「ネックライン」という指標を使ってトレンドの転換を知るテクニックがあります。今回は「ネックライン」の仕組みの紹介と、初心者トレーダーの取引における判断基準についても合わせて解説します。
ネックラインとはなにか
ネックラインはチャートパターンの転換したタイミングに引いた線のことで、トレンドの転換点を意味する指標として活用されています。一般的にネックラインは、それまでポジションを保有していたトレーダーが「決済を考える」または「決済すると予想される」ラインであると認識されています。
ネックラインを構成する典型的なパターンがある
ネックラインは為替の変わり目を発見するためのツールです。したがって、どこに引いてもいいわけではなく、ネックラインが有効に働く典型的なチャートパターンが知られています。
・ダブルトップ ・ダブルボトム ・トリプルトップ(三尊) ・トリプルボトム(逆三尊)
ネックラインの理解の前に、これらのチャートパターンを確認しておきましょう。
これらのチャートパターンにネックラインを引くことができる理由は、いくつかの山谷を過ぎたあとにネックラインを抜けて一方向に動き出す可能性が高いからであり、すなわちそのポイントがトレードチャンスになるからです。
簡単そうで実は奥が深いネックライン
ダブルトップの場合は、2つの山の頂点を結んだ線と平行に、谷を通って水平に引いた線がネックラインになります。トリプルトップの場合は、2つの谷を結んだ線がネックラインです。
ここまでならごく簡単な話です。しかし、実際に運用する場合はどうでしょうか。チャートを見ても、ダブルトップや三尊などの典型的な形が明確に現れるケースは少ないのではないでしょうか。このことがネックラインを難しくしている原因です。
チャートが一方向に動くメカニズム
相場が理想通りに動くことはむしろ少ないとはいえ、流れを知っておくことは初心者にとって勉強になるはずです。相場の動きのメカニズムを理解しておくことにより、ネックラインの見極めの理解につながります。
相場は一定のジグザグを描いたあと、かならず一方向へ動き出します。上掲の典型例のうち、ダブルトップのパターンから、その理屈を考察してみましょう。
チャートは上昇方向にある
トレンドの流れに乗って「買い」トレードが伸び、最初の山を構成します。ある程度伸びたところで多くのトレーダーが利益を確定するために「売り」が増え、相場は上昇の勢いを落しながら山の頂上に近づいていきます。
チャートは下降反転し、ふたたび上昇する
最初の山の頂点に達する(売り買い拮抗の状態)と、以後は「売り」の力が強くなり、チャートは下降に向かいます。
価格が下がっていくと、今度は「買い」が参入して下降のペースが下がり、あるポイントで一旦ストップします。底値でも「売り買い拮抗」の状態になるわけです。そのポイントは一見すると押し目になっているので、今度は上昇を見込んで「買い」が集まり、再度上昇していきます。
上げ渋りの状況になる
前回高値のポイントで「上げ渋り」の状態になります。多くのトレーダーが、これ以上相場が上がらないと見越して「売り買い拮抗」の状態にな、り2つ目の山を構成します。
ふたたび反転しネックラインをブレイクする
上げ渋りの状況から「売り」が集まって相場が下がり始め、今度は前回安値を更に下げる状況が現れます。そこから加速的に「売り」を仕掛けるトレーダーが現れ、ネックラインをブレイク(突破)すると、さらに下降への流れが強くなります。
チャートの動きのメカニズムから見えてくること
ダブルトップをモデルに解説しましたが、「上げ渋り」の攻防が3回続いた場合はトリプルトップになります。
複数の山を越えたあとに、「ネックラインをブレイクすると、ブレイクした方向に一気に伸びる」というトレーダーの心理がネックラインをブレイクするトレード行動につながり、実際にチャートの結果となって現れるのです。
ネックラインを難しく考えすぎてはいけない
ネックラインの基準点を決めるのは難しい
初心者は、ともすればイレギュラーなチャートに無理にネックラインを引いてしまう傾向があります。基準が明確になっていないラインはむしろ危険です。
自信がないために、無数に線を引いてみたり、ラインを引いても迷ってトレードに踏み切れなかったり、その逆に根拠のない無謀なトレードに走ってしまうことにつながります。
だからこそ神経質になる必要はない
難しく考えればキリがありませんから、結論からいえば、「細かいことは気にしないでネックラインを引いて試してみる」というスタンスでOKです。実施にトレードする前に、何度か自分で引いたラインを検証してみるのがおススメの学習法です。
そして実際に運用する際には、完全にトレンドを見誤るのは論外としても、「数pipsの誤差は許容範囲」といった割り切った考え方をしたほうが現実的です。
前述のように、紹介したようなお手本通りのチャートパターンが現れてくることはむしろ少なく、実際の相場では微妙な形が現れることのほうが断然多いはずです。微妙な形を目の前にしたときには、無理にラインを引いて焦ってエントリーするのではなく、様子見するという判断が正解だと思います。
ネックラインは戦略のひとつであり絶対的なものではない
ネックラインはチャートパターンの一部であり、チャートパターンは戦略の中の根拠のひとつに過ぎません。まずは相場を正確に客観的に捉えるところから始め、相場に合った戦略を立てられるようになってから、次のステップとしてチャートパターンやネックラインといったテクニカルな手法に注目していけばいいと思います。
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