「バイナリーオプション」は為替相場や株価指数などを対象に、あらかじめ決められた時点、期間の騰落を予測し、ある値よりも高いか低いか一定の範囲に収まっているかなど、二者択一で選ぶ取引です。投資対象は株式や債券、外国為替(FX)のほか、現物(金属や穀物など)でもおこなわれています。
バイナリーオプションはギャンブル性の高いゲームです。正しい認識があれば楽しく遊べますが、投資をしているという感覚で挑むのは極めて危険です。理由は明白です。バイナリーオプションはFXよりもはるかに勝ち続けることが難しいからです。
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バイナリーオプションの仕組み
丁半博打に近いもの
2つのサイコロを振ってその合計数字が偶数か奇数かを当てるのが丁半博打です。サイコロを振って、偶数奇数の確率は(50%)ですから、「期待値」はプラスマイナスゼロです。
しかし、話はそんな簡単ではなく、どんなギャンブルにも胴元が存在します。胴元はゲームのたびにテラ銭(手数料)を徴収するので、参加者の期待値はマイナスになります。当然ですが、期待値マイナスのゲームを続けるほど、参加者のマイナスが拡大します。
バイナリーオプションの期待値
バイナリーオプションの一般的なゲームである外国為替の「ハイ&ロー」の仕組みは、ほとんど丁半博打と同じです。
・賭ける方向は「ハイ(値上がりする)」もしくは「ロー(値下がりする)」 ・手数料は(10%)前後 ・勝てば2倍のリターン(ただし手数料が引かれる) ・負ければ掛け金を全額没収
したがって、期待値は以下のようになります。
・勝った場合⇒(100%-10%)×0.5=45% ・負けた場合⇒(-100%)×0.5=-50% ・期待値⇒(45-50)=▲5%
このように、バイナリーオプションの期待値は、賭けの勝率が(50%)である限りマイナスになってしまいます。期待値をプラスにするためには、手数料が(10%)であれば(55%)を超える勝率を維持する戦略が必要になるということです。
勝率55%以上という難しいハードル
予想を55%的中させることの難しさ
勝率をあげるためには、一定時間後のレートの上下を高確率で的中させなければなりません。1分バイナリーならば、59秒時点のレートでもなく61秒時点のレートでもなく、正確に60秒後のレートを、55%を超える確率で当てることが求められるのです。
FXトレードには多くの要素が存在するため、柔軟性も高く戦術や戦略は多岐にわたります。勝率が50%を割っても勝つことができるし、一時的に含み損を抱えてもレートの戻しを待ってプラスに転じる戦略を取ることもできます。バイナリーオプションのように、一点を予測するような難しいことは求められません。
・「バイナリーオプションはFXよりも簡単」 ・「バイナリーオプションは初心者でも勝てる」
このような説明をしている証券会社は多いです。たしかにルールは簡単もしれませんが、勝ちやすさという点では疑問が残ります。
ブローカーの収益の仕組み
別の視点になりますが、バイナリーオプションを扱うブローカーの収益の仕組みを、一般的な「ハイ&ロー」モデルで検証してみましょう。
ペイアウトの仕組み
ブローカー側は「ペイアウト」という独自の仕組みを設定しています。
ペイアウトというのは丁半博打の「テラ銭」にあたるものです。ペイアウト率を(1.8倍)とすると、掛け金(1万円)で勝った場合には(18000円)が投資家に還元され、(2000円)はブローカーが手数料として徴収します。ちなみに、負ければ全額没収となり、ブローカーの取り分になります。
「レンジ外」の総取りルール
さらに、ブローカー側に有利な「レンジ外」という総取りルールがあります。為替が事前に設定されたレンジの外に入れば、「ハイ」「ロー」関係なく、ブローカーが総取りします。その確率は(7~9%)といわれているので、決して低い数字ではありません。10回に1回弱の割合で、ブローカー総取りが発生するということです。
バイナリーオプションが「危うい」理由
ブローカーの思惑は「賭けが偏らないようにしたい」
客側の負けが大きくなれば、ブローカーの取り分は大きくなりますが、その逆もあり得ます。勝敗の結果はブローカーも予測できません。掛け金の均衡が大きく崩れているサンプルで、どのような結果になるか考えてみましょう。
①ハイの掛金総額・・・150万円 ②ローの掛金総額・・・50万円
①が勝った場合⇒ブローカーは70万円の損失 ②が勝った場合⇒ブローカーは90万円の利益
ブローカーとしては70万円のマイナスの可能性をつぶしておきたいでしょう。このように掛け金の均衡が大きく崩れるとブローカーのリスクも大きくなり、掛け率が(50%)に近づけば損をする可能性を下げられます。したがって、ブローカーは「ハイ」側を「完売」にして「ロー」だけを販売して全体を調整しようとするでしょう。
そのほかにもよからぬ噂がある
あくまでも噂ですが、一部のブローカーは以下のような手法で「レート操作」をおこなっているという話があります。
・投資家の発注時に、少し不利な場所でエントリーさせる ・判定時に少し不利な場所で決済させる
あくまでもネットの噂ですが、悪質な業者は発注時と判定時にわずかな時間のズレが発生することを逆手にとって、わずかにプレイヤーの不利なポジションでエントリーや決済させる手法があるのだそうです。たしかに物理的には不可能ではありません。
さらに勘繰れば、レンジ外になるかならないかという微妙なタイミングの場合、レンジ外への意図的なレート操作も可能です。
猫道場はバイナリーオプションをおススメしない
バイナリーオプションの公平性や透明性については以前から疑問の声が上がっていて、金融庁も投資家にバイナリーオプションの投機性に関する注意喚起をおこなっています。
ここで説明したように、バイナリーオプションはブローカー側に有利なルールが設定されているのですが、このことを理解していないユーザーがあまりにも多いように感じます。もちろん、それを理解したうえでゲームに参加するのは自由ですが、猫道場としては、バイナリーオプションをあまりおススメしません。
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