日本国内のFX会社には金融庁によって最大25倍までのレバレッジ制限が設けられています。しかし、海外のFX会社には金融庁が関与していないので、レバレッジの上限が適用されません。数百倍ものレバレッジを設定している口座もあり、大きな利益を狙う上級トレーダーは海外FX口座を活用するケースも多いです。
ここで注意しておきたいのは税金問題です。海外の口座を利用していても、利益が発生すれば日本国内の課税対象になります。また、海外FX口座の場合は課税の仕組みも異なります。
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FXの利益が課税される仕組みを知っておこう
税金の対象になる利益額
FXに対する税金は、トレードの利益そのものにかかるわけではありません。利益から経費や控除を引いて出された所得に所定の税率をかけたものが納税額になります。課税対象となる所得は、働き方や収益の構造によって異なります。
サラリーマン | FXの収入が(20万円)を超えると課税対象 |
自営業、専業主婦、専業トレーダー | FXの収入が(38万円)を超えると課税対象 |
キャッシュバックも課税対象になる
海外FX口座の場合、いわゆるキャッシュバックサイトを通したトレードをおこなった際に、スプレッド(手数料)の一部が現金で戻ってくるシステムがあります。これは利益とみなされ、課税対象となります。
一方で、FX会社のポイント還元やボーナスは実際に現金を配っているわけではないので、課税対象になりません。
FX口座の利益にかかる税金の特徴
国内口座で得られた利益も海外口座の利益も、どちらも「雑所得」として扱われますが、トレーダーが知っておかなければならないのは、国内口座と海外口座では税率が異なるということです。
国内口座には「申告分離課税」が適用される
国内口座には以下のような算式で「申告分離課税」が適用されます。
FX収益への課税率=(所得税)+(住民税)+(特別復興所得税)=(20.315%)
・(50万円の利益)⇒(税額101,750円) ・(100万円の利益)⇒(税額203,150円)
給与所得に適用される「累進課税」は所得の大小によって税率が変動します。それと比較すると、収益に関わらず定率である申告分離課税は公平な課税制度といえるかもしれません。
海外口座には「総合課税」が適用される
海外口座の取引には「総合課税」が適用されます。総合課税では、給与所得のほか、利子や配当、不動産所得など、雑所得とほかの所得を合算した「総所得」から控除額を差し引いた金額に対して税率を決定します。要するに累進課税制度です。
195万円以下 | 15.21% |
195万円超~330万円以下 | 20.21% |
330万円超~695万円以下 | 30.21% |
695万円超~900万円以下 | 33.21% |
900万円超~1800万円以下 | 43.21% |
1800万円超~4000万円以下 | 50.210% |
4000万円超 | 55.21% |
海外口座の税金は高いか
海外FX口座の場合、利益が小さいと税額が小さくなるように感じますが、一概にはそうともいえません。税率はトレーダーの総収入によって上下するからです。トレーダーのFX以外の所得を確認しておかないと、国内FX口座との税額比較が難しいのです。
海外FX口座で利益が出た場合の注意点
損益通算ができない
「損益通算」とは、一方で利益が生じていて他方で損失が生じている場合に、損益を合算して課税対象額を算出する方法です。
口座Aに(50万円)の利益があり、口座Bに(20万円)の損失がある場合、損益通算によって利益は(30万円)となり、そこから必要経費を引いた金額が課税対象になります。A、Bがそれぞれ国内口座同士、もしくは海外口座同士なら損益通算が可能です。
ところが、Aが国内口座でBが海外口座の場合(もしくはその逆)は、損益通算ができません。Aの収益(50万円)にはそのまま課税されてしまいます。
損失の繰り越しができない
国内口座では、1年目に(100万円)の損失が生じて2年目に(30万円)の利益、3年目に(50万円)の利益が生じた場合、1年目の損失を2年目および3年目に繰り越すことができます。したがってこのケースでは、2年目の(30万円)、3年目の(50万円)の利益に対して税金が課されることはありません。
しかし、海外口座に適用される総合課税は1年で決済が完結するため、損失を繰り越すことができません。上記のケースでは、2年目の(30万円)、3年目の(50万円)の利益にそれぞれ課税されてしまいます。これは大きなデメリットです。
トラブルにならないように正しい納税をしよう
自信がなければ税金のプロに相談しよう
確定申告はさほど複雑ではありませんが、必要経費や控除項目の判断は少し難しいかもしれません。納税額の計算に自信がない場合は、あとあと追徴などのトラブルにならないように、事前に税務署や税理士などに相談したほうがいいでしょう。
課税から逃れることは考えないほうがいい
税務署は一般人が想像するよりずっと正確な情報を握っています。
たとえば、(100万円)以上の資金を海外口座との間で入出金があった場合、税務署は銀行やカード会社から定期的に送金記録の提出を受けることになっています。それより小さな金額であっても、税務署から照会を受けた金融機関は、必要な情報を提供しなければなりません。
意図的もしくは意図せず脱税をしても、かならず発覚します。「納税しなくてもバレないかも」といった軽い気持ちで放置していると、「所得税法違反」に問われて、追加徴収や延滞税などの罰則を課されることになります。トレーダーはかならず正直な納税をしましょう。
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