多くのビジネスで「夏枯れ」とか「ニッパチ(2、8)」という言葉を聞くことがあります。これらは、夏場になるとあまり物が売れなくなることを表す言葉で、お盆休みで企業が長期休暇になるなどのことが影響するといわれています。
FXや株式投資でも同様の傾向があります。8月の為替相場では、「いつもより利食いに時間がかかる」とか、「含み損を抱えても、なかなか損切りにならない」といったように、相場の動きが緩慢になるように感じることがあります。要するに「ボラティリティ」が減少してしまうためにこのようなことになるのですが、この現象は「夏枯れ相場」といわれています。
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夏枯れ相場とはなにか
夏枯れとはバケーションのこと
夏という季節は開放的なイメージがありますが、相場においては相場参加者とともに取引量が減ってしまう時期です。なぜ相場が縮小してしまうのかといえば、ズバリ「夏休み(バケーション)」の影響を受けるからです。
8月といえば、日本にはお盆休みがありますが、欧米でも8月に長期のサマーバケーションに入るケースが多いのです。個人投資家だけでなく、機関投資家など大口の投資家も、休暇前にはポジションを整理してしまいます。
クリスマス相場もある
夏枯れ相場と同様にクリスマス前後の時期には、相場全体の取引量が減ってボラティリティが減少します。これが「クリスマス相場」です。12月の雇用統計(第1金曜日)発表のあと、その翌週にFOMCが終了すると、大口投資家やディーラーは年明けまで長期休暇に入ります。
夏枯れ相場の特徴
ボラティリティの小さい相場
FXは相場の動きの値幅によって損益が決まるので、ボラティリティの小さい相場では利益を上げづらい傾向があります。ボラティリティの大きい相場では、利確目標まで一気に動いて利確できることが多いのですが、ボラティリティの小さい相場では方向性の狙いが正しくても、利確目標に到達しないままに動きが鈍くなり、その後じわじわと逆行するパターンも見られます。
利益を上げやすい相場でトレードするのがトレードの鉄則ですから、基本的にはわざわざ値動きの乏しい相場で勝負する意味はありません。
夏枯れの期間
多くのサイトでは、夏枯れ相場の時期を、子どもの夏休みと同じ「7月後半から8月末まで」としているところが多いですが、もう少し絞り込んでみましょう。あくまでも猫道場主の感覚ですが、以下のイメージをもっています。
7月中旬日~7月末 | 夏枯れの影響がじわじわと訪れる |
8月1日~8月15日 | 本格的な夏枯れ相場 |
8月15日~9月第1週 | 夏枯れ相場の影響が徐々に弱まってくる |
9月第2週 | 夏枯れ相場の終了 |
「夏枯れ相場はない」としているサイトや解説がありますが、猫道場主の個人的経験としては、少なくとも(ドル/円)については、8月中は動きが鈍いという実感があります。
夏枯れトレードにおける注意点
夏枯れ時期といっても、完全にトレードをシャットアウトする必要はなく、注意点を理解したうえでトレードするのが肝心です。その際の注意点を確認しておきましょう。
相場の急変に注意
取引量が少ないと、ちょっとしたことで相場が動くことがあります。予測しづらい動きになることもあるので、注意が必要です。この時期のトレードはトレンドの継続性が低いので、欲張らずに決断を早めにするのがおススメです。
ファンダメンタルズの影響を受けやすい
やはりボラティリティの小さい相場ゆえ、夏枯れ相場で注意しておきたいのは、経済指標の発表や要人発言の影響を普段よりも強く受ける傾向があることです。とくにアメリカ経済の状況は相場に大きな影響を与えるので、この時期の経済指標の発表に注目しましょう。
アノマリーや雰囲気に左右されやすい
トピックで相場に大きな影響を与える可能性が高まるのは、経済指標の発表のほか、いわゆる「アノマリー」についても同様です。アノマリーというのは、理論的な根拠はないが、なぜか統計的にその通りに相場が動く確率が高くなる法則です。
ジブリの法則とは
いわゆる相場のジンクスで、有名なもののひとつに「ジブリの法則」があります。日テレ金曜ロードショーでジブリ映画が放送される日の夜は相場が荒れるというジンクスです。とくに円高になる傾向が強く、(ドル/円)が暴落することが多いといわれています。
アノマリーはオカルトとは断言できない
ジブリ映画が相場に直接的な影響を及ぼすはずがありませんが、多くの人がそのジンクスを信じ、あるいは信じている人がそのような投資行動をとることを予想して、実際の投資行動をおこなうということで「ジブリの法則」が成り立つわけです。
閑散期特有の戦い方がある
夏枯れのトレードでも戦える時間帯
夏枯れのようなボラティリティの小さい相場でトレードする意味がないかといえば、そうともいいきれません。夏枯れといっても24時間終始、相場の動きが少ないわけではありません。ロンドン時間からニューヨーク時間にかけて動きが活発化するのは通常期と変わらないので、この時間を狙ってトレードすることは可能です。
東京時間 | 9時~18時 |
ロンドン時間 | 17時~2時 |
ニューヨーク時間 | 22時~7時 |
つまり、日本時間の夕方以降、深夜1時ぐらいの時間帯であれば、通常期とあまり変わらない感覚でトレードできるように思います。
レンジ相場における戦い方
大きな値動きがなく期待値が少ない相場では、中途半端なトレードをしないほうが無難です。この時期はトレードの時間帯に注意して、通常よりロット数を落してトレードするといいでしょう。相場を大きく動かす材料が少ないので、中期や長期のトレンドが出にくい環境です。
しかし、このような環境に応じた戦い方もあります。たとえば、レンジ相場に合わせたトレード方法、たとえば「売られすぎ、買われすぎ」を捉えて「逆張り」でトレードする方法があります。やや高等テクニックにはなりますが、勉強のつもりでトライしてみるといいでしょう。ただしこの場合も、あくまでもロットを抑えたエントリーが無難だと思います。
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