初めて投資をするときには、どのくらいの資金を用意すればよいのか迷います。当然ながら、貯蓄額や収入の状況によって人それぞれ条件が異なりますが、資産のどれぐらいの割合を投資に回せるのか、その目安を知っておくと便利です。そこで今回は、「投資にまわしてよい金額が分からない」と不安に感じている投資初心者に、そのヒントとなるべき基準を紹介します。
猫道場もランキングに参加しています。応援よろしくおねがいするにゃ!
圧倒的に投資に消極的な日本人
一般的な投資割合を知ることは、とりわけ投資初心者にとって有益だと思います。日本銀行が公表している「資金循環の日米欧比較(2020年度版)」によれば、日本は欧米に比べて現金や預金の比率が極めて高く、株式や投資信託への投資が消極的であることがわかります。
その一方で、欧米は現金や預金の比率が低く、投資に積極的です。かならずしも欧米の投資割合が適切というわけではありませんが、現在の日本は超低金利時代が続いており、預金をしても資産はほとんど増えないことを考えれば、もう少し投資の割合を増やして、資産運用によって資産を増やすことを検討すべきだと思います。
貯金と投資の割合を考えるポイント
貯金と投資の理想的な割合を明確に数値化し、自分にとって最適なバランスを設定することは難しいものです。当然ですが、貯金はノーリスクですが、投資にはリスクが伴い、その成果は投資スタイルによって大きな差が生じます。
目標を明確にする
貯金と投資の割合を考えるときに、最初に決めておく必要があるのが投資の目標の明確化です。収入アップのため、子どもの教育資金のため、老後資金のため、あるいは専従投資家になるためなど、さまざまな目標があると思います。
目標が明確化すれば投資方法は自ずと決まり、投資金額や回収までの期間設定が定まるはずです。投資とギャンブルは違います。ハイリスクな方法を選ぶなら投資を控えめにする、長期間コツコツと運用するなら投資割合を高めるなど、投資方法によって貯金とのバランスをとることも大切です。
許容できるリスクを把握する
目標設定と同様に重要なテーマは、許容できるリスクの程度を把握することです。投資には多かれ少なかれリスクがつきものです。投資による損失をどこまで受け入れられるかを決めておくことで、投資金額をさらに具体化することが可能になります。
許容できるリスクに対する感覚は人それぞれですが、基本的な考え方として、「損失を被っても生活に支障が起こらないレベル」を想定するのが一般的です。
世帯構成や年齢による投資資金の違い
世帯構成にみる投資可能な資産の割合
自分に適した投資割合を把握するためには、年齢は重要な要素です。金融庁のデータ(2020年度「家計の金融行動に関する世論調査」)には以下のような報告があります。
世帯 | 預貯金 | 有価証券 | 保険 | その他 |
単身世帯 | 42.3% | 37.4% | 17.2% | 3.2% |
2人以上世帯 | 47.2% | 20.4% | 28.9% | 3.4% |
潜在的な投資資金としてカテゴライズされるのは(有価証券+保険+その他)の合計と捉えておくといいでしょう。2人以上世帯は生活維持のため、資金が預貯金に回され、保険料支出が増えるという特徴があります。その一方で、単身世帯は自由にお金を使えるために投資に対する積極性がみられ、有価証券の割合が高いことが伺えます。
このように世帯状況の違いこそありますが、いずれも潜在的な投資資金を(55%)程度有していることがわかります。
年齢にみる投資可能な資産の割合
続いて、年代別の金融資産保有額の割合をみていきましょう。
年代 | 預貯金 | 有価証券 | 保険 | その他 |
20歳代 | 56.5% | 12.0% | 28.1% | 5.8% |
30歳代 | 44.0% | 17.3% | 31.1% | 7.3% |
40歳代 | 46.7% | 13.5% | 34.4% | 5.3% |
50歳代 | 37.6% | 24.7% | 32.1% | 5.7% |
60歳代 | 55.0% | 16.6% | 26.3% | 2.2% |
70歳代 | 51.6% | 22.1% | 25.0% | 1.3% |
全般的に年齢が上がるにつれて金融資産が増えますが、金融資産の内訳は年代により変化していく傾向があります。
一般的な傾向として、40歳代は住宅購入などに備えて貯蓄率がアップし、50歳代は教育費のピーク、60歳代は投資信託や年金の運用終了と退職金の受け取りなど、年齢によって起こるライフイベントによって、資産の内訳が変化していきます。したがって、投資にチャレンジする際には、年齢によって変わる収支のバランスを見極めて、投資割合を決めることも大切なポイントです。
投資資金を貯める方法
投資する前に始めなければならない「タネ銭」づくり
雪ダルマは最初、手のひらに載るような小さな雪の玉です。これを積もった雪の上で転がしていくと、だんだん大きくなります。当初資金である「タネ銭」づくりもこれと同じようなものです。最初にある程度の資金を貯めてから、それを元手に投資商品に投じていくことにより、元手を増やしていくのが鉄則です。
「タネ銭」を貯めることができない人は投資に向いていない
生活費や遊興費で消費して、余ったお金を投資資金に回そうとしても難しいものです。最初のタネ銭をつくることができない人は、厳しいようですが、その時点で資産づくりのための投資はあきらめてください。
猫道場主がおススメする方法は、手取り収入の4分の1を天引きし、それを積み立てて投資資金にする方法です。そもそも貯めるべき余裕資金などないという人は、まず自分の金銭感覚や生活の仕方を見直してみる必要があります。
コメント