FXトレードはルールに従っておこなわなければなりません。FX取引には「金融商品取引法」により禁止されている事項がいくつかあり、禁止行為には罰則が設定されています。
インサイダー取引の禁止
「インサイダー取引」とは、株価や為替に影響するような上場会社や特定の国の国情等に関する内部情報を知り得る立場にある者が、その重要事実が公表される前に当該企業の株式や外貨の売買をしてはいけないというルールです。
相場操縦の禁止
「相場操縦」とは、相場を意図的・人為的に変動させることによって一般投資家に誤解を与え、取引を誘引する目的をもっておこなう下記の行為です。
これらはおもに悪意のある大資本のプロトレーダーや大型ファンドがおこなう詐欺的な為替操作です。
仮装売買や馴合い売買など
仮装売買は、同一人物が、同一外貨を同じ時間に同じ価格で売りと買いの注文をおこなう売買です。相場が活発になっているという間違った情報を広める効果があります。大量発注により直近の公表価格よりも価格を上昇または下降させる行為や、複数のFX会社との間で売りと買いの注文を同時期に大量に注文するといった手法が知られています。
「馴合い売買」は特定の顧客間で「買い」「売り」の注文を成立させる売買です。手法は仮装売買と同様ですが、同一人物ではなく複数人が共謀して取引します。
他にもある為替操作の手法
そのほかには、短時間で大量の注文をおこない、約定させることによって為替を意図的に動かし、一般トレーダーの「買い」参入を誘発する行為が知られています。罠を仕掛けた側は、買いが集中したところで一気に売り抜けて差益を狙います。
そのほかの禁止事項
風説の流布の禁止
為替相場の変動を図る目的をもって風説を流布し、暴行や脅迫行為、偽計を用いることは金融商品取引法で禁止されています。昨今はインターネットを通じてフェイク情報を拡散させるケースも目にすることがあります。
仮名・借名取引の禁止
「仮名取引」とは架空名義や他人名義などを使用して素性を隠しておこなう取引のことです。家族や友人など本人以外の名義を借りて名義人になりすましておこなう取引のことを、とくに「借名取引」といいます。
このような取引は、反社会勢力の資金源や、脱税やマネー・ロンダリングの温床になる可能性があるため禁止行為に指定されています。
アービトラージ取引
アービトラージ取引(裁定取引)とは、通貨の価格の歪みを見つけて取引する方法で、「サヤ取り」「スプレッド取引」などと呼ばれることもあります。具体的にはFX会社の外貨価格の差を利用することによって利益を出す方法を指します。
為替レートはFX会社ごとに微妙な違いがあります。
(ドル/円)のレートに関して、A社は(ドル=106.000円)、B社は(ドル=105.880円)とします。アービトラージ取引は、割高なAのドルを売り、割安なBを買います。その後、両者の価格差が縮小した時点でそれぞれの反対売買をおこなうことによって利益を獲得するというもので、理論的には必勝のトレード手法といえます。
国内のFX会社ではアービトラージ取引は禁止されていますが、一部の海外のFX会社では禁止されていないケースもあります。
禁止行為をおこなうとどうなるか
FX会社は顧客の取引や注文の状況について、相場操縦、仮名・借名取引、インサイダー取引などの不公正取引に当たる売買の有無を監視しています。証券取引等監視委員会などからの調査依頼に基づいて、特定の顧客の売買審査をおこなうケースもあります。
不公正取引を発見すると、FX会社は顧客に対して、ログイン後のお知らせ画面やメール、電話連絡で売買目的のヒアリングをおこない、注意喚起をします。注意喚起に応じない場合は、約款に基づいて顧客の口座に取引制限がかけられたり、最悪のケースは口座が凍結されることもあります。
多くの禁止行為は犯罪です。不公正取引に対しては、FX会社のペナルティ以外に、法令諸規則により課徴金や罰金、懲役といったペナルティが科せられることがあるので注意しましょう。また、インターネットでの不正を助長するような勧誘には安易に乗らないようにしてください。
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