FX会社と取引をする際に必ず注目するのは為替レートです。しかし、為替レートはどこでも同じというわけではなく、FX会社によって微妙に違うことについて疑問に感じたことはないでしょうか。実は為替レートはカバー先(カウンターパーティ)によって違ってくるのです。
カバー先(カウンターパーティ)とはなにか
カバー先によって異なる仕入れ相場
FX会社はインターバンク市場(金融機関によって為替取引が行なわれている市場)で直接取引するわけではなく、提携金融機関がインターバンク市場で取引している為替レートをリアルタイムで受取り、そのレートを基にトレーダーにレートを提供しています。
カバー先とはFX会社に対して為替レートを提供している金融機関のことです。FX会社がトレーダーに提示する取引レート(スプレッド)は、FX会社のカバー先である金融機関から提供された為替に利益を上乗せした価格です。
為替レートを決定する仕組み
スーパーマーケットで取り扱っている品物を想像してみてください。トレーダーは買い物客で、スーパーはFX会社、カバー先は卸業者です。スーパーは卸業者から仕入れた品物に利益を上乗せして買い物客に販売しています。
卸業者からの仕入れ値は微妙に違います。スーパーマーケットは商品を卸業者から仕入れると、仕入れ値に利益分を上乗せして客に売っているのですが、FX取引でも理屈はこれと同じです。
FXの仕入れ価格が違う
FX会社によってスプレッドが違う理由
たとえば円と米ドルの取引において、円を米ドルに交換するレートと、米ドルを円に交換するレートには微妙な違いがあります。FX会社はこの差額に若干の手数料を上乗せしてトレーダーに提供しています。これがスプレッドの仕組みです。
スプレッドの元になる為替レートはカバー先の金融機関によっても違います。先に引用した卸業者によって仕入れ価格が異なるのと同じ理由で、FX会社が提携するカバー先によってスプレッドが決まります。
普段はイメージしないFX注文の仕組み
普段意識することはありませんが、FXでは以下のような流れで取引がおこなわれます。
トレーダーからの買い注文があると、FX会社はそれと同じ買い注文をカバー先に入れます。FX会社は問屋として外貨を仕入れてくれるわけです。
その後、トレーダーがそのポジションを決済する(売り注文を出す)と、FX会社はそのタイミングでカバー先に同じ売り注文を出して、FX取引が約定します。実際に売り買いするのはトレーダーではなくFX会社で、トレーダーはプラスもしくはマイナス分の差額のみ精算するわけです。
FX会社が複数のカバー先と提携している理由
FX会社は、通常一社だけではなく複数のカバー先と契約をしてレートの提供を受けています。契約先が複数になることで負担も大きくなる(資金も余計に必要となる)のですが、それでも複数社とのカバー先契約をしています。
取引価格の選択肢が広がる
FX会社は小売店で、卸業者であるカバー先から外貨を仕入れているという説明をしました。それでは、卸業者を多くもつことのメリットは何でしょうか。
ここでもスーパーマーケットを引用してみましょう。小売店の世界も競争ですから、できるだけ安く商品を提供できるほうがビジネスとして有利です。品質が同じ大根の仕入れ値が100円、110円、120円と卸業者によって違うのであれば、当然ですが100円で仕入れたほうがいいでしょう。
FX会社としては安いカバー先のレートで仕入れることができれば、それだけ顧客に安い価格を提供することができ、口座開設を検討している新規顧客に対してスプレッドの狭さをアピールすることができます。あるいは自社の利益分も少し多めに乗せることができます。
何らかの事情で取引先と取引できなくなることへの対策
複数のカバー先と提携するもうひとつのメリットは、特定のカバー先と急に取引ができなくなった場合でも、複数のカバー先があればより安定的な取引ができるということです。
たとえば「9.11同時多発テロ」が起きたとき、米国の金融機関はすべてストップし、米国内のカバー先との取引ができなくなりましたが、米国以外の複数社のカバー先と契約していたFX会社は顧客に取引レートを配信することができたという例があります。
FX会社のカバー先を確認する方法
各FX会社のカバー先は「契約締結前交付書面」に掲載されています。
最近はインターネットで口座開設をすることがほとんだと思いますが、口座開設を始める際に、各書面の確認ページがあります。その中にある「契約締結前交付書面」で確認することができます。
結論をいえば、カバー先数が多いFX会社のほうが有利です。当然ながら各金融機関の質も重要になってきます。個人レベルで確認することは難しい話ですが、数が多い方がリスクを抑える効果がある可能性は高いのは確かでしょう。FX会社を選別する時には是非思い出していただければと思います。
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