FXは為替が上がるか下がるかの2択で結果が決まるので、理論的には勝率50%のゲームです。さらにチャート分析のテクニックをあげることで勝率を70%、80%にアップし、大きな利益を狙うというテーマのネット記事を目にすることもあります。
ところが実際にトレードを続けてみるとわかりますが、勝率50%がかなり難しい壁だということに気づかされます。
勝てる局面はおそらく20%程度しかない
勝てるチャンスは案外少ない
FXを調べていると、「簡単に儲かる」「億万長者になれる」など、夢のようなことを発信している記事をたくさん目にします。いつかは自分も大金持ちになりたいというきっかけで参入するトレーダーもいることでしょう。億トレーダーになる可能性がないとは断定できませんが、そこに行きつくまでには大変な努力や才能が必要なことも事実です。
「たくさんトレードすればどんどん儲けられるはず」と短絡的に考えてトレードを続けても、絶対にうまくいきません。ほとんど資金を失ったあとで、勝ちトレードのチャンスは20%もないということに気づきます。それが現実です。
20%のチャンスと80%のピンチをどう生かすか
勝つチャンスが20%もないのですから、利益を求めてトレードの回数をどんどん増やしていくのは間違ったアプローチです。それと同時に、80%の負けトレードにエントリーすることが避けられないとすれば、いかにして負けトレードで資金を減らさないように上手に負けるかについて、徹底的に考えなければなりません。
目の前のトレードで勝つことは目標ではない
FXトレードでもっとも重視すべきは、目の前のトレードの勝ち負けではなく、自分が決めたトレードルールに従うことです。
トレードルールに従うことにより、自分の手法やエントリー根拠、改善すべき点などの検証をおこなうことが可能になります。また、トレードルールを厳守することにより、FXにおける重要な忍耐力を磨くことにも繋がります。
トレードで大負けするメカニズム
引くタイミングを逸すると引くに引けなくなる
FXは生身の人間がおこなっています。エントリーするにあたっては、トレードルールを決めエントリーポイントを厳選し、「ここだ!」と確信したところでエントリーしているはずです。サラリーマンであれば、帰宅後の限られた時間の中で、やっと巡ってきたエントリーチャンスに心弾ませてエントリーしていることでしょう。
ところが、自分の思惑とは逆にレートがすすんでしまうと「絶対に勝たなければならない」という気持ちが強くなり、引くタイミングを失うことになりがちです。
そして傷口はどんどん広がる
損切りのタイミングを完全に逸して含み損がどんどん拡大すると、トレーダーの焦りの気持ちが大きくなります。あれこれと根拠なく為替が反転する可能性を探し、ポジションを持ち続ける理由をくどくど考え始め、傷口をさらに拡大させてしまいます。
大負けの結果
含み損が耐えられないほどに大きくなってから、ようやく決済しなければならないことに気づきます。あるいは強制的にロスカットされてしまうケースもあります。
「厳密にトレードルールを守っていたら損切り額は(5pips)で済んだのに、(50pips)も負けてしまった」という事態もあり得ますが、後の祭りです。
大損を招くと落ち込むし、次回は同じミスを繰り返さないと心に誓うのですが、それでも何度も同じ間違いを繰り返してしまいます。目の前のトレードの勝ち負けへのこだわりが強すぎるからです。
うまく負けることが勝ちトレーダーになる方法
FXで収益を出すことは無理なのではないかという疑問
最初に紹介したように、勝てるエントリーチャンスは20%もないのですから、負けトレードのほうが圧倒的に多くなるのはむしろ当然のことです。このように説明すると、FXにはまったく「旨味」がないように感じるかもしれませんが、20%のチャンスでも利益を残すことは可能です。
重要なことは資金を大きく失わないこと
トレードを始めた当初、多くのトレーダーが大きなマイナスを経験します。数回の損失トレードでFXが怖くなって止めてしまう人も少なくありませんが、一度や二度の失敗で落ち込んでいてはダメです。
FXの目標はトータルで勝つことであり、そのために肝心なのは破滅的な損失を招かないことです。トレード資金が完全に底をつき、継続できなくなることだけは避けなければなりません。
勝ち組に入るためには「損少利大」が鍵となる
相場の格言に「損少利大」という言葉があります。何度か少ない損失をしても、大きく利益を出せるトレードがあれば、トータルで勝てるという意味です。大負けを避けることができれば、勝率が低くてもトータルで勝つ可能性が高いのです。
損少利大のトレードをするためには「資金管理」の学習がポイントになります。
トレーダーの90%は90日以内に資産を失う
退場を余儀なくされているのは、ほとんどが初心者です。つまり、ある程度の期間、相場で戦うことができれば生き残れる可能性が高まるのです。
また、退場率90%という数字にも惑わされてはいけません。
国家資格試験をイメージしてみてください。難関資格の合格率は10%未満です。しかし、受験生は皆、実力が拮抗しているわけではありません。おそらく全体の50%程度は真剣に勉強をしていない「思い出受験組」だと思います。結局、実際の合格率は20%ぐらいに上がると考えられるのです。
FXでも同じことがいえます。退場する90%のトレーダーの多くはほとんど勉強もせず、ルールも理解しないままにスタートして敗れ去った人たちです。したがって、これから本格的にFX市場にデビューする初心者も、スキルアップすることによって20~30%以上の可能性で勝ち組に残れるはずです。
そもそも勝ち組トレーダー(10%)も最初は負けトレーダーからスタートしています。このような考え方が根底にあれば、自然と目の前のトレードの勝ち負けに拘らない大局観を得られるように成長できるのではないでしょうか。
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