ハイリスクといわれることが多いFXですが、そのリスクの本質については多くの人が理解していないように感じます。
これから本格的にトレードを始める初心者が最初にFXのリスクの本質を理解してからステージに上がることができれば、スタートダッシュで躓くこともなくなるのではないでしょうか。物事の根本を理解していれば、過度に恐れる必要もなくなります。
リスクとはなにか
一般社会におけるリスク
一般社会におけるリスクとは、事前に想定することが可能な「好ましくないこと」だといえます。予測できない事柄のことをリスクとはいいません。
「リスクがある」状況は危険が迫っていることを表しますが、その危険は事前に予測されるものです。たとえば、酒を飲んで車を運転すれば交通事故を起こす危険があることは事前にわかります。その行為の結果として、自分と周囲の人々に大きな危険を及ぼす可能性がありますから、「リスクがある」行動であるといえます。
また、何の知識も経験もない初心者がいきなり商売を始めるというのも、ノウハウの習得や開業までの時間と手間がかかり、資金の回収が難しいことが予想されることから、これもまた「リスクがある」行動だといえます。
リスクの程度を測る不確実性とは
FXや投資の世界では、リスクとは「不確実さの程度(不確実性)」を表します。そもそも為替相場は不確実なものですが、状況によってその不確実さの程度は様々です。
不確実性が低い状態(きっと、こうなるだろう)⇒「リスクが低い」 不確実性が高い状態(どうなるかまったくわからない)⇒「リスクが高い」
飲酒運転をすれば高い確率で何らかのトラブルや事故を引き起こすことが考えられますが、FXの視点で考えてみると「リスクが低い(不確実性が低い)」ケースです。また、無謀な商売を始める場合も不確実性は低いといえます。これらは事前に回避することができるからです。
FXにおいては、結果が容易に想定できて回避することが可能であればリスクが低いと判断されます。
FXがハイリスクだといわれる理由
つまり、一般常識で考えてFXはハイリスクです。これは間違いありません。
どういうことかといえば、「どれくらいの利益や損失になるかわからない」という意味でハイリスクなのです。FXは一般社会の現象と比較して、不確実性が極めて高いということです。
ここで注目すべきは、FXのリスクは一般社会とは異なり、「どれだけ大きな利益になるのかもわからない」という点です。FXのリスクには損失だけでなく、収益も含まれているのです。
FXトレードでは、良い結果と悪い結果の両方が起きる可能性があります。それがどの程度の大きさになるかも不確実であり、大きな損失から大きな利益まで、起きる結果の範囲がとても広いのです。
初心者の多くがFXの本質に触れる前に退場してしまう
FXはハイリスクです。どれだけ大きな利益や損失になるかがわからない不確実性が高い世界です。大きな利益が得られる可能性がある一方で大きな損失になるかもしれないわけですから、参入すること自体がリスクであり冷静に考えれば恐ろしくてやってられません。
現実的には、このような本質を理解しないまま、多くのFX初心者が大きな利益の可能性だけを求めて市場に参入し、そのほとんどが早々に大きなダメージを喰らってステージから退場していきます。
FXの不確実性に対抗する手段はあるか
不確実性は確率論では克服できない
FXの世界は誰に対しても平等に「ハイリスクな不確実性」を突きつけてきます。
トレーダーの多くが囚われているのが、不確実なものを当てようという考えです。言い換えるなら、「確率論(予想)で不確実性を克服しようとしている」といえます。これが根本的な間違いなのです。
不確実性の中にあるわずかな法則性を探し出す
したがって、無理やり未来を当てようとせずに利益を出す方法を探さなければなりません。そこには、わずかな望みが残されています。それは不確実性のなかに存在するわずかな法則性である「確率的な傾向」を発見することです。
為替相場の多くの時間は値動きがどうなるかわからない状態にあります。しかし、何らかのタイミングで相場が上下どちらかへ動く確率が高くなる瞬間が訪れます。そのときに、その確率的な偏りに従ってトレードすることが利益を出していくために重要なのです。これを「確率的な傾向に従う」といい、確率的な偏りが発生する状況のことを「優位性がある状況」と呼びます。
トレーダーがポジションをもつ場面は「優位性がある状況」でなければなりません。
優位性がある状況を見極め、その状況でのみトレードするのが原則です。ただし、これすらも裏切られるケースは少なくありません。なぜなら、「優位性がある状況」は不確実性の一部だからです。「優位性がある状況」を判断する基準も、あくまでも「確率論」ではなく「経験則」に立脚したものであるというのがFXにおける分析の本質です。
予想によって不確実性を克服することはできないのです。
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