「マーチンゲール法」とは、勝つまでベット額を倍々プッシュで賭ける手法です。一説には、南フランスのマーティギュー地方出身者がギャンブルで好んで使っていた「マーティギューシステム」が転じて、「マーチンゲール法」といわれるようになったといわれています。
マーチンゲール法はカジノやギャンブルだけではなく、FXにも応用できるとされています。単純に倍プッシュしていくだけのシンプルな攻略法であり、どれだけ連敗が続いても、たった1回の勝利でプラスになります。理論上は必勝法といえるでしょう。
それなら、すべての投資家が採用してもよさそうなものですが、実態は違います。マーチンゲール法には落とし穴があるからです。
資産が無限にあれば必勝法になる
マーチンゲール法の最大の欠点は、勝つまで掛金を倍々に大きくしていくため、莫大な軍資金を用意しなければならないことです。連敗続きでも、そのあとに1回勝つことによって負け分はすべてなくなり、前回の掛け金の分がプラスになります。問題は、その1回の勝利がいつくるのかがわからないということです。
(1回目は1ドル)⇒(勝負に負けたら2ドル)⇒(次にまた負けたら4ドル)
負けトレードの後、このように倍々に掛け金を増やしていきます。このとき2連敗や3連敗で済むなら掛け金はさほど大きくなりませんが、場合によっては10連敗や20連敗する可能性もないとはいえません。こうなると、掛金はとんでもなく大きくなってしまいます。
10連敗後、11回目のトレード軍資金 | 1024ドル |
20連敗後、21回目のトレード軍資金 | 104,857,600ドル |
(ドル=110円)の場合、20連敗後の掛金(104,857,600ドル)は1000万円を越えます。たしかに短期間では、このような大きな連敗を喫する可能性は低いかもしれませんが、マーチンゲール法でトレードを長期的に続けていくと、いつかはこのような大連敗をする日が来ます。そのときに資金がショートすればそこでゲームオーバーです。
しかも、このような大金を投じて21戦目に勝ったとしても、その収益額は20戦目の掛け金の分だけなのです。
FXでマーチンゲール法が注目される理由
FXとマーチンゲール法の相性
マーチンゲール法がFXトレードの手法として注目されるのには理由があります。もともとマーチンゲール法はギャンブルのテクニックとして活用されてきましたが、二択のゲームとの相性が非常にいいのです。
たとえば丁半博打や赤黒を当てるだけのルーレットは勝率(50%)なので、マーチンゲール法との親和性が高いとされています。また、ブラックジャックは勝率(49.5%)のゲームであり、こちらもマーチンゲール法と相性がいいギャンブルであるといえるでしょう。
FXが勝ち負けの二択のゲームであると考えれば勝率(50%)となり、やはりマーチンゲール法との親和性が高いと考えられるのです。
ほかの分析法との組み合わせで精度を高めることができるか
マーチンゲール法自体には、相場を予測する能力がありません。いつ勝てるのかわからないので、資金力がなければ活用が難しいというのが、マーチンゲール法の落とし穴です。
したがって、もし為替の予想精度を高めて勝率をアップすることができれば、マーチンゲール法の最大の欠点を克服することが可能です。為替変動の予想精度を高める「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」を為替予想のツールとして導入し、勝率を50%以上に高めることができれば、マーチンゲール法の手法を用いても資金不足に悩む確率は低くなるかもしれません。
マーチンゲール法は有効なトレード方法か
根拠のない願望でトレードしてはいけない
勝率50%のFXで「8連敗はしないだろう」「よもや10連敗はないだろう」という思い込みが破滅への入り口です。たとえ大損失の可能性が低くても、根拠のない願望でトレードしてはいけません。それ以前に、この戦術にそのようなリスクを冒す価値があるかどうかを確認しておく必要があるでしょう。
FXにマーチンゲール法は必要ない
そのほかにマーチンゲール法で注意しておきたいのは、「効率が悪すぎる」ことです。この点は要注意です。何連敗してから勝っても「直前の投資金額分」しか利益が出ないわけですから、オッズはたったの(1.5倍)にすぎません。
またマーチンゲール法において、勝率をあげることにも大きな意味があるとは思えません。「ファンダメンタルズ分析」や「テクニカル分析」によって勝率をアップできるのであれば、わざわざ投資効率の低いマーチンゲール法など使わずに、普通に勝負すればいいのです。
マーチンゲール法は「ハイリスク・ローリターン」の取引手法です。このような邪道の戦術に頼るのではなく、経験値や分析能力を高めてコツコツ利益を積み重ねていくことが、FXトレードの王道なのではないでしょうか。
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