アメリカが関与する戦争とドル為替の関わりについて学ぶ

FXの基礎編

戦争は為替相場に大きな影響を及ぼします。多くの投資家は戦争当事国とともに戦争の影響で経済環境が悪化した国への投資を控え、一部を政治経済が安定している国の通貨や株式への投資に切り替える動きをみせます。

このように、戦争が為替に及ぼす影響はFXトレーダーにとっても無視できない要素です。今回は、多くのトレーダーの主戦場であるドル相場において、アメリカの戦争への関与と為替への影響について考えてみましょう。

かつてアメリカが関与した戦争で為替はどう動いたのか

過去約30年間にアメリカが関与した戦争は以下のようなものがあります。このとき為替はどのように動いたでしょうか。

湾岸戦争(1991年)

湾岸戦争では開戦によってドルが下落して、終結すると上昇するという動きが見られました。

イラクがクウェート侵攻をはじめた1990年8月の動きを見てみると、それまで(150円)台だった(ドル/円)が大きく下がりはじめています。開戦前日の1991年1月16日までに(136円)台まで落ち込み、空爆開始によって(133円)台まで急落しました。その後も下落は続き、2月初旬には(127円)台まで落ち込んでしまいました。

しかし、戦闘終結が近づく2月末になると(133円)台まで回復し、3月末には(140円)を記録しています。

アフガニスタン戦争(2001年)

2001年10月7日から空爆が開始されましたが、直前に(120円)台だった(ドル/円)相場は侵攻がはじまるとじわじわと上昇が進み、(124円)まで上昇しました。

このような動きの背景には、そもそも戦争の理由となった同時多発テロによって、(ドル/円)が急落していたことがあります。空爆後のドル値の上昇は、テロに対する不安が開戦によって終息するという期待から、ドルが少しずつ買い戻されていったためだと考えられます。

イラク戦争(2003年)

開戦が宣言された3月19日には、前日まで(118円)台だった(ドル/円)相場が一気に(120円)台まで上昇しています。戦闘開始後に相場が回復したのは、戦争の早期終了による解決への期待感が高まったためだと考えられます。

その後もおおむね(120円)台で推移したのち、大規模戦闘終結宣言が出されると逆に下落に転じ、(116円)台まで下がりました。

過去の戦争からドル相場への影響を分析する

戦争前の状況によって結果は異なる

湾岸戦争では開戦とともにドルが下落し、戦争が終結すると上昇するという、ある意味オーソドックスな為替の動きが見られましたが、その後のアフガニスタン戦争やイラク戦争では、開戦時に(ドル/円)が上昇する結果となりました。

一般論としては、湾岸戦争に見られるように、アメリカが戦争に関与するとドル安になる傾向があります。しかしその後のイラク戦争やアフガニスタン戦争では、開戦によってテロの不安が解消されるという期待から、ドル高を記録しました。

戦争が近づくと円高になるケースもある

戦争が勃発する前の不安定な政情下では円に注目が集まります。そもそも日本は恒常的な経常黒字国であり、大量の対外資産を抱えていることから、安定的な投資先として認識されているのですが、投資家は戦争が近づくと日本企業が海外資産を日本に還流させると考え、円買い需要が強まります。

そして、いざ戦争が始まると、石油など輸入原料の停滞など不透明な材料を反映して円安へと向かうのです。

「有事のドル」とアメリカ自国の戦争

外国為替取引に関する格言のひとつに「有事のドル」という言葉があります。戦争が起こった場合には、流動性のあるアメリカのドルを買っておけば安心できるという経験則です。

戦争が勃発しても、最後に勝つのは圧倒的な軍事力を誇るアメリカであるという安心感がドル高の根拠ですが、現代の戦争では、この原則が揺らいでいるように見えます。有事に為替市場や株式から金などの現物へと投資ターゲットを切り替える投資家も多く、これらの現象は、時代の流れとともにアメリカやドルの評価が下がりつつある証拠といえるかもしれません。

戦争時における為替市場への参入は是か非か

現代戦争は基本的に短期決戦

現代の戦争というのは基本的に短期決戦です。これが何を意味するかというと、「相場の変動は激しくなっても長くは続かない」ということです。短期間で目まぐるしく情勢が変わるのでボラティリティは高まりますが、その状況が長く続くことはなく、戦争の早期終了とともにすぐに相場は落ち着きます。

戦争時の為替は予測不能

有事における為替相場は、単純に判断できないケースが多いことがわかりました。戦闘の情勢だけでなく、アメリカ大統領や政治家の言動、短期決戦を狙ったヘッジファンドの暗躍に加えて円の値下がりも予想されるため、(ドル/円)相場は、さらに複雑な様相を呈します。

戦争における相場予測は非常に困難だというのが今回の結論です。一般的なトレーダーは有事のときは無理に相場に参入せず、相場が落ち着くまで待つのが最良の戦略だと思います。


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