「ピラミッディング」は投資やギャンブルのテクニックのひとつで、FXトレードにも応用されている手法です。
ピラミッディングは大きな利益を狙う上級トレーダーも取り入れています。効果的に活用すれば強力な武器になりますが、使い方を誤ると損失が雪だるま式に膨らむ場合があり、諸刃の剣になるリスクも孕んでいます。
ピラミッディングの手法
簡単に説明すると、ピラミッディングとは為替相場が予想通りの動きをした際に少しずつポジションを増やして利益を大きく狙うという手法です。1回のトレードでひとつのポジションを持つよりも何倍もの利益を得ることができるアグレッシブな戦術です。
ピラミッディングの具体例
(ドル=100円)のとき、(100,000通貨)分買ったとします。その後、予想通り(ドル=101円)になり、さらに上げる気配があるときは、ポジションを保持したまま追加で買い増しの注文を入れるのがピラミッディングの典型的なパターンです。順にエントリーが小さくなることから、ピラミッドに見立てて「ピラミッティング」と呼んでいます。
初めに(100,000通貨)買った場合、次は(50,000通貨)、その次は(25,000通貨)と徐々に注文量を半減させていきます。こうすることで、平均購入単価は極端に上がらず、予想に反して相場が変動した時の損失額を抑えることができます。ちなみにこのトレード例は「スケールダウン(後述)」という類型です。
ピラミッディングの種類
ピラミッディングで重要なのは、買い増ししていくポジションの数量調整で、大きく分けて4つの手法があります。
スケールダウン
(100,000⇒50,000⇒25,000)といった具合に、半分ずつ購入する通貨量を減らしていくのが「スケールダウン」と呼ばれるピラミッディングです。最も標準的なタイプで、「垂直型ピラミッディング」とも呼ばれています。平均購入単価の面からリスクを抑制することが目的です。
イコールポジション
「イコールポジション」と呼ばれる手法は、(100,000⇒100,000⇒100,000)といった具合に、最初にとった量と同じ量のポジションを買い増していくものです。形状はピラミッドではなく長方形になります。イコールポジションでは、相場が思い通りに動けばスケールダウンよりも大きな利益を上げることができますが、その分リスクは高くなります。
リフレクティング
「リフレクティング」は、ピラミッディングの前半では買い増すポジションを増やしていきますが、後半は高値掴みを避けるために買い増す量を減少させていきます。その結果、中膨らみの「提灯型」の形状になります。
逆ピラミッド
相場の動向がわかりにくい場合は、最初の取引数を少なくし、徐々に取引量を増やして「逆ピラミッド」を形成していく方法もあります。
初期エントリーでは投資を抑えて、予想通りに動いたときに取引数を増やすことで、収益増とリスク管理を並行しておこないます。初期に大量購入するトレード方法と比べるとトータルでの利益は下がりますが、利益の安定化が可能です。売りトレードでも同様に、少しずつ売りの取引数を増やしていくことによってリスクヘッジが可能になります。
ピラミッディングを運用する際の注意点
タイミングが重要
ピラミッディングにチャレンジする際に注意したいのはタイミングです。ピラミッディングはチャートが一方向に動く「トレンド相場」でのみ、その効果を発揮します。「レンジ相場」は上昇と下落を繰り返すため、ポジションを増やしにくいのです。
レンジ相場からトレンド相場へ移行するタイミングを狙ってピラミッディングを仕掛ければ、最大の利益を得ることができるので、繰り返しになりますが、仕掛けるタイミングが重要です。
2種類のトレード技術を習得しないと使いこなせない
最初のポジションは数日から数週間でトレードを完結する「スイングトレード」ですが、途中でポジションを追加していく局面は「デイトレード(1日でトレードを完結)」であるといえます。
つまり、ピラミッディングを上手に運用するためには、スイングトレードとデイトレードの両方の技術を習得しなければならないということです。
初心者にはハードルが高いが考え方は知っておきたい
ピラミッディングは収益拡大とリスクヘッジを両立させる戦術でありながらも、裏にハマると損失をさらに拡大させてしまう可能性があります。
ピラミッディングを使いこなすためにはスイングトレードとデイトレードの両方の読みが必要になる点からも、それぞれのチャートの読みに自信のない初心者にとってはハードルが高い戦術だと感じます。初心者としては上級者のトレードの考え方のひとつとして覚えておくといいのではないでしょうか。
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