FXを始めたトレーダーの90%が負け組になるといわれています。その中でも、わずか数回の取引で大損をして退場を余儀なくされる初心者はあとを絶ちません。
今回は、ある程度のまとまった元手があるにも関わらず早々に退場してしまう初心者トレーダーの特徴について、元手(投資金額)100万円のケースを例にして詳しく分析していきます。
どの程度の「負け」を大損というのか
ひと口に大損といっても、その金額は人それぞれの感覚次第です。1万円の損失で大損と感じる人もいれば、1,000万円の損失でも動じない人がいるかもしれません。ここでは、FXが投資であるという観点から、元手100万円を例にとって、大損のメカニズムを解明していきます。
大損するトレーダーの特徴
FXで早々に大損する人のほとんどの理由は、1回の損切り額が大きいことに尽きます。損切り額を少額にしていても負けが積み重なって元手を失うケースはありますが、一発退場になる人の特徴とは一致しません。
投資金額に対して取引量が大きすぎる
大損の最初の理由は、投資資金に対して取引量が大きいことが挙げられます。実際に取引量の大きいトレードを行った場合に負けが続くとどうなっていくのか、元手100万円の場合で実際に検証してみましょう。ここではロスカットに注目してください。
<1回目のトレード> ・(ドル=100円)で20万ドル取引 ・必要な証拠金は(100円×20万ドル×4%)=80万円 ・1円値下がった99円でロスカット ・その結果、元手の残りは80万円
<2回目のトレード> ・(ドル=100円)で15万ドル取引 ・必要な証拠金は(100円×15万ドル×4%)=60万円 ・1.33円値下がった98.67円でロスカット ・その結果、元手の残りは60万円
<3回目のトレード> ・(ドル=100円)で15万ドル取引 ・必要な証拠金は(100円×10万ドル×4%)=40万円 ・2円値下がった98円でロスカット ・その結果、元手の残りは40万円
ここまでわずか3回の負けトレードで、元手は100万円から40万円に減ってしまいました。このように、投資資金に対して取引量が大きいトレードを繰り返すとロスカットのリスクが大きくなり、わずか数回の取引で元手をほとんど失う結果になる場合もあるのです。
損切りルールを決めていない
「損切りができない」もしくは「損切りラインを決めていない」トレードは破綻の理由になります。損切りをしないトレードで好成績を残しているプロのトレーダーはいません。それぐらい損切りというのはFXトレードにおいて重要な要素なのです。
実際の取引場面で、目先の含み損が惜しくて損切りを決断できないトレーダーがいますが、実はこの行動こそが本末転倒で危険な行為です。相場をコントロールすることができない以上、トレーダーはコントロール可能なリスク管理で資産を守るしかないのです。
「相場が戻ってくるかも」「損失を確定したくない」といった邪念に惑わされてポジションを保持したままでいると、あとで大きな損失を受けて後悔することになります。
大損を回避する方法
取引量を小さく抑えるための2%ルール
取引量を大きくする最大の目的はリターンを大きくすることです。大きなリターンを望むためには大きなリスクも伴うのですが、リスク管理を考えていない初心者トレーダーがあまりにも多いのです。
リスク管理の視点から、どのような考えで取引量を決めればいいのかといえば、「トレーダー自身が取れるリスクの範囲内で取引量を決めるのが正解」ということになります。そこでおススメするのは「2%ルール」です。2%ルールとは、1回のトレードで負う損失額を元手の2%以内に抑えるという自主規制です。
元手が100万円の場合、1回あたりのトレードの最大損失額は100万円の2%(2万円)以内に設定します。1万通貨の取引なら200pips以内、5万通貨の取引ならば40pips以内、10万通貨の取引ならば20pips以内です。その後、もし元手が減った場合でも、元手の2%以内に損失額を設定して損切りレートを設定します。
1回あたりの損失額を元手の2%以内に抑えれば、かりに5回連続して負けるようなことがあっても、損失額を当初の元手に対して10%以内に抑えることができるはずです。この程度のマイナスであれば、取り返すことは充分可能です。
損切りを事前に設定する
損切りをしたくてもなかなかできない人の場合は、対処方法は確実にひとつだけあります。それは、事前に損切りを設定してしまうことです。
人間は心理学的にも得するよりも損をしたくないと思う動物です。すでに持っているポジションに対して、相場を見ながら適切に損切りができるようになるまでは相当な訓練が必要です。2%ルールを決めたとしても、そのときの感情に流されてしまいがちになります。
したがって今すぐに損切りができるようになるためには、ポジションを持つと同時に損切りの設定をしてしまう以外に方法はありません。自動設定してしまえば、あとは放っておくだけなので、損切りできないという悩みはなくなります。あとは、大きな損失とならないために上記でご紹介した「2%ルール」を使って損切りラインをトレードごとに決めていきましょう。
ここまで徹底すれば、もう損切りができないという悩みはなくなります。そして、それはかならず大損の回避につながるはずです。
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