FXでは為替差を狙った短期~中期取引に注目が集まることが多いですが、もうひとつのアプローチとして、スワップポイントを狙う長期トレードがあります。
長期トレードには比較的危険の少ない取引というイメージがありますが、注意しておかないと思わぬ落とし穴にハマってしまうケースがあります。そこで今回は、FX初心者がスワップポイント狙いの長期トレードをする際の注意点について解説します。
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スワップポイントとはなにか
スワップポイント狙いのトレードとは、各国の金利差に注目した外貨の長期保有です。
2021年現在の主な通貨の政策金利は以下のようになっています。
日本円⇒▲0.1% 米ドル⇒0.25% ユーロ⇒0.00% ルーブル⇒4.25% 南アフリカランド⇒3.50% トルコリラ⇒19.0% メキシコペソ⇒4.50%
日本円を外貨と交換すると、その金利差(スワップポイント)を得ることができます。最大のスワップポイントは(トルコリラ/円)で、毎日ポイントを受け取ることができます。
為替差損とロスカットへの対応方法
スワップポイントには銀行預金の金利と同じイメージをもたれるかもしれませんが、注意点が2つあります。
スワップポイントよりも為替差損のほうが大きくなれば損失が発生します。また、スワップポイントを貯めるためには、長期間ポジションを持ち続けなければならないのですが、その間に相場がマイナス方向へ変動するとロスカットのリスクが発生します。
為替差損が発生した際には適切に決済する
スワップポイント狙いの長期取引といっても、ポジションを持ち続けて損失が発生しては意味がありません。また為替のマイナス分が予想外に大きい場合、ロスカットにならないまでも、スワップポイントを大きく減らしてしまうかもしれません。このようなケースで無理にポジションを保有し続けるのは禁物です。
また、長期投資は資金の凍結を意味しますから、途中であたらしい取引をしたくなっても、資金が足りずに動けないこともあります。
各国の金利政策に注目する
スワップポイント狙いの長期トレードでは、各国の金利政策の見直しを注視しなければなりません。
たとえば、代表的な高金利通貨のひとつであるトルコリラの2021年現在の政策金利は(19%)という他国通貨とは一線を画した高水準にあります。
2018年初頭、トルコの政策の不透明感によってトルコリラ安が起こっていました。トルコ政府はリラ安に歯止めをかけるために政策金利の引き上げを採択し、2018年9月には(24%)という高水準に達しました。その後はインフレ率低下や政府の方針転換によって一旦は(8.25%)まで引き下げられましたが、その後ふたたび、現在の(19%)まで引き上げられています。
過去4~5年だけをみてもトルコの法定金利は乱高下を繰り返しています。今後の政策金利の見直しも不透明であると同時に、トルコリラは為替の乱高下の大きい通貨でもあります。スワップポイントの魅力に惹かれて参入した結果、痛い目に遭う初心者も多いので注意しましょう。
ロスカットを回避するテクニック
ロスカットとは
スワップポイントを狙う場合にもっとも気をつけなければならないのはロスカットです。
ロスカットとは、相場が変動して含み損が大きくなると、FX会社がトレーダーのすべてのポジションを強制決済してしまう仕組みです。ロスカットが執行されると損失が確定します。
ロスカットの基準を知っておこう
ロスカットは、FX会社が定める証拠金維持率を下回った場合に執行されます。証拠金維持率とは、口座精算価値に占めるポジションを維持するために必要な証拠金の割合のことで、以下の計算式で算出します。
(証拠金維持率)=(純資産)÷(必要証拠金)×100
日本国内の口座のロスカット基準は(証拠金維持率50~100%)と大きな差があるので、事前にFX会社のルールを確認してください。
ロスカットを回避する2つの方法
ロスカットを回避する方法は2つあります。ひとつは、口座資産(証拠金)を増やすことで、もうひとつはロスカットが実行される前に保有しているポジションの全部または一部を決済することです。
いずれの方法においても、ロスカットを回避するためには、FX会社が取り決めしている証拠金維持率の基準を下回らないように相場を読み、投資額を調整することが求められます。
スワップポイント狙いのトレードの注意点
長期運用といえども、相場を確認せずに放置していると思わぬ損失が発生する可能性があります。相場を読んで、ときには機敏に決済する決断が問われます。
日本円との金利差が大きいほどスワップポイントは大きくなりますが、多くはマイナー通貨であり、為替の動きがつかみにくい傾向があります。したがって、とくに初心者トレーダーはマイナー通貨のなかでも比較的値動きがおとなしい通貨を選んだほうが無難です。
通貨ペアによって金利差は異なってくるため、当然スワップポイントも異なります。また、取引するFX会社によっても提供しているスワップポイントは異なるので、その点にも注目しましょう。
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