投資対象としてのビットコインは知っていても、実際にどうやって使ったらいいのか知らないという人が多いと思います。日本ではキャッシュレス化がすすみ、さまざまなカード決済が広がりつつあるなか、ビットコイン決済はほとんど浸透していません。その一方で、世界ではビットコインを法定通貨に採用する国があるなど、日本とはずいぶん事情が異なるようです。
そこで今回は、日本国内でビットコインが決済ツールとして定着しない理由について解説したいと思います。
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日本国内のビットコイン決済の現状
ビットコインはどこで使えるのか
総合サイト
たとえば、暗号資産(仮想通貨)取引所でもある「bitFlyer」が運営しているビットコイン専用の通販サイトがあります。そのほか、「ビットコインモール」「バンドルカード」といったサイトでも、ビットコインを使った商品やサービス購入が可能です。
ネット系量販店や通販系サイト
大手家電量販店のビックカメラ、眼鏡専門店のメガネスーパーではビットコイン決済が可能です。ネット通販大手の楽天は、一部の輸入製品の決済でビットコインに対応しています。ただし、今後、楽天以外の大手ネット通販サイトに決済の輪が広がる可能性があるかどうかはわかりません。
実店舗
ビットコイン決済に対応している実店舗はまだ多くありませんが、「coinmap」というサイトを使えば、手軽に対応店舗を調べることができます。スマホの画面にビットコインが使える店がマッピングされるので非常に便利です。
活用範囲の拡大の可能性は未知数
日本国内のビットコイン決済は限定的であり、対応店舗やサイトもあまり拡大していません。今後さらに大手の量販店や大手通販サイトが参入するなどの条件がそろわなければ、今後もビットコインの「実用性」を感じることは難しいと思われます。
法定通貨としてのビットコイン
世界に広がるビットコインの「法定通貨化」
各国がビットコインをはじめとする仮想通貨の「通貨」としての流通を検討しはじめています。実際に、エルサルバドル共和国は、2021年9月にビットコインを「法定通貨」として採用して話題になりました。それに続いて、2022年4月には中央アフリカ共和国がビットコインを法定通貨として採用することを発表しています。
ウクライナ問題で苦境に立つロシア政府とロシア中央銀行は、仮想通貨などのデジタル資産を「通貨」の一形態として定義する法案を整備中です。実際に仮想通貨を利用する場合には、銀行システムや政府金融機関を介して、身分情報を公開した状態で可能にするなどとしています。
日本の認識
エルサルバドルによるビットコインの法定通貨採用を受け、日本政府はビットコインを資金決済法上の外国通貨として認めないという見解を示しました。現実的に、エルサルバドルとの交易はドル決済になるので直接の影響はありませんが、日本は、仮想通貨の通貨としての容認は時期尚早という認識をしています。
日本国内でビットコインが決済ツールとして流通しない理由
価値の安定性を欠く
ビットコインなどの仮想通貨は、通貨や電子マネーと異なり、国や企業といった「管理主体」を持たず、純粋な相場のみによって価格が変動します。おのずから、その変動幅は大きくなります。
また、株式であれば当該企業の生み出すキャッシュフローなど、価値を判断するための指標が存在しますが、仮想通貨にはそのような目安がないので、仮想通貨を金融商品として見た場合も、価値の妥当性を判断することが難しいのです。現実的な話として、1日に10%を超える価格変動が起こりえるビットコインを日常的に決済手段として使うのは、リスクが大きすぎます。
法制度やシステム整備の遅れ
2017年4月に改正資金決済法が施行され、取引所が登録制となり、仮想通貨が支払い手段の選択肢のひとつとして位置づけられました。
もっとも、企業が仮想通貨を取り扱うための会計ルールの策定はすすんでいません。導入予定の企業にとって会計ルールの整備は非常に重要ですが、一般的な企業がビットコインを導入する環境が整うまでには、かなり時間がかかりそうです。
利用者メリットを打ち出すことが難しい
ビットコイン決済が使える場所が増えたとしても、利用者の数や利用頻度が増えなければ浸透したとはいえません。一般消費者にビットコインを日常的に使ってもらうためには、既存の電子決済カードに対抗するためのメリットを示す必要があります。しかし、SUICA、PASMO、Edy、nanacoといった多様な電子マネーが普及している現状において、ビットコインが新規参入できるかどうかは少々疑問です。
都市部ではすでに交通系の電子マネーが普及し、大手流通系のカードが決済ツールとして確立しています。ビットコインがそれらの既存決済カードにとって代わる状況が生まれない限り、消費者が積極的に使う必然性は低くなります。
トラブルを敬遠する日本人の志向
過去には取引所から大量のビットコインが消失した「Mt.Gox事件」「DAO」という仮想通貨がプログラム上の欠陥から盗難された事件があり、詐偽やマネーロンダリング、ビットコインの分裂をめぐるトラブルなど、仮想通貨のトラブルは後を絶ちません。
これらの事象は、もとより「投資より貯蓄が安心」とする考えが根強い日本人には敬遠される原因になります。
高齢化も普及がすすまない一因に
仮想通貨は電子ウォレット内のデジタルデータであり、利用するためには一定のITスキルが必要です。高齢化社会の日本において、高齢者が日常的にビットコインを駆使するというのはハードルが高いのではないでしょうか。より理解しやすく安心感が持てる仕組みや扱いやすいデバイスが求められるところです。
日本では決済ツールとしての普及は難しいように思う
ビットコインが決済手段として日本国内の消費者に広く普及し、日常生活において当たり前に支払いがなされるようになるかと問われれば、残念ながら解決すべき課題が多く、現実的ではないと思います。
ビットコイン決済を日本国内に普及させるためには、消費者の「安心」「安全」がテーマになりますが、価値の乱高下があるビットコインは、安全志向の日本人が決済のために用いるツールとしては不向きであると思われます。
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