ビットコイン(BTC)について理解を深めていくと、かならず出てくる言葉が「マイニング(mining)」です。マイニングは日本語で「採掘」と訳され、一般的には石油や金属などの鉱物を掘り出すための行為を指します。ビットコインは日々、採掘され続けているのです。
その一方で、ビットコインには発行上限が決められているという話を聞いたことがあるかもしれません。採掘しつくされたビットコインは、どうなっていくのでしょうか。今回は、ビットコインの発行の仕組みと将来についてわかりやすく解説します。
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ビットコインを構築するシステム
ビットコインを管理しているのは誰か
ビットコインや仮想通貨を管理しているのは「ブロックチェーン」というコンピュータシステムです。ビットコインは、数十億円、数百億円といった膨大な取引量が世界中で毎日取引されています。それらのすべての取引は、コンピュータネットワークの「ブロックチェーン技術」で管理されています。
「ブロック」と「マイニング」
ブロックチェーンでは、ビットコインの個々の取引データを「トランザクション」と呼び、それぞれのトランザクションをまとめてひとつの「ブロック」というデータ集合を構成しています。ブロックの集合体が「ブロックチェーン」というわけです。
このブロックを作成する試みのことを「マイニング(採掘)」といます。それぞれのブロックは膨大な数の羅列によって表現されています。ブロックは毎日マイニングされ続けていて、どんどんその数を増やしています。
ビットコインを「発掘」するマイナーたち
マイニングに参加するのは企業や個人の「マイナー」です。ブロックを構成する数値を発見するために、マイナーたちは計算競争をしています。この計算というのは、たとえるなら無数のサイコロを特定の目がそろうまで振り続けるという気の遠くなるような作業です。
マイニングを成功させるためには膨大なデータを処理する能力が必要です。高性能のコンピュータを駆使してその値が見つけることができれば、あらたなブロックが完成します。そして、ブロックの発掘に成功したマイナーは、報酬をビットコインで得ることができるのです(現在の報酬は12.5BTC)。
ブロック作成に複雑な手続きが必要な理由
そもそも、どうしてこんなに複雑な構造になっているのでしょうか。それはひとえに取引の正確性を担保するためです。ビットコインは、参加する全員でデータを共有して監視し合うことやマイニングのために複雑な計算を課すことによって、不正や改ざんを防ぎ、取引の安全を守ってきたのです。
ビットコインには発行上限が決められている
2140年に発行限界が訪れる
ビットコインには2100万枚の発行上限が定められていて、すべてマイニングされると流通するビットコインの量は固定されることになっています。2021年12月時点でビットコインの供給量は発行上限の90%に達していて、残り10%がマイニングされるのは2140年頃という予想がされています。
ビットコインの20%が紛失している
発行上限は2100万枚と決められていますが、最終的にそのすべてが市場に出るわけではありません。暗号資産分析会社「チェイナリシス」は370万ビットコインが紛失したと推定しています。
その原因はパスワードの紛失、ハードディスクの破損、あるいは鍵の保有者の死亡など、多岐にわたります。そのほか、ビットコインの生みの親「サトシ・ナカモト氏」が保有する100万ビットコインが手つかずの状態になっていることから、今後すべてのビットコインがマイニングされたとしても、実際に市場で取引されるビットコインは1500万枚程度であると考えられています。
ビットコインのマイニングが完了したらどうなるか
ビットコインは発掘され続けることに意味があった
ビットコインのマイニングが完了すると、ビットコインを発掘するというプロセスによって金融システムを回してきたビジネスモデルが成立しなくなってしまいます。ビットコインの送金システムはブロックチェーンをつくり続ける作業がなくなるとストップしてしまうからです。
こうなると、使い道のなくなった2100万のビットコインは投資家に死蔵され、最終的には完全に価値を失ってしまうという最悪のシナリオが思い浮かびます。なぜなら、ビットコインには「物」としての価値が存在しないのです。
採掘が終わったビットコインは無価値になってしまうのか
もしマイナーが撤退すれば、ビットコインのシステムは終了してしまいますが、実際にはマイナーが撤退しない道が残されています。発行量が上限の2100万ビットコインに達した後は、利用者が支払う取引手数料をマイナーが受け取ることでインセンティブになるという仕組みが組込まれているのです。
もっとも、実際にこの形でシステムが維持できるかどうかはよくわかりません。また、採掘完了後のビットコインの相場がどうなるかについても、定説がないというのが現状のようで、最終的に掴んだ者が損をする「ババ抜き」になる可能性も捨てきれないのです。もっともそれは、100年以上先の話なのですが。
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