それでも日本銀行だけが一向に利上げをしそうにない理由

テクニカル編

2022年、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は2022年に入ってから急ピッチで利上げをすすめています。ロシアのウクライナ侵攻にともなう原油や天然ガス、穀物価格の高騰などの影響で、アメリカ国内ではインフレに歯止めがかからず、FRBには異例の金融引き締めによって物価上昇の封じ込めをしたい思惑があります。

アメリカの金融政策の転換によって、ゼロ金利を維持する日本との金利差もますます拡大し、円安にブレーキがかからない状況をつくりあげていますが、このような情勢においても、日本銀行には金利政策の方針を変える様子がみられません。


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アメリカの金利政策の転換

FOMC(米連邦公開市場委員会)の役割

FOMC(米連邦公開市場委員会)は、日銀の「政策決定会合」と同じような機能を担う組織で、アメリカの政策金利を決定する機関です。金利政策を検討する際にFRBが注目しているのが、雇用(失業率)とインフレの状況です。いずれも高くなれば金利上げ検討の要因になります。

雇用とインフレの関係

設備投資と雇用の間には密接な関係があります。金利を安くすると設備投資が増える(供給が増える)ので、経済はデフレ傾向となり、生産力の向上に伴ってマンパワーが必要になります。それとは逆に、金利を上げると設備投資の減少によってインフレ傾向が強まり、あらたな雇用も必要ではなくなります。

このように、金利と雇用には反作用が働きます。金利上げにはインフレ抑制効果があるのですが、雇用を圧縮する逆効果が伴うのです。

アメリカ経済は「低失業率、高インフレ率」の状況

現在、アメリカ経済はFOMCの目標(2%)を上回るインフレ状態にあります。一方で、2022年上半期のアメリカの失業率は(4%)を切っているので、それほど大きな問題になっていません。

金利上げには失業率を上げる反作用があるのですが、雇用が好調な状況下であれば、金利上げによって失業率が多少増えても大きな問題にならないだろうとFRBは判断しています。

2022年下期のアメリカの金利はどうなる

2022年末にアメリカの金利は(3.4%)になる

アメリカの金利動向をめぐっては、ややヒステリックな論調も目立つのですが、それらの無責任な情報を目にしても驚く必要はありません。2022年6月のFOMCの資料には「2022年内に金利を3.4%まで上げる」としっかりと書いてあるからです。すでに金利がどこまで上がるのか決まっているのですから、これを前提にして投資を考えていけばいいのです。

FRBが考えていること

もっとも、利上げを継続することによって景気が本当に悪くなり、雇用も一気に悪化するという懸念がないわけではありません。したがって、FOMCが狙っているのは、雇用を維持しつつインフレ率だけを抑えたいという、非常に微妙なバランス調整です。金利(3.4%)は既定路線とはいえ、雇用悪化が生じる場合は事情が変わってきます。

アメリカの金利上げを真正面から受ける各国の事情

大きく揺らぐ新興国の状況

アメリカの金利上昇への対抗策として、新興国でも金利上げが始まっています。しかし、財政余力が限られている低所得国の多くは債務超過に陥り、7月にはスリランカの国家破綻が大きなニュースにもなりました。

韓国でもアメリカの利上げに対応する形で2022年上半期に数回の金利上げをおこない、韓国銀行による為替介入も公然とおこなわれていますが、ウォン安の歯止めが効きません。2022年1~6月の貿易収支は赤字を計上し、先行きを懸念して海外マネーの「韓国売り」も顕著です。資金繰りに苦慮する韓国が、アメリカや日本に対して通貨スワップを要求しているのも周知の事実です。

欧州中央銀行(ECB)がいよいよ金利上げに踏み切る

日本同様、ゼロ金利政策を堅持していたEUですが、欧州中央銀行(ECB)は7月の理事会で、政策金利を(0%)から(0.5%)に利上げすると発表しました。利上げは11年ぶりのことです。

EU圏でもアメリカ同様、インフレが急速に進行していています。ECBは大幅な利上げを通じてユーロ安を食い止め、物価安定を目論んでいますが、利上げの副作用にも注目しなければなりません。たとえば国債利回りを大幅に上昇させているイタリアやギリシャの動向は、かつての「欧州債務問題」の再燃を想起させるという指摘もあります。

それでも日銀が利上げをしない理由とは

利上げの動きを見せない日銀

ついにECBも利上げに転じる状況となり、異例の金融緩和を継続する日本銀行の政策の特殊性が一段と際立つ形となりました。「いよいよ日本も利上げか」といった情報を、ちらほら目にするようにもなりましたが、今のところ日銀にはそのような動きはありません。

あくまでも慎重な黒田総裁

日銀も失業率とインフレ率には大いに注目しています。したがって、アメリカと同じように、失業率を悪化させないレベルで金利を上げることは正しいように思えますが、日銀はあくまでも慎重です。おそらく日銀・黒田総裁は、直ちに利上げすると失業率が上がる、もしくは賃金が下がると考えているのだと思います。

2022年年初に黒田総裁は、「先行き物価上昇が高まる見通しはあるものの、賃金上昇などをともなう持続的なものではない」とコメントしています。

やはり利上げの可能性は低いと考えていい

エネルギーや食料価格に主導される物価上昇率の高まりが、一時的なものに終わらずに長期化してしまうとの見方が強まれば、個人消費は継続的に落ち込み、日銀も金利政策の見直しをせざるを得なくなるかもしれません。もっとも、このような憶測的な展開を除けば、日銀が2022年中に利上げに転じる可能性は低いと考えていいのではないでしょうか。


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