ジョージ・ソロス氏は金融界における立志伝中の人物です。「グローバル・マクロ」と呼ばれる手法を駆使して大規模なヘッジファンド運用で財をなし、「イングランド銀行を叩き潰した男」「金融の魔術師」などの異名をもっています。
冒険家としても有名なジム・ロジャーズ氏と共に1973年から運用を開始した「クォンタム・ファンド」は10年間で40倍以上に資金を増やしたという伝説的な記録を残しています。
ソロス氏は慈善家としての一面をもち、2011年にはファンドにおける投資活動からの引退を表明しましたが、2016年には第一線に復帰し、今なお現役の投資家として活躍しています。今回は投資家ジョージ・ソロスに学ぶ「サバイバル」の重要性について解説します。
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ジョージ・ソロスとはどんな人物か
生い立ち
1930年、ジョージ・ソロス氏はハンガリーの首都ブダペストで、弁護士で作家の父ティヴォドアと母エリザベスの間に、二人兄弟の次男として生まれました。
ユダヤ系のソロス一家は、ヨーロッパにおける反ユダヤ主義の広まりに危機を覚え、1936年にユダヤ人に多いシュヴァルツからショロシュ(ソロス)へと姓を変えています。
金融界デビュー
1947年、ソロス一家はロンドンに渡りました。ジョージ・ソロス氏17歳の時のことです。ソロス氏は「ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス」で哲学を学んだあと、商業銀行に入行して基本的な金融の仕組みを学びました。
その後ソロス氏は1956年にニューヨークに渡り、複数の金融機関でファンド・マネージャーを務めました。そして1969年には自らの名を冠した「ソロス・ファンド・マネジメント」を設立し、1973年にファンドの名を「クォンタム・ファンド」に改め、年平均の収益率(35%)以上という驚異的な運用成績をあげ、金融界にその名がとどろきました。
英ポンド売りで名をはせる
ソロス氏の投資哲学は「市場はつねに間違っている」という信念に基づいています。市場の歪みを突いて利益をあげるソロスの名声を確固たるものにしたのは、1992年のポンド危機でした。
ソロス氏は当時割高とされていた英ポンドに目をつけ、100億ドルに上る大掛かりなポンド売りをしかけます。ポンドの急落に火が付いたことから、イギリス中央銀行は利上げやポンド買い支えなどの通貨防衛策を講じますが、最終的にこの勝負に勝ったのはソロス氏でした。
イギリスはERM(欧州為替相場メカニズム)から脱退し、変動相場制への移行に追い込まれました。ソロス氏は「イングランド銀行を叩き潰した男」として、その名を世界にとどろかせたのです。慈善家としてのソロス氏ソロス氏は、少年時代ナチスの迫害から逃れた経験から、「ソロス財団」を設立して慈善活動にも力を入れています。慈善財団や学校などを次々に設立し、1993年には対ボスニア援助のために国連に5000万ドルを寄付するなど、現在まで総計100億ドルを超える資産を慈善活動に投じています。
ジョージ・ソロスの言葉
ソロス氏は投資や金融に関する多くの名言を残していますが、なかでも猫道場主が好きな金言は「サバイバル」に関する言葉です。

まず生き残れ。儲けるのはそれからだ。
~ジョージ・ソロス~
「サバイバル」の前提は絶対に大負けしないこと
ソロス氏の主張する「サバイバル」を実践するために、FX投資家ができることはなんでしょうか。投資の世界では、フェイクニュースが当たり前のようにはびこっています。
・勝っている投資家は、誰でも過去に大きな負けを経験している ・投資で資産をすべて失い、そこから再出発してようやく勝てるようになった
おそらくこれらの主張の多くは、疑ってかかるべきものです。もちろん、大失敗から立ち直って復活する強者もいるのでしょう。たとえば、ドナルド・トランプ氏のように。しかし大概の場合、資産のほとんどを失うと再チャレンジは非常に困難です。投資における大きな負けは永久的な退場に直結します。退場を余儀なくされるほどの大負けは絶対にしてはいけないのです。
大負けしないための戦略とは
多くの人はいきなり勝つ方法を学ぼうとしますが、初心者が最初に学ぶべきテーマは「大負けしない方法」です。初心者は相場で戦いながら、長く戦える手法を学ぶべきです。戦いながら成長することこそ、大負けしないための戦略です。まさしくソロス氏が主張している「まず生き残れ」の実践が求められるのです。
長く戦うために
大負けしない=長く戦うための秘訣は2つあります。
・実力以上の大きなトレードをしないこと ・勝ち負けに一喜一憂しないこと
市場で生き残る(=長く戦う)ために必要なこととは、無理なトレードをしないことに尽きます。相場に勝ち負けはつきものですから、負けを即座に取り戻そうとしてはいけません。これこそが初心者が陥るFXの罠です。
小さな勝ち負けを繰り返しながら、最終的に利益を残せるようなトレード手法を戦いながら作り上げていくことが、ソロス氏が主張する「まず生き残れ」の実践ということになるでしょう。
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