トレーダーであれば誰でも知っている通り、FX商材販売ページでは、さまざまな「誇大広告」や「虚偽広告」が平然とおこなわれています。
現状は、これらの誇大表現や偽証行為を規制する手立てがないので、まさにやりたい放題です。残念ながらこれらの広告に騙される初心者が後を絶たず、猫道場主も一部のFX商材販売者の行き過ぎた広告を苦々しく思っているトレーダーのひとりです。
怪しげなインターネット広告がなくならない理由
投資リテラシーが低い人たち
情報販売業者が喰い物にしているのは投資リテラシーが低い人たちです。投資リテラシーの高いユーザーは、そもそも怪しげな商材には見向きもしませんが、リテラシーが低い人は、面倒くさがりで思考停止に陥りやすく、搾取されていることにも気づきません。かれらの存在が、インターネット広告の先鋭化の後押しになっています。
投資リテラシーが低い人は、「儲かる」「稼げる」「億万長者」という言葉に簡単に飛びつきます。たとえば、インターネットで取引ツールのトレード記録を開示している広告があります。普通の人なら、こんなものは数字を加工すればいくらでも偽造できることがわかります。ところが、世の中にはこんな単純なトリックにも気がつかない人がいるのです。欲に駆られて目が見えなくなっているとしか言いようがありませんが、業者にとっては格好のカモです。
景品表示法の規制の限界
「景品表示法」という法律は、消費者を守るために「優良誤認」等を不当表示として禁止しています。優良誤認とは次の2つの行為を指します。
・消費者に対して実際よりも著しく優良であることを示すこと ・事実に相違して競争関係にある事業者よりも著しく優良であると示すこと
景品表示法が、FX商材の過激なネット広告に対する高い抑制効果を発揮しているかといえば、かなり疑問があります。
消費者庁が優良誤認表示をおこなっている業者を規制するためには、ユーザーが消費者庁に働きかけをし、消費者庁が事業者に対して表示の裏付けとなる根拠を示す資料の提出を業者側に求め、その上で優良誤認や有利誤認であるかどうかの判断をするという手順が必要です。つまり、手続きが非常に煩雑で時間もかかるのです。
また、FX広告の主戦場である「アフィリエイト広告」の分野には、これまでまったく景品表示法の手がつけられなかったという深刻な事情があります。
アフィリエイト広告のこれから
ようやく動き出したアフィリエイト広告規制
これまで、アフィリエイト広告の規制はまったくすすんでいませんでした。どんなに酷い内容のアフィリエイトサイトの記事があっても行政処分が下されることはなく、事実上野放し状態だったのです。
しかし、消費者庁もようやく重い腰を上げ、アフィリエイト広告の規制強化に乗り出しました。2021年6月には「アフィリエイト広告に関する検討会」を開催したほか、実態調査もスタートさせ、法改正に動き出したのです。
2022年夏にアフィリエイト広告規制がスタートするか
消費者庁は2022年2月に悪質なアフィリエイト広告を排除するための対策を盛り込んだ「アフィリエイト公告等に関する検討会報告書」を公表しました。今後は報告書の提言に沿って景品表示法の指針を改正し、今夏前にもアフィリエイト広告の規制に乗り出す計画だといいます。
もっとも、政府が本格的な広告規制に乗り出したとしても、すぐに効果が現われるかどうかは疑問です。雨後の筍のように次々と出てくる情報商材のインターネット広告に対して、「いたちごっこ」の状態になることが想像できるからです。
FX情報商材に過度な期待は厳禁
FX商材のすべてが悪というわけではないでしょう。優れた商材や知見を得られる商材もあるかもしれません。しかしその一方で、事前に中身を確認することができない情報商材の良し悪しを販売ページだけで判断することは困難です。結局は常識力で判断するしかないのです。
取引ツールはFX口座が無料で提供しているものがあるぐらいですから、数万円とか数十万円するようなものは怪しいと判断しなければなりません。また、たかだか数万円程度で買える情報商材で、「1億円稼げる!」といった非現実的な期待はしないことです。
ネット広告の法規制がすすむかどうかとは別の問題として、自分のお金は自分で守らなければならないのです。
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