ニュージーランド経済は貿易依存度が高く、貿易がGDPの約70%を占める貿易立国です。
最大の輸出先は2013年にオーストラリアから中国へと変わり、輸出全体の20%が中国向けになっています。そのため、ニュージーランド経済は中国の動向に大きな影響を受けます。
NZドルは資源国通貨といわれていますが、豪ドルやカナダドルとは少し性質が異なります。ニュージーランドの主要輸出産業は鉱物資源ではなく、酪農業です。NZドルを検討する際には食肉や乳製品などの動向に注目しましょう。
ニュージーランドドル(NZドル)の特徴
高金利通貨NZドル
NZドルの特徴は、ほかの主要先進国通貨と比較して高金利通貨であることです。
ニュージーランドは経済規模が小さいため、ニュージーランド政府は外貨を呼び寄せて国内に資金を供給することを重要課題としています。そのため高金利を維持することによって国外からの投資を促す国策をとっていることから、NZドルは高金利を維持しているわけです。
豪ドルとの高い連動性
ニュージーランドの貿易相手国は長らくオーストラリアがナンバーワンであり、観光分野でも40%がオーストラリアからの観光客です。NZドルは豪ドルと連動性が非常に高く、NZドルは通称「オージーキーウィ」という別名があります。
為替市場でもNZドルは豪ドルと似た値動きになる傾向があり、多くの投資家がNZドルと豪ドルを相互連動の組み合わせとして取引するケースがよく見られます。ただし、最近では金融政策の違いなどから連動性がやや薄れているようです。
NZドルの変動要因
NZドルはその性質上、市場の混乱による影響を受けやすいといわれています。全体的に通貨の流通量が大きくないことから、米ドルや豪ドルをはじめとした国外通貨の予想外な値動きや貿易収支の乱高下といった混乱が生じると、値がつきにくくなることがあり、偏った値動きをみせることもあります。
不測の事態があると危険な動きをする通貨でもあるので、NZドルを扱うことに関しては初心者には少し難しいかもしれません。
農産物価格の影響
ニュージーランドのおもな産業は、畜産(乳製品・肉類・羊毛)、農産(果実・木材)などの一次産品で、これらが輸出の(60~7%)0を占めています。世界各国の畜産・農産物価格の影響を受けやすいので、グローバルな気候変動や大規模な伝染病(たとえば狂牛病など)の発生に注目しましょう。
「リスクオン」「リスクオフ」の影響
豪ドルにも同じ傾向があるのですが、NZドルは市場のリスクオン、リスクオフの影響を受けやすい傾向があります。リスクオンとは、投資家たちが「イケイケドンドン状態」で投資を行っている状況で、リスクオフはその反対に、投資家たちが財布の紐を締めている状態をいいます。
リスクオフでは円や米ドルのような安全資産に買いが入り、上昇下落の激しい通貨やマイナー通貨の買いが入る状態をリスクオンと呼びます。NZドルはリスクオンでは上昇し、リスクオフでは下落傾向が強くなるとされています。
NZドル取引のポイント
NZドルは豪ドルと連動した値動きになりやすい特徴があります。地理的・経済的に密接な関係があるので、どちらかの国でイベントの発生や重要指標の発表があれば、同時に売り買いが頻発する傾向が見られます。
取引量が少ないことから急激な乱高下も充分に予想され、米ドルの値動きにも影響を受けます。先述のように、グローバルな酪農・農業価格の影響も大きいでしょう。このように、NZドルは変動要因の多い通貨であることに注意が必要です。
NZドルの今後の動向
NZドルの為替は引き続き豪ドルの動向に注意が必要ですが、最大の輸出先である中国経済の動向にも注目しておく必要があります。ニュージーランドはオーストラリアほど中国との関係性は悪くありませんが、中国経済の影響は充分考えておく必要があります。気候変動の影響や、米中関係の悪化などによる中国国内の農産品の需要の変化には注目しておきましょう。
その一方で、近年は新型コロナ対策への評価が高く、今後はNZドルの上昇を呼ぶという論調が多くなっているように感じます。
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