「FX初心者のレバレッジは2倍にすべき」という主張がミスリードである理由

テクニカル編

FX初心者向けの書籍やサイトを見てみると、「初心者のレバレッジは、リスクを軽減するために2倍ぐらいに抑えたほうがいい」と書いてあるものがあります。確かにレバレッジを抑えればロスカットまでの値幅を大きく見ることができるので初心者にとって安心感がありますが、このトレード方法は必ずしもリスク回避にならない可能性があります。

今回は「レバレッジ2倍」説の間違いについて、その理由を詳しく解説します。

「レバレッジは2倍にすべき」主張の根拠とは

「レバレッジは2倍」説の根拠は結局のところロスカットです。

投資資金のほとんどを証拠金として使うハイレバレッジの取引では、取引価格からほんの少しマイナス方向に相場が変動しただけで、余剰証拠金が枯渇してロスカットになるリスクが高くなります。その反対に、レバレッジ2倍の低レバレッジであれば証拠金として使用していない余剰証拠金が多いので、ロスカットになるまでの値幅を大きく見ることができます。

「レバレッジは2倍」説はロスカットがなければリスク軽減につながるという発想から初心者には低レバレッジが向いていると主張しているわけです。

ロスカットはリスクなのか

ロスカットは何のためにあるのか

ロスカットは、証拠金以上のマイナス(不足金)が発生することを防ぐために用いられている仕組みです。FX会社にとっては自社が顧客の差益損をかぶらないために活用する仕組みなのですが、トレーダー側にとっては「これ以上損失が大きくならない」という意味があります。

ハイレバレッジによるロスカットはどの程度のリスクか

ハイレバレッジに対するリスクについてはこのような考え方が成立します。

・ハイレバレッジのトレードでは小さな為替変動でもロスカットされやすい
・ロスカットになってしまうと強制決済で損失が確定する

ロスカット回避がリスク軽減になるかどうか検証する

(ロスカット=リスク)すなわち(リスク軽減=ロスカット回避)という発想だということはわかりましたが、実際にロスカットがリスクなのかどうかを検証してみます。

資金100万円で(ドル=120.00円)のときに買い、その後為替が下落したケースで考察してみることにしましょう。

レバレッジ20倍で20万ドル買った場合

(資金100万円)-(証拠金96万円)=(余剰金4万円)
(余剰金4万円)÷20万ドル=(ロスカットまでの値幅0.20円)
(買値120.00円)-(ロスカットまでの値幅0.20円)=(119.80円)

120円で買ったドル円は(119.80円)でロスカットになり、マイナス4万円で確定しました。

レバレッジ2倍で2万ドル買った場合

(資金100万円)-(証拠金9.6万円)=(余剰金90万4,000円)
(余剰金90万4,000円)÷2万ドル=(ロスカットまでの値幅45.20円)
(買値120.00円)-(ロスカットまでの値幅45.20円)=(74.80円)

かりに120円から80円以下まで大暴落したとしても、レバレッジ2倍の場合はロスカットにかかりません(74.80円までロスカットされない)。

ロスカットされないことでリスク回避できたのか

このように、レバレッジを低くすることによりロスカットまでの値幅を大きく見ることができることから、多くのサイトや本では「リスク軽減になるので推奨します」と薦めているわけです。

レバレッジ20倍のケースではわずかな値動きでロスカットされましたが、損額は4万円です。それに対してレバレッジ2倍のケースでは、大恐慌クラスのドル安になってもロスカットされることはありません。しかし現実的な話として、たとえば120円から118円まで下落した際の含み損はいくらになるでしょうか。

(下落した価格118円)-(買値120円)×2万ドル=(-4万円)

ドルが(120⇒118円)に下落した際の含み損は、なんとレバレッジ20倍のケースと同じ4万円になりました。

「マイナス4万円といってもあくまでも含み損だし、価格が戻る可能性もある」という主張もできるでしょう。しかし、価格が戻るかどうかは誰にもわかることではなく、さらに含み損が増える可能性もあるわけです。

かりに価格が戻るとして待っていたとしても、確証もない状態のまま、投資した資金は塩漬けで動かすことができません。そのような状態で多額の含み損を抱えるよりも、さっさと早めに損切りして次の可能性のあるポジションを持った方が、利益を生む期待値が大きいのではないでしょうか。猫道場としてはそのように考えます。

FX初心者にふさわしいレバレッジとは

それでは、初心者トレーダーはどれ位の倍率でトレードを行えばいいのでしょうか。

答えは「レバレッジは関係ない」です。なぜなら、レバレッジの倍率を変更してもリスクをコントロールすることはできないからです。

先の試算では、ハイレバレッジにするとあっという間にロスカットになるし、低レバレッジにすると、相場状況によっては含み損を大きく抱えてしまうことになりかねないことが確認できました。リスク問題はレバレッジとは関係ないのです。

リスクはコントロールできます。リスクをコントロールするためには損失額をコントロールすればいいのです。「初心者がどうすれば失敗しないのか」の答えをひとつだけ挙げるとすれば、それは「1回の損失額を少額に抑えること」に尽きます。1回から数回のトレードで大きな損失を受けて資金があっという間に底をついてしまい、相場から撤退しなければならない初心者が実に多いのです。

FX超初心者専科 猫道場 道場主H

FX超初心者専科 猫道場 道場主H

FXトレードは知識や経験の差によって、結果に大きな差がでます。 多くの人が1年以内にトレードから撤退していますが、その原因の多くはやはり知識や経験の少なさによるものです。 FXはボードゲーム(将棋やチェスなど)に例えられることがあります。 どんなゲームでも基本が身についていなければ、相手に勝つことはできません。 孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。 戦いに勝つためには、まず相手のことを知らなければならないという意味です。 FXにおいて、みなさんが戦う相手は、「市場(しじょう)」という大きな敵です。 市場と戦うための知識の入り口として、ぜひこのサイトを役立てていただきたいのです。 そして、経験についてはトレードを積み重ねることによってしか得られません。 みなさんにはご自分の資力の範囲で、無理のないトレードを開始していただきたいと思います。 「はじめに」でも触れましたが、FXトレードは奥が深いものです。 将来の勝ち組を目指して、また、その過程で経験するであろうFXの怖さやワクワク感をぜひ堪能してほしいと思います。 どんなゲームにもビギナーズラックがありますが、そのような幸運は長くは続かないことを知り、くれぐれも丁半博打のような無謀なトレードをしないように気をつけてください。

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