FXでとんでもない資産を稼いだというエピソードを耳にすることがありますが、「常人離れ」したような手法を使っていたり、あらゆる犠牲を払ってFXに邁進した結果であるなど、現実的にFX初心者がマネできるようなものではないケースがほとんどです。
そんななか、FX投資によって1年間で1億円の資産をつくった国会議員がいるのだそうです。当然ですが、忙しい議員活動の合間でトレードを続けた結果なので、その手法は初心者にとって参考になるかもしれません。今回はその秘訣に迫ってみたいと思います。
猫道場もランキングに参加しています。応援よろしくおねがいするにゃ!
参議院議員 古賀之士氏
古賀之士氏とはどんな人物か
FX投資で1億円の資産をつくった国会議員というのが、古賀之士(こが・ゆきひと)という人物です。1959年生まれの古賀氏は福岡県久留米市出身、福岡放送のアナウンサーを経て、2016年に民進党公認候補として参議院選挙に当選を果たします。現在は立憲民主党所属の参議院議員です。
驚愕の資産報告書
衆参両院は国会議員の2020年分の所得に関する報告書を公開しました。そこで注目が集まったのが古賀氏の所得でした。古賀氏の所得は1億1681万円で、対象となった国会議員702人の中で2番目に高く、所得の(80%)にあたる9870万円を、なんとFXで稼いだというのです。
古賀氏は雑誌のインタビューで、そのときの反響について語っています。

(資産報告書の)発表を受けて、地元の支援者から「FXのやり方を教えてくれ」と聞かれることもありました。でも、たまたま昨年大きな利益が出ただけの話なんです。
「たまたま」とはいうものの、にわかには信じられないコメントです。
古賀氏がFXを始めたきっかけ
モノポリーチャンピオン
モノポリーは20世紀初頭にアメリカで生まれたボードゲームです。プレイヤーはお互い交渉を重ねて不動産の取引をおこない、自らの資産は増やして自分以外のプレイヤーを破産させることをめざして争います。
古賀氏は小学生のときからモノポリーを始め、1995年と1996年には2年連続で九州チャンピオンになり、全国大会にも出場しています。幼いころからこのようなマネーゲームに触れる機会があったことも、古賀氏の投資の基礎を築いたのかもしれません。
最初は株式投資だった
古賀氏が最初に投資の世界に足を踏み入れたのはFXではなく株式投資だったそうです。

福岡放送に入社したのはバブル期で、みんな先を争うように株を買っていました。それに習って自分でも株をやってみたんですが、わたしが買ったときはもうバブル絶頂に近いころで、結局損をしました。
過去の投資の失敗に対して、古賀氏はこのように語っています。
FXを始めたきっかけは参議院の財政金融委員会
日本経済の中枢に関与する「財政金融委員会」への入会は、古賀氏の当選当初からの希望でした。しかし、財政金融委員会はスペシャリストの多い委員会であることから、経済の勉強をして専門知識を究めなければならないという思いにかられたといいます。
それがFXを始めたきっかけになったという古賀氏ですが、資産等報告書を確認すると、2018年に2060万円、2019年には1233万円をFXで獲得しています。つまり、「たまたま1年で利益が出た」のではなく、スタート直後から利益を出し続けているのです。
古賀氏のFXトレードの真髄
やり方は人それぞれ
古賀氏のトレード期間は超短期から長期までさまざまで、まったく法則性が感じられません。雑誌などのインタビューに対しても、古賀氏はトレードの秘訣について多くは語っていませんが、何度か口にしているのは次の言葉です。

やり方は人それぞれですから。秘訣といっても、とくになにもないんですよ。
しかし、なにか秘訣があるようにも思います。
ファンダメンタル重視のトレードを実践している
多くを語らない古賀氏ですが、ほかの人とのトレード手法の違いについて、「チャートも見るけれど、それよりもファンダメンタルズを重視している」と答えています。ただし、そこには古賀氏独自の勘が作用しているようにも思えます。

あるニュースが出ると、こんなふうに為替相場が動くんじゃないかと考えます。しかし、そのニュースに必ずしも乗っかっていくとは限らず、やっぱり、やめておこうということもあります。米大統領選とか、ブレクジット(英国のEU離脱問題)とか、ボラティリティが大きくなる場面はチャンスでもあり、ピンチでもあると思うんです。
やはり、とりとめもない答えです。
コロナショックとFX
古賀氏がFXで計上した利益はスタート直後から毎年1000万円を超えていますが、2020年は前年の1200万円から一気に約1億円という水準へと跳ね上がっています。このことは2020年3月ごろに深刻な状況となった「新型コロナショック」とは無縁ではないように思えます。
(ドル/円)相場は2020年2月に(ドル=112円)の高水準から3月上旬には(101円)台まで急落し、3月下旬には一転して(111円)台まで急上昇するという、ジェットコースターのような荒れ相場を展開しました。その波にうまく乗って、利益を急拡大させたのではないかと想像できるわけです。
ところが、古賀氏はこのころ、トレードには積極的ではありませんでした。

FXの利益はコロナショックで積み上がったわけではありません。コロナ禍のような経験したことのない事象の中ではトレードしにくいですから…。
2020年に古賀氏のFXの利益水準が劇的に跳ね上がったことと、コロナショックは関係なかったようです。
おそらくかなり大きなトレードをしているはず
古賀氏は、トレード回数自体は多くないと語っています。したがって、一度の利益が大きくなるような投資手法を採用していたのではないかと想像できます。古賀氏がどの通貨を投資したのかは不明ですが、たとえば(ドル/円)であれば次のようなシミュレーションが考えられます。
・(ドル=100円)のとき、証拠金5000万円、レバレッジ25倍でドルを買う ・(ドル=110円)で売れば1億2500万円の利益が出る
これは極端な例ですが、古賀氏はかなりの証拠金を積んで投資をしているのではないかというのが猫道場主の見立てです。
FX初心者が古賀氏のトレードに学ぶことは
古賀氏のトレードの基本はファンダメンタルズにあります。その手法には、独自の勘や成功体験の積み重ねが基本にあることが想像でき、FX初心者が実践することは難しいというのが今回の結論です。
ただし、古賀氏とて、このまま勝ち続けられるかどうかは誰にもわかりません。大きく稼いでいるということは大きく負けるリスクも同程度あると考えるべきであり、いわゆる「億り人」の将来には、このような危うさが同居することについてもFX初心者は理解するべきでしょう。今後の古賀氏のFXトレードの状況についても、見守っていきたいと思います。
コメント