FXにチャレンジしたいけれど、なんとなく怖くて始められないという人もいると思います。そのような初心者投資家に紹介したいのが「積立FX」です。積立FXは、ローリスクな投資方法といわれていて、長い時間をかけてじっくりと投資したい人に向いています。
積立FXとはどんな投資方法か
積立FXは、あらかじめ決めた設定に従って自動的にトレードをする投資方法です。トレードにあたって、「通貨ペアの選択」「購入金額・頻度」「レバレッジ」を設定します。
積立FXは普通のFXより選べる通貨ペアが少なく、選べる通貨ペアは10種類程度です。ただし収益を狙える通貨ペアはほとんど網羅しているので、それほど不自由はないように思います。
そのほか、積立FXにおいても通常のFXと同様、通貨の購入のためには「証拠金」が必要です。証拠金維持率が一定値を下回ると追加購入できなくなり、ロスカットが作動するとポジションが強制決済されてしまうのは通常のFXと同じです。
積立FXの特徴
通常のFXより手間がかからない
FXトレードでは、ポジションを取り決済するタイミングをトレーダー自身が選ばなくてはいけません。常時、為替レートをチェックして為替の動きに注意を払う必要があります。
一方積立FXの場合は、最初に「購入通貨」「購入金額」「購入間隔」「レバレッジの倍率」を設定してしまえば、後は放置しておいても大丈夫です。時間も手間もかからないので、仕事が忙しい人でも問題なくトレードをおこなうことができます。
積立FXは外貨普通預金より資金効率が良く危険度は変わらない
外貨を日本円で買う積立FXは「外貨普通預金」とよく似ています。外貨普通預金よりも積立FXの方が危険性は高いと思われるかもしれませんが、それは違います。レバレッジ1倍の積立FXと外貨普通預金のリスクは同じなのです。
積立FXは金利面でも有利です。同じ期間、同じ外貨を持っていた場合は、外貨普通預金よりも積立FXの方が利回りは優ります。また、積立FXの手数料(スプレッド)は外貨普通預金の手数料と比べて圧倒的に少ないので、費用面でも有利です。
積立FXが採用する「ドルコスト平均法」とは
積立FXが採用している「ドルコスト平均法」というのは、一度にまとめて金融商品を購入するのではなく、「同じ金額」で「複数回」に分けて購入していく方法です。毎回定額で外貨を購入するのですが、外貨が安いといきは多く買われ、高い時には少なく買われることによって、購入金額が平均化されます。
毎回1,000円ずつドルを買う場合、(1ドル=100円)であれば1回で(10ドル)を購入し、(ドル=120円)であれば(約8.3ドル)購入することになります。FXでは、自分に有利な相場のときほど外貨を買う量が増える傾向がありますが、定額購入の積立FXでは為替変動のインパクトを低く抑えることができます。
信託保全が義務付けられている
通常のFXもそうですが、積立FXにも「信託保全」が法律で義務付けられています。信託保全とは、顧客の証拠金を証券会社が信託銀行などに預けて資産の安全性を保障するシステムです。
この制度により、証券会社が倒産しても投資家の資産は守られ、信託銀行が倒産した場合でも同様に投資家の資産は守られます。一方で外貨普通預金はペイオフの適用範囲外なので、もし銀行が倒産すれば顧客の資産も消滅してしまいます。
積立FXの注意点
比較的リスクが少ないといわれる積立FXですが、注意しておきたいポイントがいくつかあります。
リスクが小さいがリターンも小さい
積立FXでもレバレッジを活用できますが、(25倍)までレバレッジを掛けられる通常のFXと異なり、最高(3倍)までしかレバレッジを掛けられません。リスクが小さい分、得られるリターンも少なくなります。
売りから入れるFX特有のメリットがない
FXの魅力のひとつは為替相場のトレンドがどちらに向いていても儲けられる可能性があることです。円高トレンドが続く場合は(ドル/円)の売りポジションを取り、円安トレンドの場合は(ドル/円)の買いポジションを取ることができます。しかし、積立FXでは円による外国通貨買いしか選べないので、円高が続くと利益を出すことができません。
定期的に資金投入をしないと失敗する
積立FXは毎月一定額の買いを入れるシステムなので、放置しておくと毎月どんどん「証拠金維持率」が低下していきます。証拠金維持率が一定値より下がると購入がストップし、最悪の場合ロスカットを喰らうこともあります。
このリスクを防ぐためには、定期的に資金を投入するか、あるいは充分な資金を事前に入れて証拠金維持率が下がりすぎないように管理する必要があります。
積立FXを上手に運用する方法
積立FXはリスクの大きすぎる外貨を選ばないこと
積立FXは保有しているだけで儲けが増えていく「スワップポイント」の大きさが大事なポイントです。ただし、リスクが高い次の通貨には注意しましょう。いずれもカントリーリスクの大きな国の通貨です。
トルコリラ、南アフリカランド、中国人民元、メキシコペソ
高スワップ通貨はある程度のリスクを含んでいるので、リターンが少なくなるのを承知のうえで、(ドル/円)などの安定性の高い通貨を持つのも手です。ちなみに、各証券会社は積立FXに(ユーロ/円)を入れていません。ユーロの金利が安く、スワップポイントによる儲けが期待できないためです。
円安に有利な積立FX
積立FXの大きな特徴は「円安に強い」ことにあります。すべての資産を日本円で保有していると、円安になった時に大きく損をしてしまうことになるので、資産の一部を積立FXによって外貨に変えておけば、資産の目減りを防ぐことができます。
FXとはいっても、積立FXは通常のFXとはまったく別種のものです。投資というよりも資産運用に近い性格のものだといえます。積立FXは、資産を分散投資したい人や、銀行預金よりも多少有利な条件の資産運用として考える投資家に向いているといえます。その場合も、くれぐれもハイリスクな外貨に取り組むことは避けましょう。それでは「ハイリスク・ローリターン」になってしまいます。
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