FXをやっていて疑問に思うことは、為替レートは何によって動くのかということです。たとえば、経済指標の数字が良ければ為替は上昇し、紛争や災害が起これば為替は下降します。
理屈はそうであっても、いずれのケースにおいても実際に通貨を売買する人がいることで通貨レートが動くことは事実です。
一体誰が通貨を売買しているのでしょうか。通貨を売買するのはFXトレーダーだけではありません。もっとスケールの大きい売買をする存在があることを、初心者も知っておくべきだと思います。
外国為替市場の現状について
外国為替市場の自由化による国内市場の変化
現在、日本国内の外国為替取引の世界では貿易取引などの実需よりも短期で利益を上げる投機的な取引が圧倒的に多くなり、投機的取引の割合は国内の取引全体の90%に達するといわれていますが、その原因は1998年4月の外為法改正によって個人にも為替取引が解禁されたことによります。
個人投資家の参入によって、FX市場は独特の世界観を作り出しています。
誰が為替取引に参入しているのか
しかし個人投資家の存在は、市場全体からするとごく小さなものです。注目すべきは、大量の資金を使って株式や債券で運用をおこなう「機関投資家」の存在です。その影響力は絶大で、おもなFX通貨ペアに占める機関投資家の割合は90%以上といわれています。
機関投資家には、世界各国の政府系金融機関や銀行、グローバル企業のほか、いわゆるヘッジファンドなどがあります。また、日本国内にはこのような組織が機関投資家とされています。
日本銀行 生命保険会社、損害保険会社 信託銀行、普通銀行、信用金庫 年金基金、共済組合、農協 政府系金融機関など
金融系機関投資家の取引手法
各種銀行や生命保険会社、年金などの金融系投資家の為替投資は、短期的に利益を上げることを目的としているわけではなく、長期的な視野に立って投資をすすめているのが特徴です。したがって、普段の為替相場に大きなトレンドをもたらす動きを見せることはあまり多くありません。
しかし、金融機関がポジションを決済するときには大きなトレンドが発生します。長期的な視点に立っている金融機関の投資スタイルは、節目となる四半期ごとの決済日や、年度末などに決済する機会が多い傾向があります。とくに年末や年度末は、新年度予算の関係もあって、ポジションを手仕舞いする金融機関が多いのです。したがって、この時期については個人投資家にとっても、トレンドに乗じて利益を得る可能性が広がります。
気になるヘッジファンドの存在
われわれ個人トレーダーが注意しておきたいのがヘッジファンドの存在です。金融機関系の機関投資家と異なり、ヘッジファンドは短期的な収支を得ることを目的としており、投機的な仕掛けをして利益を狙うケースが多いからです。
ヘッジファンドの暗躍の歴史
かつて大手ヘッジファンドが為替を揺るがした有名な事例があります。
1992年に起きた「ポンド危機」は、世界の投資家として著名なジョージ・ソロス氏が仕掛けたものです。大量のポンドを売り浴びせ、レートが下がったところで買い戻すという投機的なやり方でソロス氏は大儲けしました。
また1997年に起きた「アジア通貨危機」は、ヘッジファンドを中心とする機関投資家による空売りを原因に起こったもので、タイやインドネシア、韓国の経済に大打撃を与えました。
ヘッジファンドの取引手法
古典的なヘッジファンドは、マクロ経済や主要国の金融政策を分析し、その分析に基づいて運用をおこなってきました。かれらが得意とするのは市場分析に基づいて相場のシナリオをつくることです。そのシナリオに沿って、富裕層から集めた投資資金をつぎ込み、大きなリターンを得てきました。ジョージ・ソロス氏はその代表格です。
最近では、コンピューターにプログラミングされた情報を基本に、ごく短時間で取引を完了する手法が主流になっているようです。大容量のコンピューターを駆使して(1/1000秒)もしくはそれ以下のタイムで売買を繰り返して利益を狙います。一般的なトレーダーはこのようなハイテクと戦わなければならないのです。
個人投資家の選ぶべき方針とは
チャート分析の努力を惜しまないこと
機関投資家対策としては、個人投資家はかれらが考えていることを理解し、順張りしていくというのがベストのシナリオです。具体的には、機関投資家がチャート(ローソク足)でどのようなパターンでどういうトレードをするのかを知ればよいわけです。
機関投資家のロジックを分析することが勝つためのポイントだということがわかれば、トレーダーの学習の方法性として、チャートの学習を積むということに尽きると思うのです。市場が上昇しているということは、機関投資家たちの大部分が買っているということですから、個人投資家もその流れに乗るというように、シンプルに考えるといいのではないでしょうか。
11~12月に一般投資家にもチャンスが来る
ヘッジファンドは一般投資家の資金を掠めとることを目的にしているので、これまでも仕手戦に巻き込まれてマイナスを被った経験があるトレーダーもいるかと思いますが、有効となる可能性があるヘッジファンドへの対策があります。
ヘッジファンドは投資家へのリターンのために年末までに決済して資金を回収する必要があります。とくにクリスマス休暇が始まる前には持っているポジションを手仕舞って、利益を確定するケースがほとんでです。
ここが一般投資家のチャンスでもあります。大きな売買が発生すると、上昇トレンドあるいは下降トレンドが発生する可能性が大きくなります。したがって11~12月はトレンドが発生するチャンスが増え、個人投資家にとって稼ぎ時となる可能性があります。ぜひ頭の隅に入れておいてください。
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