FX用語に「ロング」と「ショート」というものがあります。頻繁に出てくる用語なので、これからFXを始めようという初心者トレーダーもその意味を理解しておきましょう。
「ロング」と「ショート」の意味
「ロング」「ショート」という言葉はもともと信用取引の用語で、株の信用取引や先物取引で使われていました。FXでは「買い」のことをロングといい、「売り」のことをショートといいます。「ロングポジション」は「買いポジション」、「ショートポジション」は「売りポジション」です。
「ショート」とはどんな取引か
FXにおけるショートとは、あらたに通貨を売ること、もしくは売りポジションを保有することを指します。株式の信用取引などでも用いられる「空売り」と同じ意味です。保有して価格が下落した時に決済すれば収益になります。
「ロング」とはどんな取引か
ロングは、あらたに通貨を買うこと、もしくは買いポジションを保有することを指します。ロングの場合は、安いレートのときに買ってレートが高くなった時に決済すれば利益を得られます。
FXの値動きは人間心理を映す鏡である
上昇するよりも下落のほうが圧倒的にスピードが速い
FXチャートは「値動きは上昇するときより下落するときの方が短期間で動く」傾向があります。
上昇には長い時間(ロング・タイム)がかかりますが、下落は短期間(ショート・タイム)で起きるのです。
短期間で発生する下落はトレーダー心理の影響
人間はできるだけリスクを避けようとする生き物です。突然の自然災害と同じように、目の前に損失の危険が迫ってくると、人はリスクを回避しようとする本能によってパニック的な行動をとってしまいます。
その結果、多くのトレーダーの集合意識が雪崩のような「売り」を呼び起こし、急速な下落となって現れます。俗に「ガラる(暴落する)」という言葉がありますが、これには「ナイアガラの滝のように激しく落ちる」という意味が込められています。
「買いでも売りも同じはずでは」という素朴な疑問
「買い」も「売り」も同じようにエントリーできるFXにおいて、下落だけが短期間で起きる理由は何なのでしょうか。これも心理的な要因だと考えれば、つじつまが合います。
その理由はFXチャートの視覚的な影響です。
世界中のトレーダーが見ているFXチャートは基本的にどれも同じです。人は視覚的に上昇しているチャートを見ると、「価値が増えている」「安全に上向いている」という印象をもつものです。その反対にチャートが下落していると、「危ない!」「怖い!」「逃げろ!」という危険な印象を強くもつ傾向があるのです。
ショートでトレードする際の注意点
初心者はショートをイメージすることが難しい
売りからトレードを始めるショートポジションは、日本人にとってはなじみが薄いことが多く、ピンとこない人や苦手な人も多いようです。感覚的に慣れていないと、相場が下落している時に決断できずに収益機会を逃してしまうことがあり得ます。
新規でFXに参加する動機として、外貨を買うと金利がつくというメリットがあります。日本では株取引経験者がスワップポイント狙いでFXに参入するケースが多いのです。株式投資において「空売り」の馴染みが薄いことから、FXについてもその延長で捉えてしまう傾向があるため、ショートをイメージにくいのだと考えられます。
スワップポイントに注意しよう
低金利通貨を買って高金利通貨を売るとスワップポイントの支払いが発生します。ショートポジションを長く持ち続けていると、スワップポイントを長期にわたって支払い続けることになり、利益を圧迫することにもなるので注意しましょう。
「ショート」を意識すればトレードの力量が上がる
ショートとロングを使いわけて勝率アップ
「登り百日、下げ十日」という相場格言があります。ロングポジションだけで取引する場合は上昇相場でしか利益を出すことができませんが、ショートポジションであれば下落相場にも対応できます。ロングとショートをうまく使いわけることによって、上昇下落いずれの相場状況でも利益を狙うチャンスを窺うことができます。
FX初心者がショートの取引を理解することは難しいので、実際にトレードする前にデモトレードでシミュレーションして慣れておくことをおススメします。自信がついたら実際のトレードにトライしましょう。
「下落は速い」原則を知っているだけでも有利
複雑なテクニカル手法に頼るまでもなく、チャートは「上がるときは遅く、下がるときは早い」という原則を知っているだけで、悩ましいタイミングでも正しい判断ができる可能性が高まります。
トレードを行う際には短期と長期の両方の時間軸で検討していきます。同じような下落相場であっても、それが短期的に値下がりする相場なのか、それとも長期的に値下がりする相場であるのかよく見極め、長期チャートで相場の流れや動向を示すトレンドを意識しておくことが大切です。
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