FXにおける「3すくみ」手法は本当に必勝法といえるのか

FXの基礎編

FXには「すくみ」を利用したサヤ取り手法があります。一説には「必勝法」扱いされることもあるこの手法ですが、その真偽について明らかにしていこうと思います。

外国為替にはさまざまな通貨ペアがありますが、今回は三大メジャー通貨であるドル、ユーロ、円を例に「3すくみ」のテクニックを解説していきます。

「すくみ」とはなにか

「すくみ(竦み)」とは、「得意」と「不得意」の力が拮抗してバランスが取れている状態のことです。日本では古くからヘビ、カエル、ナメクジの例があるように「3すくみ」が有名です。

FXでいう「すくみ」は、異なる通貨をそれぞれ持ち合うことによって相場の上昇下落を相殺して、「サヤ取り(アービトラージ)」によって利益を上げる手法です。

三大メジャー通貨の「3すくみ」

ドル、ユーロ、円で「3すくみ」のパターンを確認しましょう。

・ユーロを買って米ドルを売る
・ドルを買って円を売る
・ユーロを売って円を買う

それぞれ同量の通貨を保有すれば、「3すくみ」の第一段階は完成です。3つの通貨のパワーバランスが拮抗してバランスが取れていれば「3すくみ」となり、為替の上下をそれぞれが相殺するので、為替の損益は発生しません。

このカラクリを、各通貨の強弱をそれぞれ(100%)をベースとして詳しく確認していきましょう。たとえばドルの価値が(20%)上昇し、ユーロと円の価値に変化がない場合は、各通貨の強弱は以下のようになります。

通貨ペア 価値の変化
①(ドル/円) (100)⇒(110%)
②(ユーロ/ドル) (100)⇒(90%)
③(ユーロ/円) (100%)⇒変わらず

3通貨ペアは(100%×3=300%)で、ドルの価値が(10%)上昇しても全体の価値は(300%)で変わりません。利益と損失が相殺されて価値の総量が変わらない状態が、FXの「すくみ」というわけなのです。

「3すくみ」で儲ける仕組みとは

しかし、上記例のように3つの通貨ペアを持ち合っているだけでは利益と損失が相殺されるだけで儲けることはできません。

実は「3すくみ」の目的は、スワップ金利で利益を得ることなのです。上記の表の(①+②+③)のスワップポイントの差額がプラスであれば、為替変動に左右されずにノーリスクでスワップが毎日入ってきます。これが「3すくみ手法」のエッセンスです。

「3すくみ」を狙ったトレードの懸念材料

しかし、「3すくみ」を狙ったサヤ取り手法は万能ではなく、デメリットが存在します。

スプレッドが大きくなり、多くの証拠金が必要になる

「3すくみ手法」は複数の通貨ペアを同時に保有して利益を狙う手法です。したがって、通常の手法よりも大きな証拠金が必要になり、スプレッドのコストも大きくなります。ある程度の資金を「塩漬け」にしておく必要があるので、その点には注意が必要です。

「3すくみ手法」は、かならずしも「効率のいい」トレード手法ではないということです。

実は損失が出る場合がある

通貨ペアの差益差を相殺しあえば収益はプラスマイナスゼロになるという「3すくみ」ですが、相殺を拒む事態が発生する場合があります。それは「ロスカット」です。

為替が大きく下落したケースでは、ロスカットにより強制的にポジションが決済されてしまいます。そうなると「3すくみ」の均衡が瓦解して、結果的に大きな損失が発生してしまうのです。

実は成立しなかった「3すくみ手法」

「売り」「買い」のスワップ差

無敵に思える「3すくみ手法」ですが、実際には大きな理論の穴があります。なぜなら、通常であれば、同じ通貨ペアであっても「買いスワップ」と「売りスワップ」が異なり、ほとんどのFX口座では、後者の数字のほうが大きく設定されているからです。

つまり、3つの通貨ペアを保有した場合、為替変動リスクはゼロになってもスワップ損となってジリジリ証拠金が削られる結果になってしまうのです。

詐欺的な業者も存在する

「FX Suit」という海外の口座が「3すくみトレード」を可能とするサービスを展開しました。前述のように、ほとんどのFX会社が「買いスワップ」よりも「売りスワップ」を高く設定しているのですが、「FX Suit」は同じレベルに設定していました。

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「リスクゼロのトレード手法」という宣伝文句に多くの初心者が踊らされました。しかし実際には、「FX Suit」には裏があったのです。

入金して半年間は出金手数料が(30%)もかかることから、トレーダーの資金はほぼ凍結されました。その後、「FX Suit」が一方的にスワップレートを変更したことから、多くのトレーダーが「サヤ取り手法」を封じられてしまったのです。

スワップレートは業者側が自由に変更することが認められているので、「FX Suit」のルール変更が非合法であるとは一概にはいえません。しかし、「FX Suit」側は多くの投資家が「3すくみ」狙いのために、こぞって口座を開設したことは知っていたはずです。

「3すくみ」は成立しない

いかにもリスクのない手法のように思えますが、結論からいえば「3すくみ」は成立しません。その最大の理由は「売り」「買い」スワップの設定の違いです。当然ながら、FX会社側も「3すくみ」の有効性を理解しているので、この戦法を取らせないようにスワップレートを設定しているのです。

今回はドル、ユーロ、円のパターンで解説しましたが、金利の大きいマイナー通貨(南アフリカランドやトルコリラなど)との組み合わせによる「3すくみ」であれば、成立するのではないかと考える初心者がいるかもしれません。しかし、為替が激しく動くこれらの通貨はロスカットのリスクが高いため、破綻する可能性が格段に大きくなることを理解しておきましょう。


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FX超初心者専科 猫道場 道場主H

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FXトレードは知識や経験の差によって、結果に大きな差がでます。 多くの人が1年以内にトレードから撤退していますが、その原因の多くはやはり知識や経験の少なさによるものです。 FXはボードゲーム(将棋やチェスなど)に例えられることがあります。 どんなゲームでも基本が身についていなければ、相手に勝つことはできません。 孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。 戦いに勝つためには、まず相手のことを知らなければならないという意味です。 FXにおいて、みなさんが戦う相手は、「市場(しじょう)」という大きな敵です。 市場と戦うための知識の入り口として、ぜひこのサイトを役立てていただきたいのです。 そして、経験についてはトレードを積み重ねることによってしか得られません。 みなさんにはご自分の資力の範囲で、無理のないトレードを開始していただきたいと思います。 「はじめに」でも触れましたが、FXトレードは奥が深いものです。 将来の勝ち組を目指して、また、その過程で経験するであろうFXの怖さやワクワク感をぜひ堪能してほしいと思います。 どんなゲームにもビギナーズラックがありますが、そのような幸運は長くは続かないことを知り、くれぐれも丁半博打のような無謀なトレードをしないように気をつけてください。

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