自分の予想が外れてマイナスになったのであればまだしも、単純なケアレスミスによって損を出してしまうと大きな後悔につながります。しかし、ケアレスミスは、どのトレーダーにも起こり得ます。
今回は、初心者がとくに気をつけたいケアレスミスナンバー1ともいえる「誤発注」の失敗例と、その対策について解説します。
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誤発注の危険
誤発注はトレードの王道ともいえるケアレスミスです。
FXの取引はクリック1回で約定してしまいますから、誤発注は本当に恐ろしいです。通常のトレードでは想定していない被害だけに、精神的にもショックを受けてしまいます。
「売り」と「買い」を間違える
一番多いミスは、売り買いのボタンを間違ってクリックして取引をしてしまう事案です。
たとえば、為替が天井に届いたポイントで「売り」を考えているケースで、間違って「買い」をしてしまった時には、それはもう大変なことになります。
たとえば(ドル/円=100円)で買ったケースで、103円になったところでドルを売る予定だったのに、103円でさらにドルを買ってしまったというケースです。その後、ドルが反転して下がって行ったら…。思わず背筋が寒くなります。
見ているチャートと違う通貨を取引してしまう
チャートを見間違えて、ほかの通貨を取引してしまうケースもあります。たとえば、(豪ドル/円)と(加ドル/円)などは数値が近い時が多いので、豪ドルと加ドルを間違えて取引しても、なかなかミスに気がつかないということも考えられます。
数量間違い
桁間違いで発注するパターンもあります。少ない桁なら問題ないのですが、大概の場合、(10,000⇒100,000)など、大きな桁に間違えるケースがほとんどです。
スキャルピングなどの短期トレードでレバレッジをかけた取引をした後で、長期ポジションを持とうと取引をしたところ、短期トレードで使用したレバレッジのまま、とんでもない数量で発注してしまったという事例もあります。
そのほかのミスパターンも紹介
深夜のトレードで取引最中に寝てしまい、起きたら大変なことになっていたというケースもあります。スキャルピングをしていて寝落ちしてしまい、起きてチャートを確認してみて顔面蒼白になったという話も耳にしたことがあります。
ジェイコム株大量誤発注事件
事件の顛末
2005年12月に新規上場した「ジェイコム」で、当時の「みずほ証券」が誤注文した有名な事件があります。
12月8日、東証マザーズに新規上場した総合人材サービス会社ジェイコムの株式において、みずほ証券の男性担当者が「61万円1株売り」とすべき注文を「1円61万株売り」と誤ってコンピュータに入力してしまいました。
この注文が入る直前まで90万円前後で推移していたジェイコム株は、大量のありえない売り注文を受けて、あっという間にストップ安の57.2万円に張りついてしまいました。
その直後に異常な安値に買い注文が群がったため、みずほ証券はようやくミスに気がつき、全発注量を買い戻すことを決定します。しかし時すでに遅く、買い戻し後にみずほ証券が被った損失は400億円を超えていました。
のちにジェイコム株を購入した証券会社からの返金が一部あったそうですが、当然ながら個人トレーダーからの返金はありませんでした。数億円~数十億円の売却益をあげた投資家がいたなど、この事件は証券界の悪しき伝説となってしまいました。
ジェイコム事件が教えてくれること
この事件の原因は証券会社担当者のケアレスミスです。プロの証券会社においてもこのようなケアレスミスは発生する可能性があるのです。ましてや、個人トレーダーが発注ミスをすることは充分ありうるということを前提にしておくべきだと思います。
残念ながら完全に誤発注をなくす方法はない
ケアレスミスをなくすために、さまざまな工夫をしているトレーダーもいます。たとえば、あるトレーダーは部屋の壁に大きく「再確認 ゼッタイ‼︎」と書いた紙を貼り付けているそうです。
そのほか、発注前の「声だし」「指さし確認」が有効だという投資家もいます。誰も見ていなければ恥ずかしくないでしょう。
やってしまったことは忘れる
対策をしていたつもりでも、それでも誤発注は起こり得ます。しかし、大失敗したことをいつまでもクヨクヨ悩んでいても結果は変わりません。売買チョンボなんて誰にでもあります。勉強代だと思って、次からは注文前に確認するようにすればいいのです。
誤発注をしても、たまたま利益が出ることがありますが、自分の取引のバランスを崩す元ともなり得ます。したがって、たとえ勝ったケースであっても、その事実を瞬間的に忘れるようにしたほうがいいでしょう。
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