スキャルピングは多くのトレーダーに人気がある取引手法です。数秒から数十秒という非常に短い時間内に売買を完了させることから、トレーダーは毎回の取引結果を瞬時に知ることができます。スリリングで魅力的なスキャルピングですが、利益を出すためのテクニックはほかの中長期の取引手法と一線を画し、相場の予測が難しいといわれています。
今回は、スキャルピングが難しいといわれる理由とトレードする際の注意点について、初心者にもわかりやすく解説します。
スキャルピングで勝つためには勝率を上げなければならない
ほかの取引手法のセオリーが通用しない
FXトレードにおいては「利大損小」という言葉が示す通り、勝ち負けがあることを前提にして、勝てる局面では利益を大きく出し、負ける局面では極力損失額を抑えることが理想とされています。
どの専門書やWebのアドバイスでも、勝率そのものについてはあまり意識せず、トータルでプラスを出すことに注力することが肝心であると教えています。実際に勝率が(30%)以下であっても、収益額が損益額を上回れば、トータルで利益を残すことが可能です。
しかし、スキャルピングにはそのセオリーは通用しません。
連敗はたやすいが連勝は難しい
スキャルピングで利益を出すためには、以下の原則があります。
・1回のトレードの利益および損失額は小さい ・コツコツと小さな利益を積み上げる
1回のスキャルピングのトレードで得られる利益は(数pips)から、多くとも(数十pips)の範囲です。1回の利益の幅が小さいため、大きな連敗をするとリカバーが非常に厳しくなります。
実際のトレードにおいては、5連敗、あるいは8連敗することも珍しくありません。勝ち負けの確率は(50%)ですが、実体験としても、連敗することに比べて5連勝とか8連勝することは極めて難しいものです。
ギャンブルトレードに走ってしまうケースが多い
スキャルピングにおいても、ほかのトレード手法と同様にテクニカル分析が有効に働くのですが、負けが続くと自分のトレード分析に疑念が広がり、「一発で取り戻したい」という欲がムクムクと膨らんでいきます。そして辛抱できなくなると、根拠のない大張りの丁半博打に走る結果となります。
もしかすると、そのときは運よく負けを取り戻すことができるかもしれませんが、ギャンブルトレードを続けていると、最終的にすべてを失ってしまう結果が目に見えています。スキャルピングで破綻するのが、まさにこのパターンです。
勝率(50%)では結局マイナスになる
トレードを重ねていくと、統計的には「勝ち負け」の確率は(50%)に近づいていきます。もちろん、1回ごとの損益額は異なりますが、いずれにしても(50%)の勝率では最終的にスプレッド(手数料)分だけ負けることになっています。
勝率を上げるために必要な損切りルールの徹底
スキャルピングで最も難しいスキルとされるのが、「損切り」「利確」ルールを徹底することです。
「あと2pipsだけ上がるのを待ちたい」といった小さな欲をかいたばかりに、相場が急変し、見る見るうちに30pips、50pipsと損失が拡大する失敗パターンを多く目にします。
損切り幅は小さく設定する
損切りルールを徹底することで含み損の拡大を防ぐことができます。スキャルピングがほかのトレード手法と大きく異なるのは、小さな取引を繰り返して確実に利益を積み上げるという特性です。スキャルピングの損切りは小さな値幅で設定しなければなりません。
予想と反した時点で速攻損切り
スキャルピングが狙う値幅はせいぜい(10pips)程度です。トレンドの方向性を想定してエントリーするわけですが、もちろん読みが外れることもあります。そのような場合は、読みが外れたと判明した時点で即時損切りするのが基本です。
マイナスは(10pips)に留まる保証はどこにもなく、むしろそれ以上に損失が膨らむ場合があります。マイナスが拡大しきってから決済すると、短期間で回復することが相当難しくなります。
ロット数が大きい場合は(5pips)以下で損切りする
ロット数を大きくしてトレードする場合は、わずか(10pips)程度でも大きな損失となります。(ドル/円)で(10万通貨)の取引をした場合、10pipsで(5ドル)の損失、これが10回続けば(50ドル)の損失になります。決して無視できる損失額ではないはずです。
ロット数が大きい場合は損切り幅を(5pips)以下に小さくとって、早めの損切りで次回以降のチャンスにかけましょう。
勝率を上げるために必要な利確ルールの徹底
(10pips)の利益幅で確定する
いくらで利益確定するのかについては、事前に決めておかなければなりません。スキャルピングの1回ごとの利益幅は(10pips)程度で充分です。それ以上の値幅を狙うとむしろ危険です。(10pips)程度の利益を狙うのであれば、チャンスはいくらでもやってきますから、焦る必要はありません。
初心者の場合は(10pips)以下で利確するようにしましょう。少しでも欲張ると、ほんのちょっとしたスキに利益を取り損ねてしまうことも考えられます。
必要なトレード回数
スキャルピングでは、ほかの取引手法よりもトレード回数が大きくなるのが特徴です。当然ながら、取引手数料(スプレッド)も膨らんでいきます。そのため、トレード回数をやたらと増やしてしまうと、(スプレッド>トレード収益)になってしまう可能性があります。
スキャルピングの一日のトレード回数は(3~5回)で充分です。有利な相場だけを選んでトレードしましょう。過剰トレードを回避することによって、長期的な利益に結びつけることができるでしょう。
独自のルールを決めよう
スキャルピングでポジションを深追いするのはリスクを大きくするだけです。損切りラインに到達したら迷わず決済するという、一種のゲーム感覚でドライに対応しましょう。
人間は機械ではないので、高い勝率を達成しようとするとプレッシャーによって正しい判断ができなくなる可能性が高まります。「二回続けて損切りになったら、もうその日はトレードしない」などのマイルールを別途定めて、うまく気分転換しながら取り組んでいきましょう。
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