西原理恵子氏が1000万円失った南アフリカランドの危険度

初心者を狙う罠

低金利が長らく続く日本では高金利通貨が人気です。トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドのほか、かつては豪ドル、ニュージーランドドルも人気がありました。しかし、このような高金利通貨は投資対象として適切だといえるのでしょうか。

今回は南アフリカランドを例に、マイナー通貨を投資対象として選択する際の注意点を解説します。

リーマンショックで多くのトレーダーに何が起こったか

サブプライム問題、リーマンショックによって、高金利のマイナー通貨に大きく張っていたトレーダーが続々と破滅したのは記憶に新しい出来事です。

当時人気を博していたトルコリラ、南アフリカランド、アイスランド・クローネなどは、世界的な経済危機の中で短期間に40~50%も下落しました。

もっとも悲惨だったアイスランド・クローネの場合

15%の高金利で世界中から投資マネーを集め、金融立国を目指していたアイスランドは、リーマンショックを発端とする世界的な経済危機によって投資マネーが逃げ出し、国家的な経済破綻に陥りました。

日本国内にも、アイスランド・クローネを積み立て感覚で投資していた投資家も多くいましたが、そのような人たちは残らず大損したはずです。

南アフリカランドで1000万円失った西原理恵子氏

国内のFX市場をめぐる異様な熱気

リーマンショック直前の国内のFX市場は「FXで2億円稼いだ主婦が税金申告漏れ!」といった景気のいいニュースが流れる、一種異様な活気に溢れかえっていました。

当時、国内のFX会社はレバレッジ200倍までトレード可能でした。100万円の自己資金で2億円の外貨を買えるということですから、瞬間的に数千万円も稼げることもあれば、簡単に同金額を損する可能性もあったのです。

ギャンブラー西原理恵子氏がFXと出会う

漫画家・西原理恵子氏は「まあじゃんほうろうき」で知られるように、おもに麻雀を主戦場にした熱烈なギャンブラーとして有名でした。

その西原氏にアプローチしてきたのが、「保険見直し本舗」でお馴染みの「ウェブクルー」というIT企業でした。同社がFX事業に乗り出す際に、事業の宣伝用に西原氏にweb漫画を依頼したのが、西原氏のFX投資のきっかけでした。

南アフリカランドに挑戦するも大暴落を喫する

当初、投資のための軍資金は「ウェブクルー」社が提供することになっていたそうですが、西原氏はそれを拒否して、自腹で南アフリカランドに投資しました。

トレードの様子を赤裸々に記録した「西原理恵子の太腕繁盛記」によれば、「300万マイナス!」「500万損切り!」「300万プラス!」といった具合の滅茶苦茶な金額が飛び交っていました。そして、連載のオチは1,000万円強制ロスカット!でした

このとき、リーマンショックによって、南アフリカランドは(16〜18円)から(9円)まで、およそ半値まで下落したのです。

その後も暴落した南アフリカランド

資源高を背景にして鉱産資源に恵まれた南アフリカは投資先として大変魅力的で、これまでも多くの資金を集めてきました。しかし、金融基盤が脆弱な南アフリカ経済は、世界的な金融危機や主要国(アメリカや中国)経済の状況に左右されやすいという弱点をもっています。

南アフリカランドはリーマンショックで大きな打撃を受けましたが、リーマンショック以降も、中国の資源政策転換の影響(2015~16)、新型肺炎(2020~)によって2回も大きく下落しています。

実は高金利通貨はそれほどお得でもない

マイナー通貨はスプレッドが高い

実際にFXトレードをしてみればわかるのですが、マイナー通貨の取引はスプレッド(手数料)が高く設定されています。南アフリカランドのような流通量が少ない通貨は、通貨を売りたくても買う人が少ない状態にあるため、インターバンク市場における「Bid」と「Ask」の差が拡大する(手数料が増える)傾向があるのです。

(南アフリカランド/円)のスプレッドは1通貨単位(0.9銭)です。(ドル/円)が(0.2銭)ですから、手数料の差は歴然です。FX会社のパンフレットには記載がないので盲点になりがちですが、スプレッドを差し引いた実質的な金利を考慮した場合、実は思ったほどお得でもないことがわかります。

インフレ率も重要な要素

インフレ率とは物価の変動率のことで、実質的な金利に大きな影響を与えます。これがどういうことなのか、銀行に預金をして1年後に自動車を購入するケースを想定して具体的に説明しましょう。

●インフレ率(5%)金利(10%)自動車(100万円)の場合

⇒1年後には100万円が110万円に増える(金利10%)
⇒自動車は100万円から105万円へ値上がりしている(インフレ率5%)。
⇒差し引き(5万円)の得になる

「差し引き(5万円)の得」のことを「実質金利」と呼びます(5%)。もうひとつ別の例を考えてみましょう。インフレ率と金利の関係です。

●インフレ率(5%)金利(1%)で預金をする場合

⇒実質金利▲4(1-5)%。

インフレ率よりも金利が低いと預金者にはメリットがありません。したがって、物価が不安定になればなるほど、表面的な金利を高くしないと誰も預金をしてくれないことになります。インフレ率が高い新興国で名目金利が高くなる傾向があるのは、このような理由です。

したがって、異なる国の金利を比較する時には、実質金利で見なければ意味がありません。一見金利が高いように見える新興国でも、インフレ率を考慮した「実質金利」で考えると、実はそれほど高くならないケースが多いのです。

南アフリカランドの危険性

南アフリカは2001年のアルゼンチンのように、デフォルトを起こすといった最悪のケースは少ないと考えます。ただし、投資不適格級としている大手格付け会社もあり、過去には何度も大きな下落を経験した通貨であるだけに、かなり投資リスクの高い通貨であることは間違いないでしょう。

また投資リスクと同時に、今回紹介した「スプレッドの高さ」や「実質金利」も含めて、冷静な視点でその通貨の本当の価値を考えてみる必要があります。

南アフリカランドに限りませんが、一攫千金を狙って大きく張ると失敗の可能性が高まるので充分注意しましょう。初心者トレーダーは西原理恵子氏の経験を他山の石として、着実なトレードを積み重ねていくことを心がけてください。

FX超初心者専科 猫道場 道場主H

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