テクニカル分析にはいくつものアプローチがあり、どんな手法を選ぶべきか、初心者にとっては最初の悩みどころです。テクニカル分析には大きく分けて「トレンド系」と「オシレーター系」という2つの流れがあります。トレンド系はトレンドの方向を予測する分析法、オシレーター系は「買われすぎ、売られすぎ」を判断する手法あると、おおまかに理解しておきましょう。
今回はトレンド系のひとつである「一目均衡表」を紹介します。日本発祥の分析法ですが、世界中に多くのユーザーがいる人気の分析ツールです。
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一目均衡表とは
「一目均衡表」は、5本の補助線と価格の位置関係から、トレンドと転換点を予測するテクニカル指標です。
昭和初期に「一目山人(本名:細田悟一)」という、都新聞社の商況部部長だった人物が、約2,000人のスタッフとともに7年をかけて完成させました。昭和44年から一目均衡表7部作が順次出版されると、一目均衡表の一大ブームが巻き起こりました。「相場は買い方と売り方の均衡が崩れた時に大きく動くので、どちらが優勢かがわかればトレンドを確認できる」という思想が、その根底にあります。
3つの基本理論
一目均衡表は「時間論」「波動論」「水準論」の3つの基本理論により成立しています。「波動論」と「水準論」で値幅目途を、「時間論」で相場が変化しやすい期間を予測します。
5つの補助線と「雲」
一目均衡表では、3つの基本理論をもとに、「時間軸」に着目することにより、5つの基本補助線(基準線、転換線、遅行スパン、先行スパン1、2)が導かれます。
先行スパン1と先行スパン2の間は、「雲」といわれる抵抗帯(上図のオレンジ色の帯)で、抵抗帯が厚ければ突破しづらく、薄ければ価格変動の前兆と予測することができます。
5本線の計算方法
5つの基本補助線は以下のように算出します。
・基準線=(当日を含めた過去26日間の最高値+最安値)÷2 ・転換線=(当日を含めた過去9日間の最高値+最安値)÷2 ・先行スパン1=(転換値+基準値)÷2…(26日先行して表示) ・先行スパン2=(当日~過去52日間の最高値+最安値)÷2…(26日先行して表示) ・遅行スパン=当日の終値を26日遅行して表示
「先行スパン1および2」の算式からわかるように、これらの線は過去チャートを飛び越えて現在よりも先に引かれています。これはほかのテクニカル分析には見られない一目均衡表の最大の特徴です。
一目均衡表の使い方
基本的な考え方
一般に転換線が基準線を下から上に突き抜けていれば「好転(買いシグナル)」、転換線が基準線を上から下に突き抜けていれば「逆転(売りシグナル)」となります。
また遅行スパンがローソク足を下から上に突き抜ければ「買いシグナル」、遅行スパンがローソク足を上から下に突き抜けると「売りシグナル」です。このように、基本的なトレンドの見方は非常にシンプルです。しかし、それだけではありません。さらに具合的な一目均衡表の活用法について紹介していきましょう。
基準線と転換線を使った分析方法
基準線と転換線の位置は、トレンドの方向性を確認するのに役立ちます。
・基準線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド ・ローソク足が基準線の上側にあれば強い相場、下側にあれば弱い相場 ・基準線が上向き、転換線が基準線の下から上へ抜けると「好転」 ・基準線が下向き、転換線が基準線の上から下へ抜けると「逆転」
先行スパン1と2を使った分析方法
先行スパン1と先行スパン2に挟まれた「雲(抵抗帯)」とローソク足の位置から、相場の動向をチェックすることができます。
・ローソク足が雲の上方にあれば強い相場、下方にあれば弱い相場 ・ローソク足が雲を下から上に突破⇒「好転」 ・ローソク足が雲を上から下に突破⇒「逆転」 ・2本の先行スパンが交差した場所(雲のねじれ)⇒トレンド転換もしくは加速
遅行線を使った分析方法
遅行線は「売り」か「買い」かのタイミングを計る指標となります。遅行線がローソク足を上回ったケースを「好転」、下回ったケースを「逆転」と判断します。
三役好転の分析方法
下記の3つの条件が揃うと、非常に強い買いシグナル(売りシグナル)になります。
・転換線>基準線(転換線<基準線) ・ローソク足>雲(ローソク足<雲) ・遅行線>ローソク足(遅行線<ローソク足)
一目均衡表にチャレンジしてみよう
一目均衡表は、現在より先に予想線が引かれている、世界に数あるテクニカルチャートの中でも珍しいチャートです。今回紹介したいくつかのパターンがはまれば、強力なトレンド判断ツールとして力を発揮してくれるでしょう。
もっとも、一目均衡表を極めるためには、瞬発力が求められるように思います。5つの線を見た瞬間に、「これは転換線だ」「これは先行スパン1だ」といった分析力が求められます。その意味で一目均衡表は、やや高難度のテクニカル分析という印象があります。
実際のトレードでは「平行移動線」などの基本的な分析ツールを使用しながら、同時に各線の見極めの訓練をするところから始めるといいでしょう。
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