韓国発となるかもしれない第二のアジア通貨危機の可能性について

テクニカル編

歴史的な金融危機は、株式市場だけでなく為替市場を舞台に起きることもあります。その一例が「アジア通貨危機」です。今回は、アジア通貨危機がどんなきっかけで発生したのか、また歴史的なドル高による「第二のアジア通貨危機」発生の可能性について検討していきましょう。


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アジア通貨危機とはなにか

1997年7月、タイの通貨バーツが大幅に下落し、タイは大規模な経済危機に陥りました。タイのほかにも、マレーシア、インドネシア、フィリピン、韓国の通貨が大幅に下落し、連鎖的に通貨危機に陥りました。これがアジア通貨危機です。

当時、好調な輸出産業を背景に高い経済成長率を誇っていたアジア諸国で発生した通貨危機は、該当国のみならず世界経済に大きな衝撃を与えました。

アジア通貨危機の原因

アジア諸国の輸出産業の陰り

多くのアジア諸国は、先進国への輸出産業を中核に経済成長を遂げてきました。その中心といえるべき国がタイ王国でした。1996年まで、タイは実質GDP成長率(6%)を維持してきましたが、1997年からドル高の影響が強まり、輸出産業の不振に拍車がかかり、タイの経済成長に疑問の声があがるようになりました。

タイの経常収支

通貨危機の潜在的な要因は、タイの経常収支が赤字だったという点です。経常収支とは、国際的な取引で生じた収支を示す経済指標です。

当時のアジア諸国は経済成長の真っ只中で、海外の金融機関も経済成長を信じて疑わず、積極的に貸し出しをおこなってきました。東南アジア諸国は、資本収支は黒字でも、借り入れが過大だったため、経常収支は赤字状態だったのです。

ドルペッグが裏目に

日本、台湾、フィリピンを除くアジア諸国のほとんどが、ドルと自国通貨の為替レートをドルに連動させる「ドルペッグ制」を採用していました。この仕組みが、のちのアジア通貨危機に大きく関わってきます。

1995年以前の為替はドル安基調であり、ドルペッグ制による通貨安は、アジア諸国の輸出に有利に働いていました。ところが1995年以降、アメリカが「強いドル政策」に舵を取ると状況が一変します。各国通貨はドル高に連動して通貨高に転じたために輸出の優位性を失い、経済成長が鈍化していきました。やがて投資家のなかにも「バーツの貨幣価値は割高なのではないか」という疑問がひろがっていったのです。

通貨暴落の連鎖

タイがヘッジファンドの餌食に

タイの実体経済とバーツの価値のギャップに目をつけたヘッジファンドをはじめとする機関投資家は、バーツに大量の空売りを入れました。1997年5月中旬、タイはドルペッグ制を維持するためにバーツに大量の買いを入れて市場介入をおこないますが、介入する資金量が足りず、1997年7月2日にドルペッグ制から「変動相場制」への移行を強いられます。

東南アジア各国に連鎖する通過危機

タイにおいてドルペッグ制が崩れたことによって、アジア諸国の自国通貨が連鎖的に次々と売られる事態となり、瞬く間にアジア通貨危機へと発展していきました。

アジア通貨危機の遠因

ヘッジファンドによるバーツの空売り仕掛けは、ジョージ・ソロス氏によるポンド売り戦術の影響を受けたものだといわれています。

1992年、ソロス氏はイギリス政府やイングランド銀行がポンドの価値を維持できないと予測し、ポンド売りを浴びせて莫大な利益を得ました。このときの成功体験を後追いしたのが、バーツ売りの戦術であるといわれているのです。

アジア通貨危機再び?

2022年現在、もっとも危険にさらされているのは韓国です。中国経済の鈍化により貿易は縮小し、中国寄りの姿勢を疑問視するアメリカによる、なんらかの引き締めがおこなわれるという憶測も広がっています。

韓国ウォンの急落

韓国の金融市場では「トリプル安」(株安・債券安・通貨安)が加速しています。これまで韓国銀行は、通貨安定のためにウォン買いによる介入を続けてきましたが、2022年9月以降、急激なウォン安に対抗できず苦慮しています。

日米との金融スワップが実現しそうにない状況で、ドル高ウォン安に対抗するための直接的な方法は法定金利上げしかありませんが、国民の債務超過や不動産価格の不安定な状況から、利上げは難しい状況です。

韓国のいびつな金融市場

本来であれば、貿易立国の韓国においては、自国通貨を国際的に通用するものにするために、通貨を解放する必要があります。資本移動の自由を保障するかわりに、為替変動についてはある程度は容認するべきなのです。ところが、韓国は自国通貨の開放をほとんどおこなわず、通貨価値を一定に維持するためにあからさまな為替介入をおこなってきました。これが一気に崩れた原因がアメリカの金利政策の転換です。

ドル資金が枯渇する危険

貿易立国にとっての危機は、ある日突然、ドル資金がなくなってしまうことです。決済すべきドルが手元になくなってしまえば、海外との貿易が続けられなくなります。民間企業でいうところの「黒字倒産」の状況です。

アメリカが金利上げによって世界からドルを引き上げている現状にあって、ドルをどれだけ確保できるのかが、各国の経済テーマになっています。潤沢なドル資金を保有している日本はほとんど影響を受けることはないでしょう。しかし、そのほかの国はどうなるでしょうか。

注目すべきは、韓国が保有するドル資金が、度重なる通貨介入などによって、枯渇かかっているのではないかという疑問を、市場関係者にもたれていることです。

ヘッジファンドが狙っている

このような状況を、アジア通貨危機で成功をおさめたヘッジファンドが黙っているとは考えにくいところです。バーツでの攻防に見られたように、ウォンを一気に空売り飛ばしてウォンの暴落を狙う戦略は充分に考えられるところです。

さらに恐ろしいのはこれらのファンドの動向を先読みした多くの投資家が、この動きに追従する可能性です。もし第二のアジア通貨危機が勃発するとすれば、韓国発となる可能性は捨てきれないところです。


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