイメージしてトレードしよう
トレーダーが管理すべき証拠金維持率は、トレードスタイルによって変える必要があります。スキャルピングやデイトレードの場合、適正な証拠金維持率は300%以上、スイングトレードやポジショントレードの場合は1000%以上を目安にするといいでしょう。
証拠金維持率を下げることはリスクが上がることです。安全なレートで息長く取引するためには、証拠金維持率に余裕をもってチャレンジするようにしましょう。
コメント