「バンドワゴン効果」とはアメリカの経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタイン氏が提示した行動心理学で、ひと言で説明するなら「集団心理」です。バンドワゴン効果は経済やビジネスのほか、FXなど相場の分析にも活用されています、
今回は、バンドワゴン効果とFXの関係性について学習しましょう。バンドワゴン効果を理解することによって、FX初心者の相場に対する考え方が大きく変わるはずです。
バンドワゴン効果とはなにか
バンドワゴン効果とは集団心理である
バンドワゴン(楽隊車)が賑やかな音楽を流してゆっくり進むと、車の後ろには数人の人がついてきます。盛り上がっている音楽に惹かれて、パレードの後ろに人が少しずつ増えていきます。その光景を見て、さらに人が増えていきます。
どんどん人が増えて車を囲むほどの人で溢れかえり、お祭り騒ぎになると、その集団を見て人がさらに増えていきます。
バンドワゴンは行き先を失う
バンドワゴンは多くの人に囲まれて、前に進めなくなってしまいました。バンドワゴンで演奏していた楽隊は車から降りてしまいました。車が停まるとさらに群衆は大きくなっていきます。ついに行き場を失ったバンドワゴンは、大勢の群衆を振り払い後方へと行進の進路を変えて進み始めます。
バンドワゴンから振り払われ、轢かれそうになった人たちは血相を変えてバンドワゴンから一斉に離れていきます。
ふたたび楽団がバンドワゴンに戻る
静かになった車の周りには、ほとんど人がいなくなりました。するとふたたび、楽隊がバンドワゴンに戻り、音楽を奏で始めると、見物人がわらわらとバンドワゴンの後ろに集まってきます。以下はその繰り返しです。
世の中にあふれるバンドワゴン効果
バンドワゴン効果は世の中にあふれています。身近なところではラーメン店の行列などがその一例です。行列ができていると気になって自分も並びたくなります。
「多くの人が支持している」というのはブランド戦略の基本です。ブランドは多くの人に支持されるとブランド力が上がり、さらに人を惹きつけます。とくに日本社会は同調圧力が強いので、バンドワゴン効果がより強く働くのかもしれません。
投資とバンドワゴン効果
投資の世界でもバンドワゴン効果の現象は起こっています。なぜなら相場も人の集団心理でできているからです。
遅れてバンドワゴンのパレードに集まった投資家の末路
多くの人の注目が集まれば、強いトレンドが形成されます。しかし、行列の後ろに並んだ頃にはすでに流行はピークを過ぎています。バンドワゴンはすでに身動きが取れない状態で、ギアをバックに入れようとしているタイミングにあるわけです。
遅れて行列に並んだ人はバンドワゴンの方向転換によって薙ぎ払われ、大きな怪我(ロスカット)を被ってしまいます。
投資の勝ち組は二度三度勝てるチャンスを待っている
その一方で、勝ち組投資家は相場が盛り上がっている時にはすでに利益を確定してその場を離れています。バンドワゴンの楽隊と最初に車を見つけた人たちです。先行して優良投資先を発見した投資家は、二度三度と儲けるチャンスを窺って、群衆がバンドワゴンから離れるのをじっと待っています。
バンドワゴン効果から得られる教訓
FXにおけるバンドワゴン効果
最善のエントリー方法は、最初にバンドワゴンを見つけて並ぶことです。しかし、多くの場合は、相場が急騰している時に慌ててエントリーしてしまいます。これはまさに、バンドワゴンが群衆に取り囲まれ、身動きがとれなくなった状態で「飛び乗る」行為です。FXトレードで例えるなら、誰もがトレンドと認識した頃にトレンドフォローを始めて、すぐにトレンド転換してロスカットされてしまうケースです。
もっと早いタイミングでエントリーできれば、利益を得られるとわかっていても、実際にそのタイミングを見極めることは難しいものです。多くのトレーダーがバンドワゴンに騙されてしまいます。
バンドワゴンに騙されないためには経験値で克復するしかない
もうひとつのアプローチとして、熱狂が覚めて群衆がバンドワゴンから離れたタイミングで、そっと潜り込むことができれば利益を狙えるかもしれません。この場合でも、楽隊がバンドワゴンに戻ってこなければ、ふたたびブームが起こることはありません。この見極めが難しいところです。
停まっているバンドワゴンに楽隊が乗っているかどうかを確認できる分析能力こそが、再び訪れるかもしれないブームを最先端で待ち構えられるかどうかの知恵です。結局のところ、相場に対して自分の考えや軸をしっかりと持っていることが重要なわけです。
トレードルールを明確化し、それを守ることで値動きに翻弄されることがなくなります。実践することは難しいですが、課題を克復するためにはトレーニング、つまり場を積むしか方法はないのです。
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