FXで多額の借金を背負ってしまったという話を聞くことがあります。基本的にはFXで大きな借金を背負うことは考えづらいのですが、破産してしまうほどの借金を抱えてしまう理由とは一体何なのでしょうか。
基本的にFXで借金を抱えるリスクは低い
トレードするためには最初に「証拠金」を預ける必要がある
FXを開始する際には「証拠金(保証金)」をFX会社に預けます。取引によって損失が発生した場合にはこの証拠金で精算されます。
FXで大きな損失が出て証拠金が元本割れになることは、普通は考えられません。なぜなら、ほとんどのFX会社には「ロスカット」という強制的な決済システムがあるからです。
一定以上の損失が出ると「ロスカット」が実行される
「ロスカット」とは、トレードによって含み損が一定以上になった場合に、FX会社が自動的に決裁を行うシステムです。損失が証拠金を上回る前に強制的に自動決済してしまう仕組みなので、本来は証拠金がゼロになることはあっても、マイナスになるケースは基本的に発生しようがないはずです。
それでもFXで借金を抱えてしまう理由とは
為替の大暴落
通常の取引では証拠金が枯渇する前にロスカットが作動するので、証拠金がマイナスになることはありません。ところが、あまりにも急激なレート変動が起こると、FX会社のシステムが対応しきれずロスカット機能がうまく発動されないことがあります。
2015年にはスイスフランが短時間のうちに40%も暴落したために、ロスカットのタイミングが間に合わず、証拠金を上回る大損失を出したトレーダーが多く発生しました。非常にまれなケースではありますが、注意して取引を行っていても借金を抱えてしまうこともあり得るということです。
週末の間に相場に大きな変動があったケース
週末をはさんでポジションを保持しているケースで、月曜の朝に為替の大変動があり、週明けに市場が開いた瞬間にいきなりロスカットが成立するケースがあります。大幅な為替の下落があった場合には、証拠金が元本割れする可能性があります。
元本割れした分はFX会社への借金になるので、返済が必要です。
FX会社のシステムトラブル
FX会社のシステムにトラブルがあった場合に、ロスカットが発動しないケースや決済したいタイミングで決済できないケースも考えられます。多くの場合、FX会社側ではシステムトラブルに対する補償はありません。
借金をして取引を続行するケース
実際には急激な為替変動で証拠金の元本割れを起こすのは稀なケースです。トレーダーの借金の最大の理由は、トレーダー自らが進んで借金をして取引につぎ込むパターンです。
証拠金が枯渇すると以後の取引ができなくなってしまうので、トレードを続けるためには追加で証拠金を入金する必要があります。これを「追証(マージンコール)」といいます。FX会社から追証の通知が来たあと、指定された日時までに証拠金を追加で入金すれば、ロスカットを回避して現在のトレードを続行できます。
ロスカットを受け入れて一度立ち止まることができればいいのですが、損失確定を過度に恐れるあまり、追証を繰り返すのは危険な兆候です。追証によって取引は継続し、その後為替が回復してプラスに転じる場合もありますが、さらにマイナスが膨らむ可能性もあります。
追証のマイナスを背負った状況で、冷静さを失った状態でトレードを続けると、多くの場合はさらに証拠金を減らし、追証を繰り返して借金が膨らむ悪循環に陥ります。気づいたときには莫大な借金を背負っていたということにもなりかねません。
FXで借金をしやすい人の特徴
本来であれば、比較的安全な投資といわれているFXですが、借金を繰り返してしまうトレーダーには、いくつかの共通点があるといわれています。
・感情に流されやすい人 ・ハイリスクハイリターンのギャンブルが好きな人 ・普段から財布の紐が緩い人 ・自分にとって都合の悪い事実を認められない人 ・ビギナーズラックでたまたま儲けてしまった初心者
FXで成功するためのコツは着実に利益を積み重ねていくことです。目の前の状況だけを見て、感情的に流されてしまうと適切な判断ができなくなります。FXをギャンブルのようにとらえて、一攫千金を目指すトレーダーも危険です。
初心者が注意したいのはビギナーズラックです。たまたま勝ったことにより根拠のない自信を身につけてしまうと、いずれ例外なく自滅してしまいます。
リスクを回避するための心得
初心者トレーダーが借金のリスクを回避するためには以下の5つのポイントを守って下さい。
資金の準備
FXで借金地獄に陥らないためには、「余剰資金で取引を行う」ことが大切です。生活費や必要なお金をFXにまわすのは厳禁です。「このトレードで損を出したら、生活に影響が出る」と思えば、冷静な判断は難しくなります。
勉強や研究を怠らない
値動きの相場を見極めることはプロでも難しいものなのです。初心者やアマチュアは研究や勉強を怠らず、無理なトレードを避けるようにしましょう。少額取引も学習のための貴重な機会となります。
マイナー通貨に手を出さない
FXではさまざまな通貨に投資できますが、マイナー通貨は変動幅が大きいうえ、予想も難しいため、初心者は手を出してはいけません。繰り返しお伝えしていますが、初心者のトレードは(ドル/円)の一択です。
週末はポジションを持ち越さない
取引ができない週末にポジションを持っていると、思わぬ為替変動に巻き込まれて想像以上の損失を被ってしまう可能性があります。ポジションは金曜日のうちに決済しましょう。
かならず損切り(ストップロス)を入れる
リスク管理のうえで絶対欠かせないのが「損切り(ストップロス)」です。
初心者にありがちなのが、損切りするタイミングを逃して大きな損失を被ってしまうケースです。自分で損を確定させる行動は想像以上に難しいものですが、適切な損切りをするためには自分のルールを設定することが需要です。設定したルールは、どんな場面でも例外なく機械的に淡々とこなすようにしなければなりません。
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