相変わらずビットコインが脚光を浴びています。ビットコインは一日のうちに10%以上も相場が乱高下する投機性の強い投資ターゲットです。多くのトレーダーが投資資金を失う反面、「億り人」と呼ばれる一部のビットコイン長者が生まれています。
ところが、多くの億り人は税金に対する知識がないために、取引そのものとは別の悲劇を生んでいる例を耳にすることがあります。そこで今回は、ビットコインなどで大きく利益を出した際の税金の仕組みについて解説します。
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投資と所得税
「どんな方法であっても儲けた人には納めてもらう」という考え方が、税金の考え方の基本にあります。サラリーマンや自営業者が働いて得た収入のほか、投資やギャンブルで得た収益にも税金はかかります。非課税が謳われている「宝くじ」を例外として、投資やギャンブルにも、すべて税金がかかると思って間違いないでしょう。もちろん仮想通貨投資も例外ではありません。
所得税の課税期間
所得税の課税期間は(1/1~12/31)の1年間で、翌年の(2/16~3/16)の間に青色申告する必要があります。FXやビットコイン投資をしている人は、12月31日23時59分時点の取引明細を保管しておく必要があります。
ビットコイン投資に課税される3つの局面
ビットコインを売却した場合
ビットコインを売却すると、その時点で所得が発生します。売却価格と取得価額との差額が所得額になり、それに対して課税されます。
ビットコインで商品を購入した場合
ビットコインで商品やサービスを購入することが可能です。この場合は、支払いしたタイミングで所得が発生します。支払いに利用したビットコインの時価が購入時よりも上がっている場合は、その差額が所得となります。
仮想通貨同士の交換をおこなった場合
たとえば、ビットコインでイーサリアムを購入するなど、仮想通貨同士の交換をした場合に、所得が発生する可能性があります。ビットコインで商品を購入した場合と同じく、ビットコインを一度売却して日本円に換金してから商品(イーサリアム)を購入したという扱いになります。
億り人の税金事情
ビットコインで得た収益はおもに雑所得の扱いになる
ほかに収入がない専業トレーダーはビットコインの収益を「事業所得」として確定申告をすることになりますが、主たる仕事による収入があり、副収入としてビットコイン取引をしている一般的な兼業トレーダーは、「雑所得」として確定申告する必要があります。
億り人の税金を計算してみよう
億り人になると、どれくらい税金を納めなければならないのでしょうか。仮想通貨に対する課税は「累進課税」の形をとり、所得金額が増えれば増えるほど、高い税率がかかる仕組みになっています。
具体的に、「億り人」Aさんをサンプルにして、その税額を算出してみましょう。
「億り人」Aさんの所得税額
Aさんは、2021年の1年間にビットコインによる収入が1億円ありました。必要経費が毎月100万円(1年で1200万円)あったと仮定して、所得税を計算します。
・(合計所得)⇒(1億円)-(1200万円)=(8800万円) ・(所得控除)⇒(300万円) ・(課税対象所得)⇒(8800万円)-(300万円)=(8500万円) ・(課税額)⇒(8500万円)×(45%:累進課税)-(479.6万円:控除額)=(33,454,000円)
Aさんのビットコインによる1億円の収益に対して、なんと所得税を(約3350万円)持っていかれることになります。
1年後には住民税がやってくる
ビットコインの収益に対して求められる税金は所得税だけではありません。1年後には住民税(10%)も納めなければなりません。
(住民税額)⇒(85,000,000円)×(10%)=(8,500,000円)
合計納税額はこうなる
所得税と住民税を合わせた合計納税額は、以下のようになります。
(合計税額)⇒(33,454,000円)+(8,500,000円)=(41,954,000円)
1億円の収益があったAさんが支払うべき税金の合計はなんと(4195万4000円)です。税引き後残額の(5800万円)以上を浪費してしまうと、赤字になってしまいます。
ビットコインの収益を再投資するのは危険
ビットコインで儲けが出たところで、その先さらにビットコインや別の仮想通貨に再投資するというのが危険なパターンです。Aさんのケースでいえば、1億円のうち、少なくとも税金分(約4200万円)を手元に残しておかないと、税金が支払えなくなる可能性があるからです。
イケイケで再投資して手元資金がなくなってしまうと、税金を支払うために手持ちのビットコインを決済して現金化せざるを得なくなります。そして、その翌年には、税金の支払いのために決済した分の収益に対しても課税されることになります。
結局それほど儲からないのがビットコイン投資
このように、1億円以上の大きな収益があったとしても、納税後の手取りは60%弱にしかなりません。ビットコイン投資はものすごく割の悪い投資なのです。これに対して株式投資やFXの税金は累進課税ではなく、利益の大きさに関わらず定率制です。
(所得税15%)+(地方税5%)+(復興特別所得税0.315%)=(20.315%)
課税額はざっくり上記の計算式によります。どうでしょうか。ビットコイン投資と比較して有利さを実感できるのではないでしょうか。株式投資やFXは仮想通貨と比較して、優遇措置を受けている投資方法だといえるのです。
大きな利益を得られる可能性があるビットコインは確かに魅力的です。しかし、取引の結果だけでなく、税金にも着目して投資ターゲットを選ぶようにすべきというのが、今回の結論です。
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