FXの情報収集をしていて、たまに目にするのが「アノマリー」という言葉です。
アノマリーは天文学や地球物理学、量子力学、生物学などから派生した考え方で、一般的な法則や理論から説明できない事象などを表す言葉ですが、為替相場にも用いられています。
アノマリーとはなにか
アノマリー(= anomaly)とは、「なぜそうなるかはうまく説明できないが、なぜか毎回そうなってしまう」といった法則のことです。マーフィーの法則のようにジンクスの一種のようなものもありますが、それなりに根拠がありそうなものもあります。
為替相場におけるアノマリー
為替相場におけるアノマリーとは、投資理論やファンダメンタルズ分析では説明がつかない為替相場の特異な現象をいいます。古くから、大阪証券取引所では1月の十日戎の時期は相場が上がり、7月の天神祭の時期は相場が下がるという格言(=アノマリー)があります。
また、日本のGW前の4月は円安になりやすいというアノマリーがあります。GWには海外旅行に行く人が増えるので、旅行のためのドル買い需要により円安になりやすいためだとされています。これなどは根拠のあるアノマリーといえるかもしれません。
そのほか「サザエさんの視聴率が景気と連動する」という面白いものもあります。
有名なアノマリー「ジブリの呪い」とは
有名なアノマリーに「ジブリの呪い」があります。毎月、第一金曜日に発表されるアメリカ雇用統計の日に日本でジブリのアニメーションが放映されると相場が暴落するというアノマリーです。
根拠はともかく、この法則に合致する確率はそれなりに高く、これまでジブリ放映日の雇用統計の数字は「圧倒的に悪い」という実績が残っています。
月別のアノマリーがある
アノマリーは年間を通じて、月単位で見られるアノマリーや、曜日やトピックスなど、その他の要因で発生するアノマリーが知られています。毎月ごとに為替相場をめぐるアノマリーがあるので、その一部を紹介しましょう。
●(1月)1月の(米ドル/円)相場の方向感が年間全体のトレンドになりやすい ●(2月)1月の反動で戻りが入りやすい ●(3月)日本企業の多くが年度決算を迎えるため(米ドル/円)は下落する ●(4月)新規の資金が流れ、為替が大きく動く ●(5月)「SELL IN MAY(5月には全て売れ)」という相場格言がある ●(6月)1月と同様、その年の高値あるいは安値をつける可能性が高い ●(7~8月)夏休みの影響で7月はドル高、8月はドル安になりやすい ●(9~10月)「10月効果」と呼ばれ、株価が底を付けやすい ●(11月)月末にかけて為替が反転する可能性が高い ●(12月)クリスマス休暇に向け、荒れる相場になりやすい
月別以外のアノマリー
ゴトー日
数字の5と10が付く日を「ゴトー日」と呼びますが、日本の輸入企業などドル決済が必要な企業は毎月の5日、10日に円を売ってドルを購入するためドル高になるとされています。
相場以外では、「ゴトー日は道路が混む」というのもありますね。
水曜日スワップ
マーケット市場が休みとなる土日分の金利が毎週水曜日にまとめてスワップ金利として付託されるため、金利の低い円を売って高金利通貨が買われる傾向があるといわれています。
オカルトチックなものもある
「米大統領選」の翌年は為替が動きやすいというアノマリーは有名です。
そのほかには、占星術の考え方に基づいたアノマリーで、相場が不安定になりやすい「水星逆行」や、相場の変化日になりやすい「新月・満月」といった少々オカルトチックなものもあります。
アノマリーはどこまで信じられるのか
アノマリーについては、一概に迷信として否定することはできない面もあります。なぜなら、アノマリーを信じて実際のトレードに反映させているトレーダーが一定数いるからです。ゴトー日、12月のクリスマス前の相場展開はアノマリー通りに動くことが多いので、FX投資家の相場心理を反映したものといえるでしょう。
しかし実際のところ、相場は様々な理由で動くものであり、アノマリーを信じる投資家もいれば、全く気にせずに利益を出している投資家も多いわけです。実際のトレードにおいては、たとえば順張りでトレンドに乗ったトレードをする場合に反対方向のアノマリーがあれば、少し意識しておくぐらいがちょうどいいのかもしれません。
アノマリーは知識として知っておく程度で構わない
FXにはさまざまな分析といくつものアプローチ方法があります。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析、そして最近ではBOTにトレードさせるシステムトレードがあります。アノマリーはファンダメンタル分析の一種ともいえます。
アノマリーは知識として知っておけば充分です。
実際のトレードにおいてアノマリーに従って勝てたように思えても、結果論であることが多いのではないでしょうか。少なくともアノマリーだけを根拠としたトレードはギャンブルと同じで、圧倒的にリスクのほうが大きいオカルト投資といえるでしょう。初心者は断片的な情報に限らず、テクニカル分析を加えた判断をして、長期的に勝てるトレーダーを目指すべきだと思います。
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