ノックアウトオプションが人気です。FXのように追証が発生するリスクがないうえ、少ない手持ちで大きく稼ぐことができると評判ですが、ルールが単純だけに勝つことが難しい局面もあり、注意が必要な投資方法です。
今回はノックアウトオプションの仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説します。
ノックアウトオプションとは
ノックアウトオプションはオプション取引の一種で、原資産価格があらかじめ設定したノックアウト価格に達すると、自動的にポジションが決済される仕組みです。簡単にいうと、さまざまな相場の上下を予測して当てるという金融商品です。
ノックアウトオプションの仕組み
ノックアウトオプションでは原資産価格(通貨ペア・株価指数・商品)の上下を予測して利益を狙います。原資産価格が予想通りに動くとその値幅が利益となり、原資産価格が予想と逆行するとその分の値幅が損失になります。
ノックアウトオプションでは、あらかじめ「ノックアウト価格」と呼ばれる損切りレベルを設定します。原資産価格が「ノックアウト価格」に達すると自動的に決済(ノックアウト)され、それ以上の損失を出すことはありません。
ノックアウトオプションには、「ブル(上昇)」と「ベア(下落)」の2種類の買い方があります。
・ブル(上昇)⇒取引する銘柄が上昇すると予測 ・ベア(下落)⇒取引する銘柄が下落すると予測
ブル取引で得られる利益は理論上、無限大です。これがノックアウトオプションが少ない資金(オプション料)で大きな利益を狙えるという根拠です。
オプション料とは
オプション料とは「投下資金」であると同時に「最大損失額」でもあります。ノックアウトオプションではオプション料以上の損失は発生しません。
ノックアウト価格を小さく設定すればするほど、ロスカットの確率は高まりますが、少ない資金で投資を始めることができます。この資金効率の高さがノックアウトオプションのメリットであり、うまくハマれば短期間で稼ぐことができます。したがって、原資産の価格の値動きを予測しながらノックアウト価格を適切に設定することが大切なポイントになります。
ノックアウトオプションのメリット
最大損失額を事前に設定できる
ノックアウトオプションの最大のメリットは損失額を事前に設定できるという点です。自分でリスク幅をコントロールできるので、投資初心者でも比較的安心して取引できます。
少ない資金で利益を狙える
ノックアウトオプションは、少ない資金で利益を狙えるところも魅力的です。FXとの比較で、日本円で米ドルを買う際の最低資金額を比較してみましょう。
投資の種類 | 米ドルを取引するための最低資金 |
FX | 約4,000円(※千通貨単位の口座の証拠金のケース) |
ノックアウトオプション | 約1,200円(オプション料) |
相場下落面でも利益を狙える
相場が下落しそうな局面では、ベア(下落)を選択し「高い価格で売り、低い価格で買い戻す」取引をおこなうことにより相場下落面でも利益を得ることができます。
決済のタイミングを自由に選ぶことができる
ノックアウトオプションの決済タイミングは自由です。ノックアウト価格に到達する前に損切りすることも可能です。
ノックアウトオプションのデメリット
指値のエントリーができない
ノックアウトオプションでは指値注文が使えないので、ノックアウト価格前の損切りや利益確定のタイミングは、リアルタイムでチャートを見て決断する必要があります。そのために長時間チャート画面を見続ける必要があるので、忙しいトレーダーは煩わしさを感じるでしょう。
スプレッドが広くなる傾向がある
ノックアウトオプションのスプレッドは、FXと比べると広くなる傾向にあります。取引コストを少しでも抑えたい投資家にとっては、取引手数料は気になるところです。
ノックアウト価格の変更はできない
ノックアウトオプションでノックアウト価格を設定したあとは変更ができません。操作ミスをしても変更できないので注意が必要です。
相場の状況に合わせて損切りラインを変えるテクニックが使えない点は、FXに通じたトレーダーには不満があるでしょう。
ノックアウトオプションの評判
結論が早いが投資方法に不満
ノックアウトオプションが短期間で利益を狙えるという点は、早く結論を知りたい投資家にとって非常に嬉しいメリットです。しかし、ここまで説明した通り、いくつか気になる点もあります。
なんといってもノックアウトオプションに対する最大の不満は、ノックアウト価格を途中で変更できないところです。そのため指値注文もできず、チャート張り付いて待つことのストレスも忙しい投資家には不満が残るところです。
システムが脆弱
全般的にシステムが弱く、相場が騒がしくなるとログインが遅くなったり、できなくなるケースがあるようです。適切な損切りや利確ができなくなるとすれば投資としてかなり厳しくなります。
ストップ狩りの噂
ネットでは、ノックアウト価格で「ストップ狩り」が頻繁に起きるという口コミも見られます。
あるトレーダーは、エントリーした5分後にレートが急落し、ノックアウト価格に到達して損切りした直後にレートが回復するという不可解な相場の動きを経験を何度もしたと語っています。口コミによると、最初はトレーダー自身の読みが甘かったと考えていたところ、続けて3回も同様の現象が起こったことから、意図的な相場操作の疑いをもったということでした。
ネットの口コミを100%信じることは危険ですが、これらの口コミが複数見られることから、念のために注意しておいたほうがいいかもしれません。
最大損益額が決まっていることが逆に危険な罠となりうる
ノックアウトオプションは最大損失金額が決まっていますが、オプション料が尽きたところで、追加で際限なく資金をつぎ込んでしまうようであれば、FXの「追証」と変わりません。
儲けの幅が大きく結論が早いため、一発で回収することを信じて賭博的なトレードに走りやすい傾向もあるので注意したいところです。
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