FXでは投資の基準やリスクヘッジのために最低限必要な計算があります。
多くのFX会社ではこれらの指標を自動計算してくれるサービスを用意していますが、FXの基本的な仕組みを理解するうえでも、自分で計算できるようにしておきたいものです。ほかのページでも個別に解説していますが、今回はFXトレードをするために最低限必要になる「証拠金」「レバレッジ」「ロスカット」の3つの計算式をまとめて解説します。
難しくないので、ぜひこの機会に覚えてしまってください。
証拠金の計算方法
FXで取引するためには口座に「証拠金(取引するための保証金)」を預けなければなりません。そして、実際に取引をおこなう際には「必要証拠金(個別の取引に必要な保証金)」を確認しておく必要があります。
必要証拠金を計算する算式
(必要証拠金)=(取引価格)×(取引通貨単位)×(証拠金率4%)
どの通貨ペアを取引する場合でも、この公式ですべて計算できます。
(ドル=100円)のケースで、1万ドルの買いポジションを持つ場合の必要証拠金は以下のように算出できます。
(必要証拠金)=(100円)×(1万ドル)×4%=40,000円
4万円あれば100万円分(1万ドル)の取引ができることになります。
レバレッジの計算方法
続いて、「レバレッジ」の計算方法です。FXでは取引をする際にレバレッジをかけてトレードすることができます。レバレッジは「てこの原理」ともいわれていて、投資資金の何倍もの取引が可能な仕組みです。
国内のFX口座ではレバレッジは25倍まで設定可能
日本国内のFX会社では最大25倍までのレバレッジ設定が可能です。レバレッジの数値が高くなればなるほど、投資資金に対するリターンやリスクの比率が高くなります。「レバレッジ25倍」の場合、たとえば10万円の投資資金であれば250万円分の外貨取引ができることになります。
それでは、レバレッジの計算方法を見てみましょう。
(レバレッジ)=(取引価格)×(取引量)÷(口座の入金額)
レバレッジとレバレッジ率の関係
レバレッジと似た言葉に「レバレッジ率」があります。レバレッジとレバレッジ率は、表現が違うだけで意味は同じです。
レバレッジでは「α倍」となりますが、レバレッジ率の場合は「α%」となります。具体的には、レバレッジが10倍の場合、レバレッジ率は10%(=1÷10倍)となり、レバレッジが25倍の場合は、レバレッジ率は4%(=1÷25倍)となります。
レバレッジを計算するための取引例
FX口座に入金している投資資金が10万円で(ドル=100円)のとき、1万ドルの買いポジションを持つ場合のレバレッジは以下のようになります。
(レバレッジ)=(100円)×(1万ドル)÷(10万円)=10倍
もうひとつ別の例題で計算してみましょう。FX口座に入金している投資資金が20万円で、(豪ドル=80円のとき)、3万豪ドルの買いポジションを持つ場合のレバレッジはこのようになります。
(レバレッジ)=(80円)×(3万豪ドル)÷(20万円)=12倍
レバレッジは12倍ですから、レバレッジ率は8.33%(=1÷12倍)になります。
ロスカットの条件を計算する方法
「ロスカット」はFX取引によって損失額が取引口座内の資金に対して一定の割合を超えた場合に、自動的にすべての取引を決済(精算)してしまうルールです。
ロスカットされることはできれば避けておきたいですから、どのレベルまで相場が下落すれば執行されてしまうのか、計算方法を覚えおくと大変便利です。ロスカットの基準はFX会社によって違うことがありますが、ここでは一般的な「100%ルール(のちほど解説)」を例題にして説明します。
ロスカットを計算するためには「純資産」「必要証拠金」「余剰金」を用います。
(純資産)=(口座にある現金残)+(含み差損益)+(スワップポイント) (余剰金)=(純資産)-(必要証拠金)
たとえば、口座に10万円あって、保有ポジションの含み損が1万円でスワップポイントの受取額が3,000円ある場合は、純資産と余剰金は以下の計算になります。必要証拠金は、(ドル=100円)のケースで、レバレッジ25倍で1万ドルの買いポジションを持つ場合(=4万円)を想定して計算します。
(純資産)=(10万円)-(1万円)+(3,000円)=93,000円 (余剰金)=(93,000円)-(40,000円)=53,000円
それではロスカットの計算方法に移ります。一般的な「100%ルール」を想定して計算しますが、「100%ルール」では余剰金がなくなった時点でロスカットが執行されます。
(下落幅)=(余剰金)÷(取引量)
先ほど同様に、投資資金が10万円で、(ドル=100円)で1万ドルの買いポジションを持った場合のロスカットまでの下落幅は、このようになります。
(余剰金)=(投資資金10万円)-(証拠金4万円)=6万円 (下落幅)=(余剰金6万円)÷(取引量1万ドル)=6円
買値である100円から6円下落した94円でロスカットされることになります。
なお、厳密にいうと、スワップポイントが加算されるため94円よりも低い価格になると考えられますが、計算を単純化するためにここでは考慮していません。
これらはすべてトレードの基本となるもの
「証拠金」「レバレッジ」「ロスカット」の3つを覚えてしまえば、ひとまずFX取引の計算で困ることはありません。ひとつひとつの計算も慣れてしまえば難しくはありませんし、自分で計算できるようになることによって、FXの仕組みの理解がすすむと思います。
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