ビットコインに代表される仮想通貨は、ほかの金融商品に比べてリスクが大きいといわれています。大きなリターンを得られる魅力がありますが、投資リスクにおける知識を持って計画的に投資しないと簡単に借金を抱えてしまう可能性も同程度あると考えておくべきでしょう。
今回は、ビットコインで借金を抱えてしまう理由や対処法についてわかりやすく解説します。
投資初心者が知らないビットコインの相場変動リスク
ジェットコースターのようなビットコイン相場
ビットコインは2020年9月から2021年4月にかけて(100万円)台から(700万円)を超えるまで価格が上昇し、多くのビットコイン長者がうまれました。その後は(300万円)台まで下落したかと思えば、2021年7月には史上最高値となる(700万円)を突破するなど、乱高下を繰り返しています。その後はふたたび値を下げ、2022年4月時点では(490万円)前後を推移しています。
最近の値動きをみても、ビットコイン投資には元値が数倍にもなる魅力がある反面、多くの投資家が破産の憂き目にあっていることも理解できると思います。
値動き幅は無制限
日経平均株価やNYダウ平均株価の値動きは1日当たり(1%)ほどです。通貨為替においても、価格が(10%)以上下落するというのは、戦争やその国の経済破綻など、よっぽどの理由があるケースに限られます。
また株式市場は、一日の変動においてストップ高ストップ安といった変動制限を設けていますが、仮想資産にはそのような制限がなく、際限なく価格変動します。一般論として仮想通貨に対する評価は高く実力以上の高価で取引される傾向があるため、ふとした要因によって大きく下落することも増えるわけです。
ビットコインの危険は為替リスク以外にも
ハッキングの危険があること
ビットコインや仮想通貨はサーバー攻撃の危険にさらされています。過去に日本でも、ハッキングによってビットコインを含む仮想通貨67億円が流出した事件があります。大手仮想通貨取引所「Binance」が2019年にサイバー攻撃を受けた際には、44億円相当のビットコインが流出しました。
その後、取引システムのブロックチェーンのセキュリティレベルは高度に整備され、現在はハッキングの恐れはほぼないと考えられますが、取引後の通貨の保管場所については注意が必要です。
仮想通貨の保管場所には、インターネットに接続された環境にある「ホットウォレット」と、インターネットから遮断された「コールドウォレット」の2種類があります。このうち、ホットウォレットは過去にも大規模なハッキングの被害実績があり、現在もなおハッキングされるリスクは低くありません。
取引所の経営破綻リスク
仮想通貨取引所が経営破綻した場合には、利用者の資産が返還されない可能性があります。破綻後は倒産法、会社法、会社更生法、民事再生法等に基づいて手続きがおこなわれますが、利用者への補償は充分とはいえません。もしものために、かならず金融庁の認可を受けた取引所を利用しましょう。
仮想通貨に対する高い税率
ほとんどの初心者投資家は意識していないと思いますが、株式投資やFXと仮想通貨の利益に対する課税方式はまったく違います。株式投資やFXの利益が「分離課税」(ほかの所得と合算せず分離して課税)であるのに対して、仮想通貨の場合は「総合課税」(ほかの所得と合算して課税)なのです。
さらに、利益の大きさによって以下のように課税率が変化します。
仮想通貨を含む所得 | 税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | 0円 |
195~330万円未満 | 10% | 97,500円 |
330~695万円未満 | 20% | 427,500円 |
695~900万円未満 | 23% | 636,000円 |
900~1800万円未満 | 33% | 1,536,000円 |
1800~4000万円未満 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
・所得金額(仮想通貨収益+その他収入)×税率-控除額
サラリーマンの場合、給与所得とビットコイン収益の合計が(695万円)以上になれば税率(23%)となり、株式投資やFXの税率(一律20%)を上回ります。
税金については注意が必要です。税金は利益を出した翌年に請求されるので、投資初心者がそのことをすっかり忘れて、散在して税金を支払う資金がなくなるケースもときどき耳にします。
法改正の可能性
今後、仮想通貨に対する法改正がおこなわれる可能性があります。それに伴って、価格変動リスクの増加や取引の制限、税負担の増加などの課題が発生する可能性があります。
ビットコインで資産を失ってしまうパターンを紹介
Aさんは友人に勧められてビットコインのレバレッジ取引を始めると、自己資本10万円を含み益200万円まで増やすことができました。しかし、喜ぶのもつかの間、突然の相場の急落によってロスカットされ、残高が0円になってしまいました。
Aさんは、一旦は10万円から200万円まで資金を増やした成功体験を忘れることができませんでした。インターネットで拾い読みした情報のなかに「下がった相場はそのうち元に戻る」というものがあり、Aさんは一気に500万円の利益を目標に、消費者金融で(50万円)を借りてハイレバレッジ取引に手を出してしまいました。ところが予想に反して相場がさらに下がり始め、追加の(50万円)も失うことになりました。
ビットコインで破綻しないために
生活費を投資に使ってはいけない
ビットコインに限った話ではありませんが、生活費と投資費用を分別することができない人は投資をしてはいけません。お金の管理が苦手な人は、投資費用と生活費用を別の口座にしておけば対策ができます。投資額は給与の(5~10%)程度に留めるようにしましょう。
絶対に借金をして投資してはいけない
ビットコイン投資では、テクニックや知識がなくとも、ビギナーズラックで100万円以上稼いだという人も少なくありません。逆にいえばマイナス100万円になる可能性も同程度あり、もしマイナスを被ってもすぐに取り返せるだろうと安易に考えてしまう危険があるということです。
借金をして相場に挑めばかならず負けます。もし借金をして負けてしまったら、損失をそこでストップさせなければなりません。さきほどのAさんの例でいえば、以後はきっぱりとビットコインとは手を切り、損失を60万円(10+50万円)で留める自制心をもたなければならないのです。
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