FXトレードの王道は、一義的には為替差益を狙うものですが、2国間の金利差を受け取る「スワップ」も利益を得られるもうひとつの方法です。金利通貨を保有しているだけで手に入るスワップは、基本的に難しいテクニックが不要です。
今回は、資金管理の面からみたスワップ狙いのトレードの基本について解説します。
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スワップ狙いのトレードの基本
FX取引におけるスワップとは、取引する通貨ペアにおける「金利差相当額」のことです。(ドル/円)を例に、それぞれの国の金利を以下のように仮定して、スワップが発生する仕組みを解説します。
・ドル金利…(0.25%) ・円金利…(0.1%)
相対的に2国間の金利差が生じ、ドルは円に対して高金利通貨であることがわかります。円でドルを購入した場合、金利の差額が発生します。
・(金利の差額)…(0.25ー0.1)=(0.15%)
ドルを保有することによって、トレーダーは掛け金の(0.15%)を受け取ることができるわけです。これがスワップ金利です。
スワップポイントが付与される仕組み
スワップポイント発生のタイミングはFX会社ごとに異なる
スワップポイントが発生するタイミングを知らない初心者も多いと思いますが、スワップ付与の「基準点」は、スワップ狙いのトレードにおける基本情報ですから、口座開設の際にかならず確認しておきましょう。
スワップポイントが発生するタイミングは、FX会社ごとに取り決めが異なり、たとえば以下のような基準点が設定されています。
・毎朝定時(たとえば6時55分など) ・FX会社の営業終了時間 ・ニューヨーク市場のクローズ時間
スワップポイントが付与されるパターン
一般的な「ニューヨーククローズ」のケースで、スワップポイントが付与されるパターンと付与されないパターンを確認してみましょう。
Aパターン:スワップポイントが付与されるケース
①月曜日にポジションを保有する ②火曜日未明にニューヨーク市場がクローズする ③そのタイミングで、最初のスワップポイントが付与される ④さらにポジションを保有し続ける ⑤水曜日の未明にニューヨーク市場がクローズする ⑥このタイミングで2回目のスワップポイントが付与される
Bパターン:スワップポイントが付与されないケース
①火曜日の午前中にポジションを保有する ②水曜日未明のニューヨーク市場がクローズする前にポジションを決済する
つまり、スワップが付与されるかどうかは「基準点」をまたいでポジションを保有することが条件なわけです。Bパターンではニューヨーク市場のクローズをまたいでいないため、スワップポイントが付与されません。
保有ポジションに関わるスワップポイントの状況は、各口座で確認することができます。ちなみに週末(土日)や祝日をはさんでポジションを持ち越した場合は、その日数分を積み増しして、週明けにまとめて付与されます。
スワップポイントの注意点
スワップポイントは決済しないと付与されない
スワップ収益を決済前に出金することはできません。毎日トレーダーの口座に積み立てられ、ポジションを決済したときに初めて、出金可能となります。
スワップポイントは課税対象になる
決済取引によって確定したスワップポイントは、為替差益と同様に、「雑所得等」として「申告分離課税」の対象になります。
スワップポイントは変動する
スワップポイントは日々の資金需給や各国の金利政策によって変動します。定期的に為替ニュースをチェックして、保有通貨の金利を確認するようにしましょう。
スプレッド(実質的なFX会社の手数料)にも注意してください。スプレッドが大きい通貨ペアの場合は、スワップポイントが目減りしてしまうので注意しましょう。
効率よくスワップポイントを獲得する方法
実際にどれぐらいスワップポイントを得られるのか
以下の表は、2022年4月段階の金利で試算した(ドル/円)とポイントが大きく付与されるクロス円ペアのスワップポイントを示したものです。それぞれ100万円出資するケースで確認してみましょう。
通貨ペア | 年間スワップポイント |
(ドル/円) | 6,205円(17円/日) |
(南アフリカランド/円) | 33,215円(91円/日) |
(メキシコペソ/円) | 33,215円(91円/日) |
上記のように、(ドル/円)の場合は100万円出資して得られるスワップポイントは1年間で6,000円程度です。レバレッジを最大値(25倍)まで効かせれば、出資額は4万円に抑えることができますが、それでも、スワップポイント狙いとしてほとんど旨味はないように思います。
スワップを狙うならマイナー通貨だが
したがってスワップ狙いでは、南アフリカランドやメキシコペソなど金利差が大きくなるクロス円ペアがターゲットになります。しかし、これらのマイナー通貨は為替変動が激しく、スワップ以上に為替差損が発生する可能性があり、リスクも高くなります。為替の下落でロスカットを受けないように、口座残高と必要証拠金はつねに把握しておきましょう。
レバレッジを大きくするのは危険
為替リスクを抑えるためには、低レバレッジに抑えたトレードをしましょう。リーマンショックなど、過去に外国為替相場が暴落した局面を踏まえると、証拠金維持率は最低でも(250%)以上、できれば(300%)以上をキープすべきです。
そもそも、レバレッジ狙いのトレードでは、利益を大きく狙ってはいけません。分散投資のパーツのひとつとしてスワップ狙いを組み合わせるなど、リスクヘッジを充分にとっておくといいでしょう。
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