システムトレード(シストレ、自動売買)は、コンピューター独自の判断で機械的に売買を完結するトレード方法です。人間に代わってシステムが決まったルールに基づいて自動的に売買をおこなうため、トレーダーが寝ている間や仕事をしている間にも、売買のタイミングを逃すことがありません。
システムトレードを導入しているトレーダーは増えていますが、実際には思うように収益をあげることができないといった口コミもよく耳にします。そこで今回は、システムトレードで勝ち続けることの難しさについて、わかりやすく解説していきたいと思います。
裁量トレードとシステムトレード
裁量トレードとは
「裁量トレード」とは、トレーダー自身の判断でトレードをおこなうトレード方法です。トレーダーの判断によって、売買や利益損益の確定、損切りなど、あらゆる相場の状況に合わせて自分の判断でトレードをおこないます。
裁量トレードでは、さまざまな相場環境に柔軟に対応できるというメリットがありますが、その一方で、トレーダーの感情を抑制することが難しいという問題があります。
システムトレードとは
システムトレードはトレーダーの感情や取引時間に左右されずに淡々と自動取引をおこないます。一度ルールを決めてしまえば機械が淡々とトレードを繰り返すので、損切りが遅れて一度に資金の大半を失ってしまうといった大きな損失を避けることができます。
一方で、システムトレードはイレギュラーな動きに弱く、長期的に有効なルールづくりが難しいという欠点があります。
システムトレードで勝ち続けることは難しい
「システムトレードで長期的に勝つことは難しい」という感想を多くのトレーダーから聞くことが多いです。その理由について、詳しく見ていきましょう。
相場にはさまざまな局面がある
為替相場は、ポラリティ(価格変動の幅)の大小やトレンドとレンジといった相場の傾向の違い、方向感のない相場や急騰急落の場面など、さまざまな表情を見せることがあります。このような千差万別の局面において、長期的にずっとひとつのルールを運用し続け、勝ち続けることは現実的ではないと思うのです。
トレンド相場ならトレンド相場の、レンジ相場ならレンジ相場の立ち回り方があります。裁量トレードであれば、そういった相場の局面に合わせて自分のルールや戦略を変えて対応することができますが、システムトレードには難しいということです。
イレギュラーな展開の方がむしろ普通の状態ともいえる
疫病の流行や地震、台風、噴火などの天変地異、クーデターや戦争、事件事故や要人の発言など、世界中ではいろいろなことが発生しています。これはとくにイレギュラーな事象などではなく、むしろこのような事件事故が発生するのは普通の状態だといえます。
そのたびに相場は大きく変動します。裁量トレードであれば、このような事象をしっかり確認したうえで、トレードに生かすことができますが、システムトレードではそれも難しいのです。
有効なシステムトレードはいずれコピーされる
有効な投資手法はコピーされてしまうという性質があります。非常に優秀な投資手法があって、非常に優秀なシステムが組めたとして、それで勝ち続けることができたとしても、いずれはその手法は多くの人にマネされて陳腐化していきます。
したがって今現在、圧倒的に勝てるシステムトレードが存在していたとしても、1年後や2年後も勝てるかというと微妙です。
かつて世界を席巻したヘッジファンドの場合は、莫大な利益を生んだ手法が外に漏れてコピーキャットが多数出現し、そのファンドをまねてトレードする人が増えたことによってその手法が通用しなくなり、最終的には潰れてしまいました。
システムトレードによる取引の限界
長期的に有効なルール作りは非常に難しく、その理由として以下の3つが挙げられます。
・相場には普遍的な法則がないこと ・環境はコントロールできないこと ・有効な投資手法はすぐにコピーされてしまうこと
長期的に有効なルール作りが難しく、イレギュラーな相場に弱いというシステムトレードの特徴は、安定的な利益を出すという目的に対して致命的な弱点といってもいいでしょう。
現在システムトレードをおこなっているトレーダーも裁量トレードの勉強を並行してすすめ、システムトレードで結果が出なくなったとこきに備えて、いつでも裁量トレードに切り替えできる体制を準備しておくことが肝心です。
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