FXトレードは取引期間によって分類されますが、一回の取引を数秒~数分という非常に短い時間内におこなう手法を「スキャルピング」といいます。
スキャルピングは瞬間的に売買の判断をしなければならないので、為替が「どのように動くのか」「どこで決済すればいいのか」ということを瞬時に判断し、決済する技能が必要です。そのため、スキャルピングはベテラントレーダー向きのトレード手法だといわれ、初心者トレーダーには難しい手法とされています。
スキャルピングの特徴
1回ごとの利益と損失幅が小さい
スキャルピングでは、1回あたりの利益や損益は大きくありません。取引が完結するまでの時間が短いために為替相場が大きく動くことが少ないからです。
突発的な金融危機などのタイミングでトレードすれば大きなマイナスを被る恐れはありますが、常識的には数秒~数分間の間にロスカットまで行くような為替変動は起こりにくいと考えられます。
通信環境に左右される
スキャルピングは一瞬の値動きが利益に大きく影響する手法なので、通信環境が悪いとスリッページ(注文価格と約定価格がずれること)が大きくなり、思い通りの為替で取引できない可能性があります。
FX会社の約定力に左右される
スリッページはトレーダーの通信環境とともに、FX会社のシステムの能力にも左右されます。FX会社のサーバーが脆弱だとスリッページが大きくなる(約定力が低くなる)ので、口座開設する際には、サーバーが堅牢な会社を選ぶようにしましょう。
スリッページやFX会社の約定力の差は小さな金額です。しかし利益幅の小さいスキャルピングにおいては、スイングトレードなど長い時間の取引よりも経費の違いをシビアにとらえるべきです。
スキャルピングが危険だといわれる理由
やみくもにエントリーしやすい
4時間足や日足では膠着状態であっても、1分足や5分足の短時間チャートで見るとときに大きなトレンドが発生しているように見える場合があります。このような場面で、一定の値幅があるためにやみくもにエントリーして負けてしまうことが往々にしてあります。
大きく利益を狙ってハマるケースが多い
スキャルピングは「チリも積もれば山となる」のことわざ通り、1回のトレードで狙う値幅は小さくコツコツと利益を積み上げるトレード手法です。その原点を忘れてしまうと、積み重なった損を1発で取り返そうとして泥沼にハマるケースが見られます。
「コツコツドカン」で負けてしまう典型的なパターンです。
スキャルピングはトレード経験が必要
「エントリーポイントを見つける」ことが中心
スキャルピングはエントリーのタイミングが最重要となるトレードです。スキャルピングで好成績をあげるためには、トレードに関するルールを決め、ルールに従ってトレードを続けることが重要ですが、その前提として短時間の相場の動きを読んで対応する経験が問われるのです。
スキャルピングによる思わぬ効果も
スキャルピングは一回の取引完結までの時間が短いために、メンタル面が安定しやすいという思わぬ効果があります。
スイングトレードで含み損が出ていると、気になってあまりよく寝られないこともありますが、スキャルピングはトレーダーがチャートと向き合っている時間内で取引が完結するため、心配を一晩持ち越す心配がありません。したがって、ポジションを保有している間、為替の動きが気になってしかたないトレーダーにとっては、スキャルピングは精神面での安定に寄与するかもしれません。ただし、勝ち負けは別の問題なのでご注意を。
スキャルピング禁止の噂は本当か
FX会社によっては、スキャルピングが禁止されているという話をときどき耳にしますが、結論からいえば、多くのFX会社では短時間での注文を繰り返す行為を禁止していますが、スキャルピングそのものを禁止しているわけではありません。
カバー取引が間に合わない
カバー取引とは「トレーダーの注文を受けてから、FX会社が対応取引すること」です。
トレーダーがFX会社からドルを購入する場合、FX会社はドルを売って、さらに市場からドルを仕入れます。しかし、あまりにも短時間に多くの注文がくると対応できない可能性があるため、短時間での注文を繰り返しおこなう行為が禁止されているのです。
サーバーへの負担が大きくなる
スキャルピングのような超短期取引が増えると注文の数が莫大に増えるため、FX会社のサーバーに大きな負担がかかり取引に影響が出てしまいます。その結果、取引への安全性が確保できなくなることも懸念されるため、短期取引の繰り返し行為は禁止されています。
短時間での注文を繰り返して口座を凍結される場合も
つまり、スキャルピングを「短時間で繰り返しおこなう」場合は、FX会社の禁止行為に該当する可能性があるということであり、最悪の場合口座を凍結される恐れがあります。
口座を凍結されると、取引ができなくなってしまいます。不安に感じる場合は、取引しているFX会社に短期取引の基準を確認しましょう。
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