閑散相場とフラッシュクラッシュの力学から見えてくるもの

初心者を狙う罠

閑散相場」とは、時間帯や季節的な要因によってFX市場の参加者が少なくなっている状態をいいます。基本的に売買取引が小さいため、おとなしい動きをするのが大半ですが、ひとたび大口の注文があるとレートが急激に変動し、思わぬ値動きが発生する場合があります。

相場参加者が少なくなる要因

夏休みと年末年始休暇

夏休み時期やクリスマスから年始にかけてまとまった休暇を取る大口トレーダーたちがいなくなる期間は、市場は取引高が小さくなります(ボラリティが低い状態といいます)。

相場参加者が少なくなる時間帯

為替市場は日本時間の早朝にニュージーランドとオーストラリアの市場がオープンするのを皮切りに、東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場の順に、各地域が朝を迎えるタイミングでオープンしていきます。

しかし各地域によって金融市場のスケールに差があるため、閑散相場になる時間帯が生じます。ニュージーランド~オーストラリア市場がオープンする時間帯は、前日のニューヨーク市場のクローズとも重なって一日で最も市場参加者の少ない時間帯です。これは日本時間の午前4時頃~9時頃に当たります。

重要指標の発表前は相場参加者が少なくなる

アメリカの雇用統計や政策金利など、重要な経済指標の発表前には値動きが乏しくなります。いわゆる「模様眺め」のケースで、経済指標の発表内容を投資家が固唾を飲んで見守っている状態です。

閑散相場で勝負をかける動きもある

多くの大口トレーダーが休暇を楽しんでいる間に、休暇を取らずに取引を続けている一部の大口トレーダーがいます。

ヘッジファンドや金融機関などは、トレード成績に応じて顧客から報酬を受け取っているのですが、成績が悪い場合は報酬が得られないばかりか、最悪の場合は契約解除されてしまいます。成績が低調な大口トレーダーは休んでいる暇などなく、成績挽回のチャンスを狙って躍起になっています。

このような大口トレーダーによる投機的な取引が相場に影響を与え、チャートには神経質な値動き(いわゆるチョッピーな値動き)が現れます。そこに不安定な相場状況を逆手に取ってひと稼ぎしようという一部の敏腕トレーダーも参加して、混沌とした為替の値動きが生まれます。

閑散相場が引き起こすフラッシュクラッシュ

閑散相場は市場参加者が少ないため、大きな売買注文があった場合には、それを受け入れられるだけの流動性が不足しています。たとえば大口トレーダーから「1億ドル分の買い注文」など大口の注文が入ると、生鮮市場の競りと同様に、売り手が現れるまでドンドン値が上がっていくことになります。レートは激しく上昇していきます。

このような急激で瞬間的な暴騰・暴落を「フラッシュクラッシュ(閃光のような破壊的値動き)」といいます。過去にはこのようなフラッシュクラッシュが発生しています

東日本大震災時の(ドル/円)相場

2011年3月11日に発生した東日本大震災のあと円相場は戦後最高値を更新し、3月17日には一時(ドル=76円台前半)まで急騰しました。

生損保各社が契約者(被災者)に保険金を支払うためには、多額の現金を円で用意しなければなりません。契約者から受け取った保険料の一部は海外の株式や債券で運用していることから、これらを売却して円に換えるとの見方が強まったのです。

実際には、保険会社が円不足になったという事実はありませんでしたが、投機的な売買をする海外ファンドがそのような噂が流れていることに乗じて、大量の資金を投じて円相場を動かしたと考えられています。

ブレグジットに起因する(イギリスポンド/ドル)相場

2016年10月7日(日本時間の早朝)にはイギリスポンドでフラッシュクラッシュが発生しました。

ブレグジット(EU離脱)が国民投票で決まった後の不安定な状況下、(ポンド/ドル)が(1.26ドル台⇒1.14ドル台)に、わずか数十秒のうちに急落しました。

きっかけは、仏大統領がブレグジットに厳しい姿勢で臨むとの報道に反応してポンドが売られたことでした。さらに投資銀行のミスによる誤発注や、大口投資家の投機的な回転商いによって混乱が広がりました。もっとも、ポンド急落はほかの通貨に波及することはなく、(ポンド/ドル)相場も短時間で回復しました。

アップル・ショックによる(ドル/円)相場

2019年1月3日朝、市場は急激な円高ドル安を記録しました。正月休みの日本は市場がクローズで参加者がおらず、閑散相場のシドニー為替市場での出来事です。

このフラッシュクラッシュは、米アップルの中国国内でのiPhoneの販売不調から、同社が業績予想を大幅に下方修正したことが原因だといわれています。

外国為替市場は「アップル・ショック」の様相となり、ドルを売って安定的な資産である円を買う動きが一気に広がりました。このとき(ドル/円)相場は(109円台)から(104円台後半)まで一気に動きましたが、すぐに(107円台)まで戻しています。

フラッシュクラッシュへの有効な対策はあるか

閑散相場の時期や時間帯にはポジションを持たない

流動性が低い閑散相場では、FX会社は注文を処理することが困難になるためスプレッドが広くなります(実質的な手数料が余計にかかる)。

そもそも値動きが乏しい閑散相場はレンジ相場になりやすいので、大きな利益を狙える展開になりにくい傾向があるうえ、無闇にエントリーすると、チョッピーな値動きに翻弄されて損失を出す可能性すらあります。したがって、これらの時期や時間帯に無理にトレードする価値があるとは思えません。

損切りの逆指値注文を出しておく

ひとたび閑散相場で波乱が起きると、尋常ではない値動きが生み出されます。長期トレードをしている場合は、とくに要注意です。長期トレードでポジションを持っている場合は、損切りのための「逆指値注文」を出しておくことが重要です。

もっとも、FX会社のシステムによっては損切りが間に合わないケースもあり得るので、状況によっては盤石の対応とはいい切れません。

過度なトレードをしないことに尽きる

結局、フラッシュクラッシュ対策としては、自己資産以上の過大なトレードをしないことがポイントになるのでしょう。FXのコツは小さなプラスを積み上げることですから、いかなる場面でも大勝負に出るという誘惑に負けないことが肝心です。


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FXトレードは知識や経験の差によって、結果に大きな差がでます。 多くの人が1年以内にトレードから撤退していますが、その原因の多くはやはり知識や経験の少なさによるものです。 FXはボードゲーム(将棋やチェスなど)に例えられることがあります。 どんなゲームでも基本が身についていなければ、相手に勝つことはできません。 孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。 戦いに勝つためには、まず相手のことを知らなければならないという意味です。 FXにおいて、みなさんが戦う相手は、「市場(しじょう)」という大きな敵です。 市場と戦うための知識の入り口として、ぜひこのサイトを役立てていただきたいのです。 そして、経験についてはトレードを積み重ねることによってしか得られません。 みなさんにはご自分の資力の範囲で、無理のないトレードを開始していただきたいと思います。 「はじめに」でも触れましたが、FXトレードは奥が深いものです。 将来の勝ち組を目指して、また、その過程で経験するであろうFXの怖さやワクワク感をぜひ堪能してほしいと思います。 どんなゲームにもビギナーズラックがありますが、そのような幸運は長くは続かないことを知り、くれぐれも丁半博打のような無謀なトレードをしないように気をつけてください。

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