プロスペクト理論で初心者トレーダーの大負けを分析してみる

初心者を狙う罠

「プロスペクト理論」はマーケティングやセールスを行ううえで重要な意思決定の仕組みをモデル化した理論で、意思決定する際には客観的事実に対して人間の感情が「歪み」をもたらすことにより、必ずしも合理的な選択がなされない可能性があることを示唆しています。

この理論は、FXをはじめさまざまな投資における意思決定の分析に応用できることが知られています。今回はプロスペクト理論から導き出されるFXトレーダーの心理や「負け」のメカニズムについて解説していきます。

プロスペクト理論とはなにか

プロスペクト理論は「確率加重関数」と「価値関数」という2つの指数から成り立っています。

確率過重関数

確率加重関数とは、客観的確率が低いときには過大評価し、客観的確率が高いときには過小評価する心理状態を示すメカニズムです。

人間は目の前の現象に対して客観的な確率通りに受けとめることができず、状況や希望的観測によって認識に差が生じることがあります。たとえば宝くじを購入する場合に、高額当選する確率はかなり低いことは理解していながら、「もしかしたら1等が当たるかもしれない」という過度の期待をしてしまうのが前者の一例です。

その一方で、自分の生命に関わるような手術で「90%の確率で成功します」といわれても、「万が一失敗したらどうしよう」と成功の確率を過小評価して不安に感じてしまうのが後者のケースです。

価値関数

価値観数は人間が感じる価値と客観的な価値の間に差があることを示します。この傾向には「損失回避性」が大きく影響します。

損失回避性とは、損をすることに対して過剰に恐怖を覚える性質のことで、同じ金額であれば、利益を得る喜びよりも損をする苦痛の方をより大きく感じるという特徴があります。10万円得することよりも、10万円損することの方が、人間の感情は大きく動きます。

プロスペクト理論と人間の心理

人間心理は期待値と合致しない

「100万円もらえる確率は90%」「90万円もらえる確率は100%」という2択があった場合、期待値が小さいにもかかわらず、多くの人は90万円もらえる方を選択します。

その一方で、「100万円損する確率は90%」「90万円損する確率は100%」の場合、期待値は(-90万円)の方に理があるにもかかわらず、多くは(-100万円)の方を選びます。わずか10%の確率に期待をかけすぎてしまうわけです。

プロスペクト理論はFXにも当てはまる

多くのFX初心者が大損をしてしまう理由のほとんどは、「損切り」ができないことです。マイナスを確定させてしまうことが怖いのです。

このことを理解しておかないと、いつまで経っても大損の可能性をなくすことができません。大損した後には誰もが損切りの必要性に気がつくのですが、ほとんどの場合は後の祭りです。

プロスペクト理論の恐ろしさ

多くの投資家は収益よりも損失のリスクに敏感に反応します。これまで言及したように、成功確率を客観的事実よりも高く見積もり、損失回避を期待する認知バイアスが働くためです。

金額が大きいほど価値を小さく感じてしまう

プロスペクト理論の柱のひとつである価値観数のグラフはS字曲線を描いています。これによると、人間には損得ともに金額が大きくなるほど価値を感じにくくなるというやっかいな性質があることがわかります。

具体的には、同じ2万円の損失であっても(100-98)万円よりも(10-8)万円の方がダメージを大きく感じる傾向があるということで、実際のトレードに当てはめてみると大変危険な兆候となります。

損を避けることを優先する傾向がある

FXトレードで含み益が出ている場合に、「利益が出てうれしい」という感情ではなく、先行きがわからないために「暴落して損をしたらどうしよう」というマイナスの感情に囚われてしまう人がいます。

このような心理状態にあるトレーダーは「損をしたくない」というマイナスの感情が勝り、まだ上昇の可能性があるにも関わらず、売却して利益を安定させてしまいます。

逆転を狙ってハイリスクな選択をしてしまう

その一方で、損失が出ているときにはリスクを冒してでも損失分を取り戻そうとする精神状態になります。宝くじのような低い確率に賭けてしまうのです。

プロスペクト理論から脱出する方法

プロスペクト理論では、同じ金額でも損失した方が感情は大きく動きます。この感情は「損大利小」と呼ばれています。

含み損が発生した際に、勝てるトレーダーは確実に損切りを行うことができますが、負けるトレーダーは損切りを決断できずに、どこかで相場が好転するかもしれないという根拠のない期待をしてしまいます。

(+10万円)なら決済できるのに、(-10万円)になると決済できないのです。

同じ金額であるにも関わらず、感覚の捉え方が利益方向と損失方向で変わってしまうのは不合理です。合理的なトレードをするためには、プロスペクト理論から脱して物の価値そのものを捉えることが重要なのです。

FXでは一度の勝ち負けではなく、一年間のトータルで勝つという気構えをもつことが大切です。もし毎回のトレードに対して勝ち負けにこだわる考え方が強すぎるのであれば、スタンスを最初から見直す必要があります。

FX超初心者専科 猫道場 道場主H

FX超初心者専科 猫道場 道場主H

FXトレードは知識や経験の差によって、結果に大きな差がでます。 多くの人が1年以内にトレードから撤退していますが、その原因の多くはやはり知識や経験の少なさによるものです。 FXはボードゲーム(将棋やチェスなど)に例えられることがあります。 どんなゲームでも基本が身についていなければ、相手に勝つことはできません。 孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。 戦いに勝つためには、まず相手のことを知らなければならないという意味です。 FXにおいて、みなさんが戦う相手は、「市場(しじょう)」という大きな敵です。 市場と戦うための知識の入り口として、ぜひこのサイトを役立てていただきたいのです。 そして、経験についてはトレードを積み重ねることによってしか得られません。 みなさんにはご自分の資力の範囲で、無理のないトレードを開始していただきたいと思います。 「はじめに」でも触れましたが、FXトレードは奥が深いものです。 将来の勝ち組を目指して、また、その過程で経験するであろうFXの怖さやワクワク感をぜひ堪能してほしいと思います。 どんなゲームにもビギナーズラックがありますが、そのような幸運は長くは続かないことを知り、くれぐれも丁半博打のような無謀なトレードをしないように気をつけてください。

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