週末になっても決済せずにポジションを持ち続けている人は、デイトレードやスイングトレードではなく、長期トレードをおこなっている場合が多いと思います。あるいは、金曜日に決済をし忘れていて、月曜の朝になって為替が暴落し顔面蒼白になったという経験があるトレーダーもいるかもしれません。
そこで今回はポジションの「持ち越し」の注意点について、詳しく解説していきます。
ポジションの「持ち越し」とはなにか
土日の「持ち越し」にはリスクが伴う
FXにおける「持ち越し」とは、外国為替市場が休みになる土日にポジションを持ち続けることを意味します。そのほか、年末年始の「持ち越し」というケースもあります。「持ち越し」には想定外のリスクが伴うので注意が必要です。
年末年始の為替市場はさらに注意が必要
12月25日のクリスマスは日本時間の14~16時頃に取引終了となります。12月31日の大晦日は通常営業で、1月1日は完全に休場です。1月1日が日曜日の場合は翌2日が振替休日となり、休みになります。
年末年始に「持ち越し」をするケースでは、通常の土日以上に予測不能の為替変動に注意が必要です。
為替市場が閉まっていても相場は動き続ける
土日の間に為替に影響を与えるような事件や事故が勃発する可能性があります。リーマンショックのような大事件のほか、戦争やテロ、大規模な自然災害などが考えられます。ところが、ポジションを持ち越していると、損失が発生することが自明であったとしても、指をくわえて月曜の朝に為替市場が開くのを待つしか方法がありません。
その結果、為替市場が開いた時にはすでに大量の売り注文が先行し、損失が確定した状態からのスタートとなってしまいます。あるいは朝イチでいきなりロスカットになってしまうこともあり得ます。
「窓が開く」とはどういう現象か
週明けには「窓」が開く
チャートを見ていて「ローソク足がいきなりジャンプしている」現象を目にすることがあります。この状態を「窓」とか「窓開け」などといいます。とくに週末に市場が閉まり、再開した週始めのチャートに見られる現象です。
為替レートは一方向に規則正しく動くわけではなく、不規則に上下動を繰り返しています。為替市場が動いている時間帯であれば、時間軸でレートの動きを追うことができますが、週末は時間軸に空白があるため、週明けの相場との間に大きな乖離が発生する場合があります。これが「窓」の正体です。
たとえば、週末に(ドル/円=100円)だったものが、月曜の朝にはいきなり(=95円)になっていたといった現象が発生しうるのです。
窓が開いたあとの動きは事前に予測できない
窓が開いているということは、相場と為替の実態との間に大きなギャップが生まれているということを表しています。そのため、本来の価格を大幅に上回っていたり、反対に下回っている状態を、あるべき為替相場に戻すための動きが起こるケースがあります。「窓が閉じる」動きです。
その一方で、「窓が開く」というのは窓の出た方向への勢いが強いことを意味しますから、調整が働かずに、そのままトレンドを形成するケースもあります。一般的には、相場は開いた窓を閉じる方向に動くことが多いのですが、開いたままになるケースもあるのです。
「窓」を狙ったトレード手法
ポジションの「持ち越し」とは離れますが、「窓」を狙ったトレード手法が知られています。中級以上のトレーダーは参考にしてみてください。
窓が閉じるかどうかを見極めるひとつの目安
窓が閉じるか、それとも開いたままかを見極めることは、「窓狙い」トレードをする際の決定的なポイントです。それには、ひとつの目安があります。
開いた窓が閉じるかどうかは、多くの場合は1時間以内に決着することが多いということです。1日から2日かけて窓が閉じるケースもないことはないのですが、ごく稀な現象です。むしろ、1時間経っても窓が閉じない場合は、そのまま開き続けることの方が多いとされています。
「窓狙い」のトレードはスキャルピングが有効
デイトレやスキャルピングの場合は、窓の発生を確認した後、1時間ほど相場をウォッチして窓埋めの有無を確認したうえで、窓が閉じなければ順張りをするのがセオリーです。読みが外れたとしても、すぐに損切りしてポジションを建て直すことで対応します。
初心者はポジションの「持ち越し」をしないほうが賢明
週末にポジションを持ち越すことはリスクが大きく、できれば避けた方が賢明です。ポジションを持っていなければ土日に大きな事件が起きてもノーダメージです。「持ち越し」をしなければ土日にFXのことを考えずに済むので、精神衛生上も健全です。
「窓狙い」のトレード手法も紹介しましたが、初心者がスキャルピングを駆使することは難しいと思います。金曜日の昼間もしくは夜の段階でポジションを整理して、週末はポジションを持たない状態で迎える。週末の間に今週の相場や取引の振り返りをして来週の戦略を練るというのが、多くのトレーダーが実践している健全な手法です。ぜひ実践してみてください。
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