「悪い円安」とFXトレードの方向性について考えてみよう

FXの基礎編

昨今、円安がすすんでいます。これまで日本では、円安がすすむと自動車や電機などの輸出企業がドル建ての製品価格において有利になるため、日本経済の追い風になるという見方がされてきました。

しかし、最近は「悪い円安」という言葉を耳にすることが多くなりました。本来であれば円安と株高はセットであるべきですが、現時点(2021年)の円安局面では、株高との連動性が薄れているように感じられます。このところの円安に何が起きているのでしょうか。

円相場の歴史

固定為替から変動制へ

(ドル/円)は長らく固定相場が採用され、(ドル=360円)で固定されていました。その後、変動相場制が採用されてから日本経済の復調に支えられてどんどん円高が進み、実質実効レートでは95年4月に(ドル=79円75銭)を記録したこともあります。

その後は円高と円安を繰り返しながらも、大きな傾向としては円安に向かっています。変動相場制移行からおよそ50年を経て、円の実力は下降に向かっているという指摘をする経済評論家も多くいます。

「ゼロ金利政策」の目的

バブル崩壊後の1999年から、日本銀行は超短期の資金を潤沢に供給して金利を低下させる「ゼロ金利政策」を採用しました。景気が失速している時に政策金利を引き下げると、企業は低金利で資金を調達することができるので、設備投資などの経済活動が活発になるという考え方です。

この政策は2000年まで継続しておこなわれましたが、日銀はこれを「異常事態」と捉えていました。バブル崩壊後、金融市場の一時的混乱によって優良な銀行や企業でも資金の借り入れが難しくなり、倒産してしまう事態も予想されたため、非常手段として「ゼロ金利政策」がおこなわれてきたのです。

そして「マイナス金利」時代へ

日銀は2000年になって一旦「ゼロ金利政策」を解除しましたが、同時多発テロによるアメリカ経済の悪化によって日本の景気も悪化し、「ゼロ金利政策」を再開しました。そして2013年からは政策金利(▲0.1%)という「マイナス金利政策」となり、当初は緊急避難的におこなわれていた政策が恒常化している状況にあります。

金利が低い通貨は売られる

為替市場においては、金利の低い通貨は売られ、金利の高い通貨が買われやすくなります。利上げは通貨が高くなる要因であり、利下げは通貨が安くなる要因です。これはごく当たり前の話です。対ドルでも金利差が拡大し、為替は円安へと向かいました。

「悪い円安」とその影響

本来であれば「円安」にはメリットがあるはず

円安になると、日本国内の輸出企業は海外における価格競争力が高まります。その結果、採算が向上し円建ての売り上げが増え、企業の業績が押し上げられます。

それとは反対に、円安になると企業が通常ドルで取り引きしている原材料の輸入コストがかさみます。円安には輸出入に関して一長一短があるように思えますが、日本経済全体を俯瞰した場合、輸出にアドバンテージが大きいことから、円安はおおむね歓迎されてきました。たとえば日本を代表する自動車メーカーであるトヨタは、対ドルで1円安くなると、営業利益が100億円単位で押し上げられるといわれています。

「悪い円高」で何が起こっているのか

これまでは円安のメリットはデメリットを上回ると考えられていました。しかし、現在は状況が異なるようです。昨今は国際的な原油価格の高騰や、金属やレアアースなどさまざまな原材料が値上がりしています。こうした状況下でさらに円安がすすむと、輸入コストの上昇に拍車がかかり、企業業績の圧迫につながるという懸念があります。

生活物資の値上がりは家計へのシワ寄せとなり、消費減退による負の連鎖も不安視されています。バブル崩壊から20年、日本のサラリーマンの給与もほとんど上がっていないのです。

日本の「金利政策」の将来像

アメリカの金利政策の転換

アメリカの政策金利は上昇傾向にありますが、FRB(連邦準備制度理事会)は量的緩和からの方針転換を明らかにしています。日本でこのまま「ゼロ金利政策」が続けられれば、ドル金利の上昇にともない、さらに円安がすすむことが予想されます。

日本の「ゼロ金利政策」転換の可能性はあるか

アメリカの金利上昇は世界的な金利上昇につながります。

ユーロの金利政策を担う欧州中央銀行(EUB)は2023年まで「ゼロ金利政策」を継続する旨の方針を発表していますが、FRBの方針転換を受けてユーロの利上げがおこなわれれば、日本も利上げに踏み切らざるを得なくなるという予想が有力です。

各国中央銀行の金利政策に注目しよう

政策金利や金利と景気の関係、為替レートには密接な関係があります。FX取引をするうえで政策金利を理解することは重要であり、トレードの戦略を立てる際にも非常に役に立ちます。各国の政策金利と為替レートの推移を比較してみることにより、どのような局面で相関性が高いのかについても理解できると思います。

たとえば(ドル/円)トレードにおいては、中期的にはドルの価値が上がり、円の価値は下がる傾向にあります。その一方で、長期的にはこのような金利政策の転換も頭の隅において、(ドル/円)相場の推移を見守っていくべきだと思います。


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FX超初心者専科 猫道場 道場主H

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FXトレードは知識や経験の差によって、結果に大きな差がでます。 多くの人が1年以内にトレードから撤退していますが、その原因の多くはやはり知識や経験の少なさによるものです。 FXはボードゲーム(将棋やチェスなど)に例えられることがあります。 どんなゲームでも基本が身についていなければ、相手に勝つことはできません。 孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。 戦いに勝つためには、まず相手のことを知らなければならないという意味です。 FXにおいて、みなさんが戦う相手は、「市場(しじょう)」という大きな敵です。 市場と戦うための知識の入り口として、ぜひこのサイトを役立てていただきたいのです。 そして、経験についてはトレードを積み重ねることによってしか得られません。 みなさんにはご自分の資力の範囲で、無理のないトレードを開始していただきたいと思います。 「はじめに」でも触れましたが、FXトレードは奥が深いものです。 将来の勝ち組を目指して、また、その過程で経験するであろうFXの怖さやワクワク感をぜひ堪能してほしいと思います。 どんなゲームにもビギナーズラックがありますが、そのような幸運は長くは続かないことを知り、くれぐれも丁半博打のような無謀なトレードをしないように気をつけてください。

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