「スプレッド」とはFX会社が提供する「売値(Bid)」と「買値(Ask)」の差のことですが、トレーダーにとってはトレードにおける必要経費であり、実質的な取引手数料といえるものです。これまでも解説しているように、スプレッドは通貨ペアによって、またFX会社によっても異なりますが、日本国内のFX会社は「原則固定」を謳っています。
今回は「原則固定」とされている国内FX会社のスプレッドが変動する仕組みを確認していきます。
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スプレッドの仕組み
スプレッドは条件によって異なる
「売値(Bid)」と「買値(Ask)」では、「売値」のほうが安く、「買値」のほうが高いです。また、一般的には取引量の多い通貨ほどスプレッドが小さくなる傾向があり、日本の国内市場でもっとも取引量の大きい(ドル/円)ペアでは、ほとんどの国内FX会社のスプレッドは(0.2銭)で並んでいます。
スプレッドには「変動」と「固定」がある
スプレッドには「変動」と「固定」があります。その違いを確認していきましょう。
変動スプレッド
外国為替市場(インターバンク市場)では、スプレッドはつねに変動しています。「変動スプレッド」は、レートの動きに応じて売値と買値の幅(=スプレッド)が広がったり縮まったりします。海外の多くのFX会社のスプレッドはインターバンク市場の変動幅にあわせて変動します。
固定スプレッド
その一方で、国内のFX会社はスプレッドの変動分の差額を「飲み込んで」固定スプレッドを顧客に提示しています。いわばFX会社の企業努力です。国内のFX会社の市場は過当競争になっているので、各社はできるだけ低いスプレッドを提供するために利益を削っているのです。
「原則固定」の理由
ただし、固定スプレッドを提供している国内のFX会社においても、マイナス分を飲み込むことには限界があります。したがって、どの企業も「固定」ではなく「原則固定」スプレッドを謳っています。基本的には固定スプレッドですが、企業努力の範囲を超えるような相場の急変等の事情があるときだけは、スプレッドが拡大してしまうのです。
スプレッドはいつ「原則」を外れるのか
それでは、どのようなケースで「原則」を外れることになるのか考察しましょう。以下のタイミングでは相場が急変する危惧が高まり、スプレッドが拡大する場合があります。したがって、初心者トレーダーはなるべく取引を控えた方が無難です。
なお「原則固定」において、スプレッドが拡大する可能性はありますが、縮小することはありません。
重要な経済指標の発表前後
アメリカの雇用統計や主要国の政策金利の発表時など、極めて重要な経済指標の発表前後のタイミングに大きな相場の変動が起こると、スプレッドが拡大します。発表数値が予想よりも大きく異なった場合はとくに注意が必要です。
突発的な災害や事故など
災害やテロ、経済に大きな影響を及ぼす事件など、突発的かつ重大な事象の発生による相場の変動があるとスプレッドが拡大します。
最近の例としては、2020年春の「コロナショック」による為替の変動などがあります。2021年に発生したアメリカのハリケーンや大寒波、欧州での大洪水による経済被害もスプレッドを拡大させました。
要人発言
主要国の首脳や政府高官、中央銀行の総裁といった要人発言も相場を大きく揺り動かします。アメリカの中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言は市場に大きな影響を与えることが知られています。
市場の流動性が少ない早朝や年末年始、ホリデーシーズンなど
早朝や年末年始など、取引参加者が少なく市場の流動性が下がるとスプレッドが拡大しやすくなります。そのほか、アメリカの冬のホリデーシーズン(11月第4木曜日から始まるクリスマス休暇)は薄商いとなり、流動性が大幅に低下します。
スプレッドを軽視するのは危険
1回の取引にかかるスプレッドは数銭~数円の範囲です。(ドル/円)であれば、スプレッドはわずか(0.2銭)です。しかし、わずかな費用といっても軽視するのは危険です。スプレッドを軽視すると足元をすくわれることになるかもしれません。
トレードを重ねるにつれてスプレッドは積み上がります。週や月間のトータルでは無視できない金額に拡大していることもありますから、自分で振り返りのタイミングを設定して費用チェックをするようにしましょう。
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